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77 私、準備万端です! そして上陸します!

「ふわぁあ……おはようございます皆さん」


《おはようございますマスター。今日は早起きですねっ》


 リーフルさんの笑顔が眩しい。

 外を見てみるとまだまだ夜明け前だった。

 おや。ちょっと早すぎたかな。

 時間でいうと21時には寝て、今朝5時くらいか。

 快適な8時間睡眠。

 んー……まぁ昨日そりゃあ徹夜で海を横断したしな。

 美味しいご飯もたくさん食べられて、こんな幻想的な景色を拝めたから安心してぐっすり寝れちゃったのかな。えへへ。

 まだ眠そうなジーカちゃんをそっと起こさないように、私は早速朝シャンしていくことにした。

 シャワールームはちょっと狭いけど、ガラス細工の壁や所々に彫られた花の造形がとても綺麗な目に優しい作りだ。

 さらに浴槽からは薔薇の花のとっても甘い香りがする。

 まどろむ身体の眠気を覚まして、優雅な明朝を迎えるにはぴったりだろう。

 ゆっくりと身体を預けると、そのまま全身が蕩け落ちてしまいそうだった。

 とても上品な快感だった。

 背中の骨を勢いよく伸ばした時の感覚に似ている。


「リーフルさんも来てください。一緒に入りましょう」


《でしたら、お言葉に甘えて……》


 大人の女性が2人も大理石の浴槽に入るとやはり狭い。

 身体をペタペタとくっつけ合い、肩を寄せて水をかけあった。

 妖精さんの身体はとても柔らかい。

 もちもちしている。面白いのでしきりにつついたりつねってみたりする。

 妖精さんは不思議そうに「?」という顔をしていた。


「たまにはこんなのんびり過ごすのも悪くないですね」


《そうですね。私もマスターと一緒にお風呂入れて嬉しいです!》


 その音に気づいて起きちゃったのか、ジーカちゃんも裸になってやってきた。


「じ、ジーカちゃん。ごめんなさい。起きちゃったですか?」


「むにゃ……別に良いですよ。それより人間はこんな朝っぱらからフロ入るんですね」


「ジーカちゃんはお風呂入るんですか?」


「滅多にねーですよ。マグマに集団で浸かったりしやがりますね」


 マグマて。どんだけ龍人の皮膚頑丈なんだ。

 それ湯浴みのレベル超えてないか。

 2人の女性の間に、子供のように挟まってジーカちゃんも浸かった。


「温いでやがりますね。こんなんで寒くないですか?」


「あ、あははは。人間はマグマにはつかれないから……」


「でもこのフロは甘いニオイがしますです。あめーですか?」


「あっ、飲んじゃダメですよ!」


 しかし時すでに遅し、彼女は浴槽の湯を飲むと不味そうな顔をして口からぴゅーと吐き出した。


《飲み物じゃないわよ》


「だまされたです」


「あはは……」


 女子3人できゃっきゃ楽しく朝シャンを終えて、ゆったりとごろごろのんびり過ごしていると、そろそろ日も登ってきて太陽が眩しく煌めいていた。


「そろそろ朝食ですね。……っとその前に……」


 早速朝の庭園確認といきますか。

 昨日埋めたお金とドーピングアイテムがえらいことになってるはずだ。




 ゴールド・ウッズ

 【状態:収穫可能】 3/3

 一本:30億G


 パワードリンク

 【状態:収穫可能】 3000/3000


 ワイズシード

 【状態:収穫可能】 3000/3000


 そういや良い感じに8時間も経過してたからドーピングの方はめちゃくちゃ増えてた。

 とりあえず2500個だけ回収してあとはまた埋めよう。

 朝食前の一気食いだ。


「ぐへっ! げほげほげほ!」


 こちらは腐ったヨーグルトのような食感と味わいに、食べられない肉の塊みたいな歯応えがした。

 こんなものでよく力と魔力が上がるものだな。

 そう思っていた矢先――突然私の筋肉がぼんっと膨れ上がるような感じがして、全身から力がみなぎってきた。


「お、おいどうしたですその腕」


「えっ? わーっ! なんかすごいムキムキになってるし!」


 腕なんかもうぱっつんぱっつんだ。

 これでは少女の沽券にかかわる。激しくオンオフを要求する。


 まぁそれはおいといて、早速このステータスが現状どうなっているのか確認してみるとしよう。



名前:ミランダ・クロスフィールド

職業:戦士 やり手 ☆4

種族:人間

性別:女

年齢:18


Lv36


HP 9999

MP 300

こうげき力: 7750(+125)

ぼうぎょ力: 9999

すばやさ : 9999

まほう力 : 6480

しんこう心: 200

うんのよさ: 0

きようさ : 250


固有スキル :なし


取得済みスキル

『不屈のタフガイ』、『土人形愛好家』、『幸運の女神』、『武器なきものの魂』、『忍耐の心』、『永久の土人形ハンター』、『お色気』、『ジャイアント・キリング』、『筋肉の加護』、『カウンター』、『雷耐性アップ』、『氷雪の戦乙女』、『永久の幽鬼ハンター』、『幽鬼を狩る者』、『クリティカルフォーエバー』、『オートカウンターLvX』、『氷の女王』、『オーバー・ロード』、『剣聖』、『大剣豪』、『ソードガーディアン』、『経験値ジャンキー』、『毒無効』、『炎耐性中』、『エラ呼吸を制し者』、『海を統べる者』


装備品スキル

『氷属性無効』、『炎属性ダメージ25%軽減』、『自動MP回復(中)』、『魔法攻撃時敵MP吸収(小)』、『アンデッド系ダメージ2倍』、『ドラゴン系特攻(大)』、『毒無効』、『麻痺無効』、『混乱無効』、『炎無効』


習得済み特技:『小回復魔法』、『火魔法』、『筋トレ』、『マッスルサイクロン』、『まねる』、『覚える』、『氷結魔法』、『毒浄化魔法』、『守備力増加魔法』、『闇の雷』、『毒吐息』、『絶対零度』、『ラッキーダイスアタック』、『モードチェンジ』、『ミサイル』、『盗む』、『なぎはらい』、『中回復魔法』



装備

頭防具:花の髪飾り

上半身:ドラゴンアーマー

右 手:マジックバングル+2(雪男の蒼珠)、(毒竜の紫珠)

左 手:日本刀

下半身:ドラゴンアーマー

足防具:皮の靴

装飾品:火龍の加護



 ぶ、物理火力がエグいことになってるこれ。

 魔法も。

 なんかもうモードチェンジいらないなこれは。

 いや仮にモードチェンジしたらこの超絶攻撃力に9999分上乗せされるとでもいうのか?

 そんなんもう大半の敵消し飛ぶぞ。

 なぎはらってるだけでなんとかなりそうだ。


 これから向かう魔法都市では色々できることがあるので、とりあえず今は魔力を優先的に上げていきたい。

 まぁこのレベルあれば『火魔法』が『業火魔法』――いやメテオクラスになりそうなんだけど。

 ちなみにこの手のゲームにありがちな、魔法は自身のまほう力によって上下し、初級魔法でも上級魔法に匹敵するほどの威力が出せちゃったりする。

 といってもそこまでやり込むのは周回者もしくは変態か私くらいのものなのだが。

 ああでもこれ肝心のMPが足りてないな。

 でも初級魔法なら消費MPもごく僅かだし、その辺も相性がいいかもしれない。

 絶対零度一本で事足りるなら話は容易いのだが、この先の敵には属性耐性やらやたら魔法防御の硬い敵が存在するのでそううまくはいかない。

 まあでも炎、雷、氷と兼ね備えた耐性を持つ敵なんてそうそういないから使い分けていけばいいんだけど。

 最悪魔法効かない相手は物理でゴリ押せばいい。

 攻撃力200台の時は敵わなかったが、今ならそれも容易いだろう。


 筋肉を抑えるように腕をきゅっとしてみると、若干ではあるが細くなったような気がする。

 これと長袖でどうにか乗り切ろう。うん。

 戦士顔負けのリアルマッチョなんて恥ずかしくてみんなに顔向けできない。


 獲得資産90億のうち30億Gと残ったドーピングアイテム全部埋めて私たちは朝食を食べに行った。

 これであと残った補強パラメータは『MP』と『きようさ』、それから『しんこう心』だけだ。

 たしか0のステータスには補強が使えないので、運の良さはレベルで上げたのちドーピングアイテムで補強するしかない。

 はてしていつになるやら。



   ◇ ◇ ◇



 またまた素晴らしい船内シェフの一流朝食を美味しくいただき、快適な旅を続けていた私たちでしたが、いよいよ船が本格的に西大陸に向けて上陸しようと動き出した。


「まもなく波止場に到着致します。大きく揺れる恐れがありますので、船内の皆様には焦らずゆっくりと進んでいただくようお願い申し上げます」


 従業員からアナウンスが聞こえると、マックスさんたち男衆がげっそりとした顔で出てきた。


「あれどうしたんですか3人ともお目めが真っ黒ですけど」


「一晩中あの姫様に付き合わされちまってな……ま、このザマだ」


 そういえば3人とも朝食の時はいなかったな。

 おいおい大丈夫か。

 当の姫君様は、到着と同時に現れると「皆さんおはようございます」と昨日の蛮行などまるでお記憶にないご様子でいつも通りお淑やかに振る舞っておられた。

 ……黙っておいたほうが本人のためだろう。うん。


 快適な船旅も終わりを告げ、私たちは遂に西大陸へと辿り着いたのだった。

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