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1部 12芒星魔方陣 編  16章 異なる朝倉裕貴 2話

 炎の中で右にもう1体のオートマトンが私を狙っている。マリアが倒した筈の2体目が再起動していたのか?

「ちぃ!こんな所でそんな物使うなんて」

 火災警報器がなり響きスプリンクラーが作動しているが火は周囲に陳列されていた衣類に燃え広がっているため簡単には消えそうにない。

 とにかく、あのグレネードの高熱は厄介だ。だが連射出来るものではない。

 さっきは油断したが直撃しなければ問題無い。それよりもあともう少しで破壊出来そうな最初のオートマトンを狙う。

 オートマトン達は2体で遠近両方に対応出来る様なフォーメーションを取りグレネードと20mmガトリングで私の動きを封じようとしている。

 そのもくろみ通り私はこの弾幕の中から動けない。20mm砲では直接のダメージは入らないが衝撃に耐えるだけの体重が足りず吹き飛ばされてしまう。また素早く交わしても攻撃範囲の広いグレネードに掴まってしまう。この状態を打破するには・・・。

 そこで2体から一度距離を取り左回りで最初のオートマトンに近づいた。

 相変わらずマシンガンを撃つしか能の無い敵だが私の動きを先読みして攻撃してくる為、途中から被弾が多くなる。

 そこで周辺で燃えている衣服を纏い熱で探知している可能性を排除し、ハンガーラックのパイプを抜き渾身の力で投げた。狙った通り装甲の薄くなった凹みに当たり突き刺った。オートマトンは左右に旋回し暴れパイプを振り落とした。

 その様子から隙が出来ていると判断した。そしてまた隙を作る事が出来る。

 さらに服の掛かっているハンガーラックの影に隠れながらオートマトンとの距離を詰める。

 後ろに居るオートマトンが撃ったグレネードの衝撃で私は天井に飛びつき衝撃波が続く間にそのまま天井を走って接近していく。

 オートマトンは赤外線で私を追っていたのだろう。私の存在に全く気付いていない。敵から言えば仲間がグレネードの熱で完全に私の位置を見失ってしまった。

 その様子に気が付いた私は近くに有った燃えた衣服を投げつけオートマトンの目を覆った。

「はあぁぁぁ」

 視界を奪われ右腕で振り払う瞬間にオートマトンの前に立ち右を打ち込んだ。右腕は装甲を貫通し突き刺さり肩までめり込む。

 オートマトンの青い目の光りが消え動きが止まり私を掴もうとしていた右腕が耳元でガクンと力なく垂れ下がった。突き刺さった腕の周囲であちこちがスパークしはめている。

 腕を引き抜く為オートマトンの胴体に右脚を掛けた。

「!?」

 突然、後頭部に衝撃が走る。後から再起動した残りのオートマトンが私の頭を掴んでいる。

「はな・・せ・・・」

 外殻を強化していてもミシミシと頭の中から直接音が聞こえる。とりあえず両手が使えないとこのままでは頭が潰されてしまう。

「ううわぁぁぁ」

 私は思いっきり声を上げ右腕を引き抜き両手で頭を掴んでいるマニピュレーターを外しに掛かった。

 ガガグググと金属の間接音を響かせながら少しずつ解け、頭から鳴っていたミシミシと言う音が消えた。「もう少し・・・」と思ったとき背中に何かが当たった。

 オートマトンは私の背中に直接グレネードを撃ったのだ。痛みも熱さも何も感じる間もなく腹に大きな風穴が開いた。撃たれた部分は右横腹から背筋がグレネードの衝撃と熱で一瞬に蒸発し、辛うじて残った左横腹は腰から下の重みに耐えきれず皮膚ごと千切れ床に落ちた。上半身部分から熱で変質した膵臓、脾臓、胃、半分残った肝臓がぼたぼたと床に落ち垂れ下がった。

 やばい・・・

 とは思いつつも何故か次に取るべき行動は冷静に判断が出来るのだった。

 私の頭を掴んでいるマニピュレーターを解き落下すると同時に右手をマニピュレーターに掛けたまま180度反転すると左腕を右上から左下へ思いっきり振り回した。

 オートマトンは縦一文字に割れる様に斬れ、墜落した私の両側に倒れていった。

「凄いな、こんな状態で生きているなんて」

 千切れた胴体は又、脈動を打ちながら一つ一つ繋がり胴体の上下が繋がった。しかし、蒸発した分の肉体が取り戻せないので何度も深呼吸を繰り返した。

 暫くして身体の再生が終えた。蒸発した分の質量を取り戻したのだ。

「これで分かったかしら・・・?裕貴」


 どれ位時間が経ったのだろう、私はゆらりと立ち上がり体を見下ろす。

 五体満足な裕貴の体、我に返り周囲を見回し何か着れそうな服を探した。

「やっぱり、このままじゃダメだよね」

 辺り何かロボットらしき物体の残骸と至る所で炎が上がっている。とりあえずここから降りよう。

 結局、着られそうな服が無かった・・・等と思いながらフロア中央に見えるエスカレーターが見えたので進んでいく。

「な!?」

 下のフロアに下りるエスカレーターが崩落して降りられない。見上げると上りエスカレーターのガイドのガラスが粉々に割れ飛び散っている上に、外装が剥がれつり下がった踏み台が見えている。

 他に下に降りる階段を探しているとき俺が着られそうな服が有った。

「大分変だけど、仕方ないよね・・」

 少し小さめで袖や裾が焼け焦げたチェック柄のシャツとサイズのベージュのハーフパンツを着て再度、下のフロアに下りる階段を探し始めた。

「裕貴、大丈夫だった?」

 エレベーターホールの階段を見付け下り始めた時、上の階から降りてきたマリアに呼び止められた。

「そっちこそ、残党を倒しに行ったんだよな、どうだった?」

「私から質問しているのよ」

 マリアはフロアの奧に進み唖然とした表情で立ち止まった。

「これ、貴方が1人で倒したのよね?」

「え?そうよ」

 真っ二つになっているオートマトンに近づき切り口を見て、さらに奧に倒れているもう1体のオートマトンを調べた。

「この痕は」

 マリアはオートマトンの胴体に開いている穴を指して訊いた。

「殴って開けたのです」

「殴って?素手で?」

「ええ、そうよ」

 マリアは何かボソボソと呟きながら考えている。

「裕貴?以前にもこれとよく似た事例が有ったのだけど、貴方が関わっているのか?」

「以前?」

「4月22日の13時から15時までの間、何処で何をしていた?」

 面倒臭い、確かにその日は中野綾香と一緒にオズ・ローズと言うお店で魔法アイテムを買いに行った日だ。そしてその後に行った洋食店でオートマトンの襲撃を受け撃退した。

 その事を説明する事は今は好ましくないだろう。しかし、目の前の残骸をどう説明するか迷っていた。

「所で、どうやってここまでしたの?見たところ鋭利な刀か何かで斬った様に見えるけど」

 今度は真っ二つになったオートマトンの切り口をのぞき込みながら不思議そうにしている。

「誰にも言わない事を約束出来ますか?」

「事と次第に寄るわ」

「ありがとうございます。それは、こうしたのよ」

 私は右腕をブレードの形状に変形させた。

「貴方、その能力(ちから)は?」

「恐らく、変形(トランス)能力」

「それじゃ、さっき撃たれてバラバラになったのもその能力で」

「ダメージも変形能力の1つと考えれば・・・それと、この能力の事は誰にも言わないで、これは能力その物よりもあり方の方が危険だから」

 私の発言にマリアははっきりと返事をする。

 その時、私の身体の力が抜けていった。

「おい、しっかりしろ!」

 マリアが驚き声を上げた。

「後は裕貴に任せた・・・」

 私は俺に言い聞かせ、意識の奧へ眠りについた。


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