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サンドラの決断

街の人だかり夜のクエストを探してるプレーヤーや、深夜帯のプレーヤーだったらしく、何とか宿屋に泊まれた。


「ふっふっふ。待っていたぞエリザ!!」


翌日、私がログインすると変なテンションのサンドラが私を出迎えた。


「ん・・・朝からそのテンションはキツいかも」


「えぇ!?朝だからこそこのテンションなのに・・・」


「何か面白い情報を見付けたの?」


「ちょうど良いタイミングで面白そうな情報が出ててね。私たちのログイン時間も合ってたから私がキッチリカッチリ段取りしといたよ」


「うん。何言ってるか分からない」


「ヒルデが来たら話すね」


全員揃ってから話さないと二度手間にだものねぇ。

そして例によってヒルデはログインが遅い。

待ち合わせ時間ギリギリに来るタイプ。遅刻してないので文句も言えないから癖が悪い。


「おはよう!!掲示板見た?凄い盛り上がってるよ!!」


来るなり自分の話したい事を話し始めるヒルデ。

そう言えば前に『空気は読むものじゃなくて、自ら作るものだよ?』と真面目な顔で言ってたのを思い出した。


「何か盛り上がる情報が出たの?私は寝る前に掲示板を覗いたきりだから今朝は見てないよ」


「掲示板で盛り上がってる内容は大きく分けて2つあって、1つはとうとうスキルをレベル30に到達させたプレーヤーが出て、スキルがレベル30でランクアップや変化させる事が判明して祭り状態」


ん・・・私たちはこの情報をチーノ婆ちゃんに聞いて知ってたから、今更騒ぐネタじゃないんだよねぇ。


「それでもう一つは?」


「もう一つは王都でイベントクエストをやっててスキルリストには載ってなくて、スキルポイントを消費して獲得する方法では獲得出来ないスキルが手に入ったって情報」


「えっ?それって【魔力操作】の事?もう情報開示した馬鹿が出たの?」


「違うよ。【魔力操作】じゃなくて【過強化】ってスキル。スキルを使用するとステータスが全体的に強化されるけど、強化してる間はHPが減り続けるってスキルみたい」


「あ・・・狂戦士化みたいな感じ?」


「それを言うならリミッター解除じゃない?」


サンドラが私の例えを否定する。

ニュアンスはだいたい合ってるじゃん・・・。


「ちょっと格好良いよね。物語の終盤に主人公が使いそう」


自称英雄ロールを目指してるヒルデは代償があるスキルは好物のようだ。


「それってどうやって取ったの?」


「それは公開されてないよ。王都でのイベント中に見た事が無いスキルを手に入れたと掲示板で自慢して、証拠にスキルのスクリーンショットを出しただけ」


「運が良いとNPCからスキル教えて貰えるって情報は昨日の夜の時点でも幾つか報告されてたからねぇ」


サンドラが納得したように頷く。


「そうなんだよ。NPCからスキルポイント消費せずスキルが貰えるってだけでも結構なネタなのに、スキルリストからは獲得できないスキルが貰えるって燃料が追加されて掲示板は大盛り上がり」


「掲示板で騒ぐなら、プレーしてイベントに参加すれば自分でもスキル発見できる可能性が上がるのにね」


「エリザ・・・闇雲にプレーしても見付けられる訳ないじゃん。しっかり情報を集めてから行動しないと」


いや、私たちは闇雲に動いてスキルを既に2つも教えて貰ってるんだけど・・・。

あれ?冷静に考えると私たち良い感じでトップ層に近付いてる?

いや、情報を秘匿してるプレーヤーは大勢居るだろうからイベントで何個もスキルを手に入れたプレーヤーはそれなりに居るだろうな・・・。


それに幾つもスキルを手に入れても一度に装備できるのは10個までだし、スキルを変更できる場所も限定されてるから、スキル1つで他のプレーヤーにどれだけ差を付けられるかと言うと微妙なんだよね。


「ねぇ、エリザ聞いてる?・・・ちょっとエリザ!!」


「んっ?あ、ゴメン。ちょっと考え事をしてた」


「もう。それでね、これから北門の冒険者ギルド前まで行くからね?」


んっ?なぜ冒険者ギルド?

しかもここから近い東門の冒険者ギルドじゃなく、北門の冒険者ギルド?

そう言えば今日は何をやるんだろ?


「えっ、本当!?」


ヒルデは何をするのか気付いたのか驚いてる。


「ふふっ、褒めて褒めて」


サンドラはヒルデの驚きを見て満足そうにしてる。


「ねぇ、北門の冒険者ギルドに行ってどうするの?それに北門まで移動するのに半日以上時間掛かっちゃうじゃない」


私が質問すると2人から呆れられる。


「本当に全く話を聞いてなかったのねぇ」


「そしてまともに掲示板すら見てない・・・と」


あれ?これガッツリ叱られるパターン?


「話をしても聞いてない人に、話をしても無駄だろうから黙って付いてきてね」


更に私は質問するも2人に「はいはい」と素っ気なくあしらわれた。

仕方が無く素直に2人の後を付いて行くと東門の所にある冒険者ギルドに辿り着いた。


「あれ?北門の方に行くって言ってたよね?」


「ここから馬車に乗るのよ」


「えっ?王都から出るの?」


えっ?私はこれから何処に行くんだろ?

南の町でレベル上げ?


「はいはい。付いてきてね」


冒険者ギルドの前に1台の馬車が停まってる。


「おはようございます。予約してたサンドラです」


馬車をひく馬の世話をしてる人サンドラが話し掛ける。


「はい。御予約ありがとうございます。3名様で3万マニに成ります」


サンドラが言われるままにお金を払う。


「北門の冒険者ギルド行きだよ!!1人15000マニで運ぶよ!!あと5分後に出発だよ!!先着7名までだよ!!」


サンドラからお金を受け取った男が大声で叫び乗客を募集する。

軽く運賃を値上げしたるのはボッタクリなのか予約した私たちに配慮して差を付けてるのか。


「1人1万マニだからね」


サンドラがサラッと私たちに請求してくる。

何の説明もされずお金だけ請求される私・・・。

しかも1万マニって結構な金額だよ?


「この馬車が北門前の冒険者ギルドまで運んでくれるの?」


お金をサンドラに渡し質問する。


「そうだよ。昨日の夜に連絡とって予約しといたの」


「何処でそんな伝手を?と言うかなんであの人は馬車を持ってるの?」


「えっ?掲示板で普通に募集してたよ?馬車は仲良くなったNPCのお爺さんから買い取ったらしい」


サンドラ、よくそんなの見付けたよね。

しかも連絡とって予約しとくって段取り良いな。


「それで北門に行ってどうするの?もう教えてよ」


「エリザ、今日は戦闘三昧です」


サンドラが訳の分からない事を言い出す。


「はぁ?どういう事?」


「昨日、私たちは牧場で戦闘をしてミミズを撃退しました。でも戦闘があったのは私達だけじゃありませんでした。と言う事は?」


サンドラが突然語り出す。

これは何の演技だろう?


「今日も何処かで魔物が発生するって事?」


「エリザ君、不正解!!」


サンドラに即否定される。

ヒルデはそんな私を見てニヤニヤしてる。

あぁ、ヒルデは答えに気付いてるんだった。


「正解は、戦闘に負けたパーティーが居るんです。そして魔物はそのまま残ってる訳です」


「それを私達が横取りして討伐するって事?」


「エリザ、不正解!!次間違ったら罰ゲームね?」


「それで正解は?」


「負けたパーティーがリベンジする為に援軍を掲示板で募集してたの。それでそれに立候補したらOK貰った訳」


ドヤ顔でサンドラが語る。


「よくOK貰えたね?他にも参加希望したプレーヤーは多かったでしょ?私たちは無名なのに」


「あ、それね。私たちは王都での戦闘を3人でクリアしたって言ってら即決で採用してくれたよ?」


・・・またコイツは秘匿情報をペラペラと漏らして。


「サンドラ、そう言う情報を簡単に漏らすと駄目だって3人で話したよね?」


私が指摘する前にヒルデがサンドラを問い詰める。


「相手のパーティーにここだけの話と言う事にしといたから大丈夫だよ?それにその情報が無ければこの討伐戦に参加できなかったよ?」


サンドラが屁理屈を捏ねる。

いや理由があれば勝手に漏らして良いって訳じゃないと思うんだが。


「そう言う訳だから、これから他のプレーヤー達と合流して討伐戦だよ?」


んっ?他のプレーヤー達と合流して?

そのパーティーと合流じゃなくて?

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