00;24「転生」
「綾 」
「ん?」
「お前と過ごせて良かったよ。」
「なんだよ稔。突然。」
「いや、なんとなくだよ。」
「全く。」
本当はわかっている。自分の命はあと少しなのだから。
ずっと想いを寄せていた彼女と無事に結婚し、子供にも恵まれ円満な生活を送った。
「?、稔?」
「 」
「稔!!」
あぁ、こんなにも人生が楽しかったとは、けど、やっぱりお前を残して先に逝くなんて俺は 悪い奴だ。
俺は後で構えわない、あいつを、せめて次の人生を楽しく、俺なんか忘れて 生きて。
泣きじゃくる彼の声など、今や誰も聞こえない。
!……誰だ?何か俺を呼んでる? 誰?
“ こ? なこ? みなこ? 美奈子!”
「……?」
“いつまで寝ているの?早く起きなさい。”
「……うん。(そっか、俺、いや’あたし‘か。)」
ムクッとベッドから身を起こす。稔いや’美奈子‘
今現在、自分が小学生でそろそろ行かないと遅刻。
「!、遅刻!!」
“慌てて、事故を起こさないでねー!”
「はーい!」
転生をしたからと言っても遅刻癖は治らなくて小2からずっと遅刻の連続だ。
「綾はよく遅刻なんでしなかったな。」
ふと、そんな言葉が出た。歩も綾も遅刻は一切しなかった。もちろん「あゆ」も
懐かしいと思いながらも学校へと登校するが、どこか気が重い。
早くこの時代の「あゆ」に会いたいな。
そう思いながら歩いていると向こうから来る、親子を見た。
「!。(あゆ?いや綾?)」
見覚えのある人、いや多分、人違いだろう。
「!、 ?」
彼らがまたも一度出会うのはまだまだ先の話。
「よし!綾との再会を待っている間、絵をうまくしておかないとあいつが満足できる絵ができるように。」
こうして美奈子はこの時代にいる綾のために絵の技術を上げていた。