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先達の驚異

普通は真っ直ぐにしか飛ばないボールの魔法を自由自在(?)に動かす事が出来るチーノ婆ちゃん。


「ただの宴会芸だよ。ふふっ」


チーノ婆ちゃんは私が驚いてるのを見て嬉しそうに笑う。


「チーちゃん、氷お願い!!」


お酒を飲んでるお爺ちゃんから呼ばれてチーノ婆ちゃんはそっちに行ってしまった。


「『アイスメーク』」


チーノ婆ちゃんが魔法を唱えると小さいバケツのような容器に丸い氷が幾つも出来上がる。


ん・・・氷魔法?えっ何?氷魔法?

魔法って火・水・風・土・光・闇の6系統しかないはず。

氷魔法って何?水魔法で覚えるの?それとも固体だから土魔法?


「あれ?どうしたい?私の宴会芸がそんなに驚いたかい?」


こっちに戻ってきたチーノ婆ちゃんが私に声を掛ける。


「あの今の魔法って氷魔法ですか?」


「そっちに驚いたのかい?」


チーノ婆ちゃんはクネクネ動くウインドボールじゃなく、氷魔法の方が気になる私に驚いたようだ。


「氷魔法かい?あんなの水魔法をある程度習熟させれば簡単に覚えられるじゃないか。ちゃんと魔法の勉強はしてるのかい?」


「あ・・・いや、勉強はしてないですねぇ。使って覚える感じで」


「ならエリザちゃん、チーノさんに魔法を教えて貰ったら良いんじゃないの?」


「なんだいチーちゃん、弟子を取るのか?ならサンドラちゃんはワシの弟子になるか?(笑)」


酔っ払った爺ちゃんはサンドラを弟子にしたいらしい。

何の弟子になるんだろう?少し気になるけど今はそこじゃない。


「ウインドボールの動かし方って教えて貰えるんですか?」


「良いよ良いよ。教えてあげるわよ。若者は興味を示さない技術だも知りたければ幾らでも教えるわよ。ねぇチーノさん」


魔法使いじゃないお婆ちゃんが教えると確約してくれた。


「良いのかい?最近の子は興味を示さないんだけどね。こんな子供騙しは」


チーノ婆ちゃん、自慢したいのか自虐なのかよく分からない。


「そんな事ないですよ。私を含め異界人の魔法使いならみんな興味を持つと思いますよ?」


「そうかい?なら教えさせて貰えるかな。明日はどうだい?この集会所の裏の道を南に行った処に魔術ギルドがあるから玄関に目印になるように鉄で作った花の輪を掛けとくよ。待ってるから3人でおいで」


「あ、明日は都合悪いんで明後日で良いですか?」


あれ?一気に予定が決まってしまった。

しかも3人で行く事になってる。ヒルデとサンドラに後で頼み込もう。

3人来ると待ってる相手の所に1人で行くとか針の筵だもの。


その後もお爺ちゃんお婆ちゃんの宴会は続き、お年寄りの噂話好きはリアルでもゲームの中でも変わらないのを実感する事になった。

どこどこのお店のポーションは隠し味に何々を使ってて美味しいとか、街の北東には牧場があって馬に乗れるとか、王都の中にも魔物が出る場所があるから気を付けろなどなど本当なのかデマなのか分からないお年寄りの噂話は面白かった。


「それじゃエリザちゃん、明後日待ってるよ」


「はい10時頃にお邪魔します。よろしくお願いします」


チーノ婆ちゃんは帰り際も私に念を押して帰ってった。

そして飲み過ぎで帰れなくなった爺ちゃんも数人残った・・・。


「マッテオさん大丈夫?お迎えの馬車呼びますか?」


マヌエラさんが酔い潰れたお爺ちゃんを介助してる。


「だいじょうぶ、少し寝れば帰れるから・・・」


完全に酔い潰れてるじゃないか。

よくここまで飲んだなこのお爺ちゃん。


「あれ、サンドラが飲ませて潰したんだよ・・・」


ヒルデが私に小声で耳打ちする。


「人聞きの悪い事を言わないでヒルデ。あのお爺さんの話が面白かったからついついお酒を注ぎ過ぎたの」


あのヒルデの小声が聞こえたのかサンドラ。

地獄耳だな・・・。


「面白い話?」


「マッテオさん、元王国騎士団で良いとこまでいってたんだって。それでねスキルの話とか詳しくて・・・詳しくは後で話すよ。それより早くここを片付けちゃおう」


集会所の片付けを終えるとマヌエラさんから声を掛けられる。


「いや助かったよ2日間ありがとう。3人が手伝ってくれたおかげで大盛り上がりだったよ。本当にありがとうね」


「いえ、それじゃ私たちはこれで」


別れの挨拶をすると頭の中でメッセージが届いた音が鳴った。


『イベントポイント獲得 2000p』


あ・・・こうやってポイント獲得するんだ。

そう言えばイベント真っ最中だったね。スッカリ頭から抜けてた。

それよりもチーノ婆ちゃんの魔法の方が今は興味ある。


昨日と同じように3人で喫茶店でお茶をする。


「昨日は御菓子貰えたのに、今日は食べ物貰えなかったねぇ」


サンドラは御土産が貰えなかった事が不満らしい。


「今日は御菓子を用意してなかったでしょ?それとも残ったお酒や仕出しのおつまみを御土産に欲しかったの?」


「あ、おつまみは欲しかったかも」


「私、お婆ちゃんが作ってきた漬物を貰ったよ?ほら」


「エリザばっかりずるい。そう言うとこちゃっかりしてるよねぇ」


「エリザ、お店の中で持ち込み物を出さないの。マナー違反だよ」


「あ、そうそう。明日の午前中2人とも私に付き合って。チーノ婆ちゃんが魔法を教えてくれるらしくて3人でおいでと言われて」


チーノ婆ちゃんのとこに行くの2人に頼み込まないと。


「魔法を教えてくれる?なにそれ?」


「凄いんだよチーノ婆ちゃん。氷魔法を使えたり、ウインドボールを自由自在に操ったり。それを詳しく教えてくれるらしいの」


「えっ?氷魔法ってそれ掲示板には出てない情報だよ?なんでそんな事になってるの?」


「いや、私が冒険者やってて魔法使いだって言ったら話が盛り上がって?」


「あ、氷魔法は私も見たかも。お酒に入れる氷を作ってた魔法でしょ?」


サンドラはチーノ婆ちゃんが氷魔法を使うとこを見てたみたいだ。

酔っ払いのお爺ちゃん達と話をしてたしね。


「マッテオさんの話も面白かったよ?スキルには系統が合って、それぞれのスキルを上げるとスキルを統合出来るんだって」


「サンドラなにそれ!?なんでそんなレア情報を2人とも仕入れてるの?」


「逆にヒルデは何してたの?ちゃんと話相手をしてたの?」


「えぇ、私も話は聞いてたよ?美味しいお店とか王都のおすすめ観光スポットとか。知ってる?王都の北東の外れには牧場があって馬に乗れるみたいだし、北西には墓地があって肝試しスポットになってるし・・・」


「ヒルデ、そこまで必死にならなくても・・・」


「それでサンドラ、スキル統合の話を詳しく教えてよ」


「えっとね。例えは武器の槍だと【長槍】【短槍】【騎乗槍】【投げ槍】って4つに分かれててね。その4つそれぞれをLv30まで上げると【槍術】って1つのスキルに統合出来るんだって」


「えっと・・・それって何かメリットあるの?自分が持ってる武器が長槍だったら、【長槍】スキルでも【槍術】スキルでもどっちでも良いんじゃないの?」


「それはそうなんだけどね。武器を持ち替えて戦う人なら10個しか装備出来ないスキル枠の節約になるのよ。私だと片手斧と投げ斧とスキル枠を2つ使ってるのが1つで済むようになるって訳」


「あ・・・私それぽい事を[日陰屋]のおやっさんに言われた事があるかも。長杖と棍は相性が良いからとか何とか言われて棍を勧められたから」


「エリザ・・・そんな時から情報を掴んでたのにスルーしてたの?お馬鹿!!」


「えぇ・・・お馬鹿って。それにヒルデのスキル編成だと知っても恩恵ないんじゃないの?」


「それを知ってれば片手に刺突剣、もう片手に短剣って貴族の決闘スタイルプレーを選んでたかも知れないでしょ?」


「いや、ゲーム始める前にネタプレー禁止って言ってたのヒルデじゃん・・・」


「ねぇ、話は途中なんだけど話を進めてもいい?それとももう興味ない?」


私とヒルデが騒いでると、話の腰を折られ不機嫌気味のサンドラに止められる。


「えっと・・・続きをお願いします」


「それでねスキル統合は武器だけじゃなく補助スキルって言うの?それも一定の組み合わせで統合出来るらしいの」


「サンドラ、そのスキルの組み合わせは?」


「それを聞いてる時にマッテオさんが酔い潰れちゃってねぇ・・・」


「ねぇこれ一応、秘匿しといた方が良いよね?」


「当たり前じゃない。これで私たちはトッププレーヤーの仲間入りが出来るかもよ?」


あれ?ヒルデの変なスイッチが入った?

トッププレーヤーとかより、チーノ婆ちゃん訪ねる話は大丈夫?ねぇちょっと。

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