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大橋

橋の手前のログアウトポイントで1泊し、再びログインする。


「あ、エリザ。やっと来た!!」


私がテントから出るとヒルデが満面の笑みで私を出迎えた。


「・・・すいません。間違えました」


私は挨拶し、テントの中へと戻ろうとする。


「ちょ!!ちょっとエリザ!!何訳の分からない事をやってるのよ?こっちは待ってたんだからね!!」


「何よヒルデ?どうせ面倒事でしょ?」


「いいから。ほら人を待たせてるんだから早く出てきてよ」


ん・・・人を待たせてる?

何の事かと思いつつテントから出てまわりを見渡す。


「あれ?サンドラは?」


「あ、サンドラはあっちで買い取り交渉してるとこ」


「買い取り交渉?」


「そう。このログアウトポイントに商人プレーしてるプレーヤーさんが来てねここに居る人に素材買い取ると声を掛けてたのよ」


「あぁ、そうなんだ」


「ほら!!エリザも【収納】ある魔物のドロップアイテムをあるだけ売って来なよ!!これで今日の道中は狩りが出来るわ」


あ・・・そう言う事が・・・。

歩くだけの道中な飽きてたヒルデに、戦闘狂の傾向があるサンドラ。

私が反対しても2対1で負けるから、今日は狩りしながらの移動になるのはほぼ決定的。


「・・・アインとラメドを出さなくて良いなら狩りしても良いよ?」


「えぇ、でもアインとラメドって盾役が居ないと1番危険度が上がるのはエリザだよ?」


「・・・従魔を出してると経験値効率が悪いんだよ。1番得してるのヒルデじゃん」


「ん・・・そこは諦めてとしか言い様ないわ。・・・あとでエリザのやりたい事に付き合ってあげるからさ」


「約束だからね?」


私1人でゴネても仕方が無いのでその約束で妥協しとく。

気分的には貸し1つって感じ。


「あ、エリザおはよう。ねぇねぇあれ見て!!」


こっちにやってきたサンドラが指した方を見ると何人かして舟のような物を川の方に運んでいた。


「何あれ?」


「生産系のプレーヤーの集まりだって。今からあの舟を川まで持っていって川下りするらしいよ」


「川下りって大丈夫なの?滝とか無いの?と言うか川を下ると何かあるの?」


「何があるか分からないからとりあえず下ってみるみたい。と言うか川下りして遊びたいだけみたいよ?帰りは王都に死に戻る予定って言ってたから」


死に戻る前提の遊びなのかい・・・。

まぁ、帰りの時間を短縮するのは良いのかも。

いわゆるデスルーラって言われる行為だよね。


「さすがVRMMOね。私が想像する斜め上の楽しみ方を考え出す人がいる」


ヒルデが訳の分からない感心の仕方をしている。


「じゃあ、ヒルデは紐を付けて橋の上から飛んでみる?」


「ねぇサンドラ。なんで今の話から私がバンジージャンプする話に話が飛ぶの?」


「新しい遊び方を探そうとしてたから。あっエリザが飛ぶ?」


「あ・・・私はいいや。アインとラメドと川原の砂で山崩しやってるから、ヒルデは飛んできて良いよ?」


「待って。なんで私がバンジージャンプを飛ぶ前提で話してるのよ?そもそもロープが無いでしょ!!」


「あ、ロープがあれば飛ぶんだね?」


「飛ばないわよ!!と言うかエリザは早く魔物のドロップアイテム売ってきなさいよ!!」


その後、行商プレーヤーに魔物のドロップアイテムを売って【収納】のスペースを空け、ログアウトポイントを出発する。


そこから少し歩くと森が開け、川が見えてくる。


「うわ・・・広い川・・・向こう岸が霞んで見える」


「間違いなくキロは越えてるよね?2kmか3kmか・・・」


「そんなもんじゃないでしょ?もっとあるよ?これ」


更にそこに石橋が架かっている。

街道と同じ道端、馬車が余裕をもってすれ違える道端のアーチ状の石橋が対岸まで続いている。


「メガネ橋って言うんだっけ?こう言うの。なんか日本じゃ無いみたい!!」


「いや、ゲームの中だから(笑)」


「リアルだったら洪水1発で流されるよねこれ」


そんな感想を持ちつつ橋を渡る。

橋の上は風が強く感じられるが吹き飛ばされるほどではない。

橋の欄干に手を掛け景色を楽しんでるプレーヤーも何人かいた。


「橋から釣りをしてる人がいるよ・・・何が釣れるんだろ?」


サンドラが呟いてる。


「そう言えば東の街から更に奥の村へ向かうと吊り橋があるみたいよ?今度そっちにも言ってみる?」


「吊り橋を見る為だけに?それはそれで絶景っぽいから行っても良いよ?」


大橋を渡りきり更に街道を進む。

少し先を見ると街道脇にに人影が見える。

馬車が街道脇停まっていて、人影がそれを囲むように集まっている。


「ねぇ、あれって何だろ?」


「・・・ねぇ、あれ魔物よ!!馬車が襲われてる!!」


私の質問にサンドラが答える。


「えっ魔物!?どうする?助ける?」


「助けるに決まってるでしょ!!」


ヒルデが先頭をきって走り出す。


「もう勝手に決めて!!」


私とサンドラもヒルデのあとを追うように走り出す。

近付くと人影に見えたそれは、頭が犬で身体が人間の小型の魔物だった。


「ちょっと!!人型の魔物!?」


「コボルトよ!!」

「ライトソード!!」

「ダークソード!!」


ヒルデが魔法で先制攻撃を仕掛ける。


「シエロ!!」


サンドラはネックレスからシエロを召喚してる。


「アイン!!ラメド!!」


私も急いでアインとラメドを召喚する。


コボルトはヒルデの魔法を受けてこちらに気付くと私たちを迎撃する為に陣形を組む。


1匹のコボルトがヒルデを目掛けて手に持った短剣で斬りかかる。

それをヒルデは片側の片手剣で受けて、もう片方でコボルトを斬ろうとするが、その瞬間に街道脇の木の上から飛び降りてきた棍棒を持ったコボルトに飛び付かれ地面に転がる。


「ヒルデ!!」


ヒルデに追撃をしようとするコボルト数匹に向かってサンドラが盾を構えて体当たりをしコボルトを弾き飛ばす。


「チチッ!!」


シエロがウインドサークルの魔法を放ちコボルトにダメージを与える。


「数が多い!!」


私はメイスにファイヤーボールを纏わせ、ヒルデにしがみついてるコボルトを殴り飛ばす。

まわりを見るとアインとラメドにはそれぞれ2匹づつコボルトが牽制していてアインとラメドがこちらにフォローに来る事を阻んでいる。


「こいつら戦い慣れてる!!と言うか集団戦術を使ってくるよ!!」


「とりあえず1匹づつ確実に倒していくよ!!」


それから20分ぐらいして最後のコボルトを倒し終えた。


「ふぅ・・・久しぶりにまともな戦闘をした気分だわ」


「全滅するのと紙一重だったから。満身創痍だよ私たち」


「橋を渡ったら一気に魔物の強さが上がった感じねぇ」


「ヒルデ、1人で突っ込むのは駄目でしょ!!初手でミスったの大きいよ?今の戦闘」


「ごめん。まさかここまで強いとは思わなかった。まさかエリザに突撃を怒られる日が来るとは」


「反省してないでしょそれ?せめて私とサンドラが従魔を呼び出してから戦闘を始めないと」


「そうだよ?スキル進化させる前の私たちならもう少し楽に倒せたかも知れないけど、今は弱くなってるんだからね?」


「そうだよ?アインとラメドとシエロで数を増やして誤魔化してるだけなんだから!!」


「ヒルデ、罰として今日の狩りは無しだからね?」


「・・・うん。今日はもう狩りは良いかな。今の戦は何回もやりたいとは思わない」


珍しくヒルデが弱気だ。

まぁ、下手したら今の戦闘で王都に死に戻ってここ数日の行程が無駄になるところだったのだから弱気になるのも当たり前か。


「あ、馬車の生き残りは?」


「駄目。護衛の冒険者と御者がやられて、馬車の中でログアウトしてたプレーヤーはあっさり餌食になっちゃったみたい」


「うわ・・・それは悲惨」


村に到着してると思ってログインしたら、王都神殿とか嫌すぎる。


「私たちも残り数日はいつ奇襲を受けるか分からないから気を付けて歩かないとね」


「そうだねぇ。シエロとアインとラメドは常に呼び出していた方が良いかも」


それから私たちは厳戒態勢で街道を進む事になった。


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