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第1話 アイスが好きな氷姫

挿絵(By みてみん)


前作→https://ncode.syosetu.com/n2573mk/

 常夏の帝国、ヴァイデソル帝国にある白陽学宮にて。照りつける日差しを避けるように、ルミは中庭にある日陰のベンチでソフトクリームを食べていた。使い魔のしまちゃんも一緒だ。


「あついね〜」

「ぴぃ……」


 しまちゃんも羽を広げ、ぐったりと溶けている。生ぬるい風が頬を撫でたときだった。


「だーれだ」


 冷たい手で目元が覆われる。ルミは笑いながら「フェル」と答える。


「あたり」


 ベンチの背もたれ越しに顔を出したのはフェルナンドだった。


「びっくりした」

「そうか? 悪かったな」

「……手、冷たくない?」

「おう。冷やしてみた」

「……過保護」


 ルミはクスクスと笑う。フェルナンドは彼女の持つソフトクリームに目を向けた。


「それ、新作?」

「うん。キャラメルマキアート味。最後の一個だった」

「ラッキーじゃん」

「一口食べる?」

「いいのかよ」


 ルミはそう言いながらフェルナンドにアイスを差し出す。彼は少し視線を彷徨わせ、耳をほんのりと赤くしてそれを一口かじった。


「……あっま」

「でしょ。美味しいよね」

「コーヒーだからもっと苦いかと思った」

「ぴちぴ」

「しまちゃんも食べたい? 仕方ないなぁ」


 今度はしまちゃんの方へアイスを向けた。しまちゃんは美味しそうにアイスを啄んだ。


「……そういえば、しまちゃんの言葉はなんか分かるな」

「フェルは竜と波長が合いやすいのかも」

「……竜?」

「しまちゃん、氷龍の眷属だから」


 フェルナンドの目はまん丸に見開かれる。


「……シマエナガ、じゃねえの?」

「見た目だけ。シマエナガはアイス食べないよ」

「確かにそうだけど」

「あと一年中真っ白じゃないし」

「……そうなのか」

「あとイルヴェリアにシマエナガいないし」

「まじかよ」


 軽く笑ったフェルナンドは、小さくあくびをする。


「……悪い」

「眠い?」

「寝てんだけどな……。なんか、寝た気がしなくて」


 彼はゆっくりとまばたきをした。あくびが漏れる。


「暑いもんね。寝苦しい?」

「これぐらいの暑さ、うちじゃ暑いうちにも入らねえ」

「30度なのに?」

「たかだか30度だろ」


 フェルナンドは背もたれに背を預ける。


「……寝たら?」

「そうするわ。先に寮戻っとけ。暑いだろ」

「考えとく」


 彼は目を閉じる。すぐに呼吸が寝息に変わる。ルミはくすりと笑い、そっと彼の頭を膝へ導いた。その時だった。


「きゅい」


 彼のお腹の上に、一匹の小さな竜が舞い降りた。

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