対策
「ちょっとサンドラ、建て直すかリフォームってそんなお金はないでしょ・・・」
「もう。エリザ・・・お金が無いなら稼げば良いんじゃないの」
サンドラが当たり前の事を言ってドヤ顔する。
「ねぇ、何か金策はあるの?」
「えっ?普通にここら辺のエリアの敵のドロップアイテムは買い取り価格が高いんだから、ここら辺で戦ってればお金はドンドン貯まるんじゃない?」
「・・・まぁ、確かにここは最前線の1つだけど」
「いや、ここら辺では私たちまともに戦えないでしょ?」
ヒルデもサンドラにツッコミを入れる。
「それじゃ大橋の手前の所まで戻る?」
「待って待って。その前に建て直しやリフォームに幾ら掛かるのか調べないと」
「ん・・・じゃあ、村まで戻って建て直しの料金を調べる?」
どうやらサンドラの中では建て直す事は確定してるみたいだ。
「ねぇ、普通に2部屋あるんだから3人と3匹が寝泊まりするのは余裕だと思うんだけど?」
私は別の案を出してみる。
「えっ?エリザはこのままで良いの?」
「う~ん、ここが最高!!って訳じゃ無いけど、どうせログアウトするだけでしょ?そこまで拘らなくても・・・」
「え・・・クランハウスだよ?マイハウスなんだよ?そこは華やかにしたいと思わない?キャラメイクと同じぐらい拘りたいポイントだと思うの」
・・・あれ?サンドラってそんなにキャラメイク拘ってない素振りをしてなかった?フリだったの?
「そう?私的に庭にテント張って寝てもキャンプ感覚で良いかな?って感じなんだけど・・・」
「それじゃただのログアウトポイントじゃないの・・・」
「プライベートログアウトポイントって言うとちょっとお金持ち感でない?」
「そりゃ400万マニもかけたキャンプ場なら高級でしょ!!ってそう言う話じゃなくてぇ・・・」
「まぁまぁ2人とも熱くならないで。とりあえず新築で幾ら掛かるか確かめてからで良いんじゃない?」
私とサンドラが話してると、ヒルデが仲裁に入る。
「分かったわ。それじゃ村まで戻って聞いてみようか」
「いやエリザ、ここも村だから。ねぇ?ヒルデ?」
「なんでそこで私に矛先を向けるのよサンドラ・・・」
と言う事で私たち3人は村の商業ギルドのグラムさんの所まで来た道を延々と戻る。
冷静に考えたらこの第3の村で他に相談できる知り合いがグラムさんしか居なかった。
「こんにちわ。グラムさん度々すいません・・・」
「はい。今度はどうされました?」
「買った家を見てきたんですけど、想像してたより、その・・・あれだったので改築が新築したらどれぐらい掛かるのかなと」
「あぁ・・・あれだったのですね。・・・それでは村の工務店を紹介すると言う事でよろしいですか?」
そう言えばグラムさんは家を見ないで買った事にビックリしてたな・・・あの家を知ってたのだろうか?
早速、グラムさんに紹介して貰った工務店へと移動する。
「こんにちわ」
「いらっしゃいませ。どうぞこちらの席にお座り下さい」
私たちが店に入るとお姉さんが出迎えてくれた。
促されるままに3人並んでカウンターの前の席に座る。他に客は居ないようだ。
「本日はどのような御用向きでしょうか?」
「えっとクランハウスを建て替えたいのですがどのぐらいの金額になるか知りたいなと思いまして」
サンドラが積極的に話す。
「建て替えになりますと、現在の家の解体費用と新たに建てる家の建設費用が掛かります。解体費用も建設費用もそれぞれその家の大きさによって料金が変わります」
「今の家は3部屋しかない平屋です。あと外に炊飯場があります。建てる家は・・・すいません、まだ決まってないです」
「はい。それでは建てる家のシミュレーションをしてみてはいかがでしょう?」
対応してくれるお姉さんが
「シミュレーションですか?」
「はい。大まかな希望の部屋数や間取りを教えていただければそれを3Dで再現出来ますので実際に目で見て確認が出来ます」
「えっとそれじゃ・・・1階は玄関を入ると1段高くなった一面広いリビングがあれば良いです。2階には6畳か8畳の部屋が3つ・・・」
サンドラが私たちに相談もなく間取りを注文していく。
なんでサンドラはこんなに暴走してるんだろ?
将来結婚したら旦那さんととか普段から妄想してたんだろうか?
「はい。こちらが大まかな間取り図になります。そしてこちらが外観のモデルになります」
差し出されたそれは段ボール箱ぐらいの大きさの2階建ての家のミニチュアモデルだった。
「こちらのパネルで家の細部の変更や壁や屋根のデザイン変更が出来るのでご自由に試してみて下さい」
タブレットみたいな操作パネルを差し出され、それまで借りてきた猫のように静かだったヒルデが色々と弄くり始める。
「やっぱり家は和風より洋風よね・・・屋根は青で壁は純白と」
「ねぇ、西洋のお城なら尖った丸い屋根の部分が無いと」
ヒルデとサンドラがお姉さんが提出した和風住宅を次々と変更していく。
今は玄関の前にホテルの様な大きな屋根、いわゆる車寄せを設置してる。
それ必要かな?馬車であの家に訪れる客が居るとでも?現時点で私たち他のプレーヤーと交流ないのに。
んっ?なぜ屋根に出っ張りを幾つも付けてそれぞれに窓を設置する?
確かにお城っぽいけどそれ要らないんじゃない?
今度は内装を弄ってキッチンを選んでる。
いや、私たち【料理】スキル誰も取ってないじゃん・・・。
「ねぇ、ヒルデにサンドラ、家の中は靴を脱ぐの?それとも土足なの?」
ちょっと気になった事を聞いてみる。
私は家の中では靴を脱いで寝っ転がりたい。
椅子やソファーよりは、畳に掘り炬燵の方が好みなんだけど・・・。
「ねぇエリザ、私たちに聞くんじゃなくてエリザも参加して色々と案を出してよ?私たち3人のクランハウスなんだよ?」
サンドラに叱られる。
えぇ・・・それに私も参加するの?私、和風住宅派なんだけど?
縁側でアインとラメドを撫でながら日なたぼっことかしたいんだけど・・・。
「じゃあ、2階の私の部屋は畳張りにして。あとベランダは広めにしてくれると木の長椅子を置いて日向ぼっこ出来るかなと」
細やかな自己主張をしてみる。
「オッケー。それじゃこんなもんかな。はい出来ました」
テンションの上がったヒルデがお姉さんに声を掛ける。
「それでは奥にこの家を1/1サイズで再現しますので実際に見て確認して下さい」
お姉さんはそう言って席を立ち上がり奥の部屋へと私達を案内する。
扉を開けたその先にはさっきヒルデとサンドラが設定したミニチュアモデルの家が1/1サイズで建っていた。
「ねぇ凄いねこれ!!一瞬で私達の家が出来てるよ!!」
ヒルデのテンションが最高潮だ。
「ん・・・思ったより小さいかな?」
サンドラが何やらブツブツと独り言を言ってる。
「こちらはオプションの小物などのカタログです。ご自由に設置出来ますので試してみて下さい」
私達一人一人に厚めの本が手渡される。
適当に見てみるとテーブルやソファー、コタツなどから、個人用アイテムボックスや初級鍛冶設備や上級調薬設備などゲーム的なものもある。
ここでもヒルデとサンドラが色々と設置していく。
私も自分の部屋に掘り炬燵と座椅子を設置してみた。
「エリザ、そっちはどう?私達はだいたい満足したけど?」
「私も大丈夫だよ」
とりあえず好き勝手に色々と設置して、お姉さんに終了の報告をする。
「それでは見積もりを出させていただきますね。えっと・・・この家を建てるのに掛かる費用は3650万マニですね」
それを聞いて私達は全員、言葉が出なかった。




