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第2の街周辺

「おぉ、ドロップアイテムがいっぱい!!」


私たちは休憩がてら羽ウサギのドロップアイテムと確認していた。

ドロップアイテムはウサギの肉とウサギの皮、ウサギの羽根のどれかが手に入った。

1人合計12個。どれが幾つ手に入ったかは1人1人違った。


「6匹分のドロップを3人で分けてるからねぇ」


「6人パーティーならこれが半分になるんでしょ?6人パーティーとか損しかないんじゃないの?」


「6人パーティーなら羽ウサギ6匹に全滅危機になる事はないんじゃない?」


「人数が少ないほど経験値やアイテムドロップが増えるけど、人数が多いほど戦闘が安定するから連戦し易い訳で」


「ソロで羽ウサギ6匹とか無理ゲーだよねぇ」


「3人でも無理ゲー感があったものね」


「ヒルデの空振りはヤバかったねぇ」


「あれはしょうがないでしょ?攻撃にミスは付き物よ?100%命中なんて有り得ないんだから」


「エリザの魔法もヤバかったよねぇ。私を巻き込むとこだったよ?」


「いや、あれはファインプレーでしょ?あれで形勢逆転したようなものよ?頑張った私」


誰も褒めてくれないので自分で自分を褒めてあげたい。


「転げ回ってたものねエリザ。魔法使いらしくない立ち回りだったよ?杖で相打ち狙いとか」


「エリザは自分では理知的だと思ってるけど、実際はイノシシ系だからねぇ。思考停止して反射で行動する方が向いてると言うか、気合いと根性系と言うか」


えっ?それは褒めてるの?貶してるの?

サンドラの私の評価はイノシシかい。


「はいはい分かりましたよ。なんで最終的に私に矛先が向くかな・・・。そろそろ次に行こう。羽ウサギ5匹以上居たら逃げるのは決定だからね?」


それから少し徘徊して魔物を探してると遠くて戦闘する音が聞こえる。

野次馬根性で近くまで見に行くと他のプレーヤーが多足のカエル数匹と乱戦を繰り広げてた。

見ると地面に2人ほどプレーヤーが倒れてる。

更に残りの2人も魔物にトドメを刺され倒れる所だった。

戦っていたパーティー全員が地面に倒れるとパーティー全員が光となって消えた。


「あ、ヤラレちゃったね・・・」


「カエルか。アイツら突然襲ってくるから厄介だわ。奇襲でヒーラーがやられちゃったらジリ貧になるから」


「あと先制攻撃で何匹か削れないのもキツいよねぇ」


正式名称は分からないけど多足のカエル。

足が6本あり複数で草むらの中で動かずジッとしててプレーヤーがそこに踏み込んだら突然飛び掛かり体当たりと、大きな口で噛み付かれる。

純粋な後衛なら2、3発くらったら死亡だろう。


倒されたプレーヤー達が光となって消えるのを見てると、カエルの中の1匹と目が合う。


やばっ。


「ファイヤーボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ウインドボール!!」


直ぐに魔法を乱射する。


「ちょっとエリザ!!何いきなり戦闘仕掛けてるの!!」


「カエルと目が合ったの!!」


「目が合ったから殴り掛かるとか田舎のヤンキーじゃないんだからっ!!」


文句を言いつつもヒルデとサンドラも戦闘態勢に入る。


「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


私が魔法を撃ち込んだカエルにヒルデも魔法を撃ち込みカエルを倒す。


「あと3匹いるよ!!」


サンドラがカエルの体当たりを大盾で受け止め、噛み付き攻撃を仕掛けてきたカエルを片手斧で迎撃する。


「ヒルデ手伝って!!私1人では支えきれない!!」


サンドラがヒルデに盾役のサポートを要請する。


私はサンドラたちの横に回り込み射線を確保するとカエルに魔法を乱射しカエルのHPを削る。


「強振!!」


サンドラの片手斧の技が決まり、カエルは吹っ飛ばされそこで光と変わる。


「早突き!!」


ヒルデも片手剣の技で飛び掛かってくるカエルを迎撃し、トドメを刺す。


「ラスト貰った!!」


私が魔法を乱射しようとすると、目標のカエルにサンドラの投げた手斧が命中しトドメを刺した。


「ちょっとエリザ、合図も無しに戦闘を始めないでよ?」


「違うんだって。目が合ったの。カエルに見付かったらカエルから攻撃してくるじゃない?だから近付かれる前に魔法で先制攻撃をしたのよ?」


「それにしたって一声掛けるぐらい出来るでしょ?」


「そうだよ?戦闘しないで全力で逃げる選択肢もあるんだからね?ホウレンソウだよ?」


「相談してたら、攻撃受けてたとおもうんだけどなぁ・・・ところでサンドラ、報告と連絡って何が違うの?」


「ん・・・語感?」


「サンドラが話に混ざると途端に話が脱線するわね・・・」


呆れるヒルデをスルーして話を変える。


「ねぇ、豚ネズミの討伐依頼を受けてるんだからウサギやカエルじゃなく豚ネズミを狙わないと」


それからも周辺を徘徊し魔物を見付けては倒し、時には戦わず逃げ、無事にクエストをクリアし街に戻った。


「いや、大量だね。王都周辺よりドロップ率が良いんだね。【収納】だけじゃなくリュックサックもほぼ満杯だよ」


私は上機嫌で冒険者ギルドの買い取りカウンターに列ぶ。


「93500マニになります。よろしいですか?」


おぉ、あと少しで10万マニの大台だよ。

第2の街の周辺はかなり美味しい。

もう1日4000マニの宿屋の出費に怯えなくていい。

クエストの報告をして報酬を受け取るが誤差の範囲の収入だ。


「この収入ならポーションをガブ飲みしても黒字になるねぇ」


「今の戦い方なら特にポーションは必要じゃないけどね」


「装備更新も数日後には出来るかも」


「2ランク上ぐらいの装備を買うのもアリだよね」


「じゃこの次には第2の街を散策してみる?どこかに青空市も出来てるだろうし、装備がどれくらいの値段で売ってるか下見してみよう」


「分かった。ヒルデ、掲示板で下調べお願いねぇ」


「ちょっとサンドラ、私に丸投げ?」


「信頼の証だよ?」


「そうそう信じてるよヒルデ」


「こう言う時ばっかり・・・」


ヒルデは口では文句を言ってても、頼られるのが満更でもないのが態度で分かる。

調べた知識を語るのが好きなんだよねヒルデ。


ログアウトし家族でご飯を食べてるとお婆ちゃんに手伝いを頼まれた。


「葵、明日の昼間にお盆用の紫蘇餅をつくから、あんた手伝って」


いきなり言うのは止めて欲しい。

しかし家でダラダラゲームやってるだけの私に拒否権は無い。


「うん分かった。午前中で終わる?」


「畑から紫蘇を取ってきて洗うとこからだから午後までかかるな」


凜と祐奈に悪い事しちゃうな・・・第2の街で2人で狩りをするのは厳しいだろうし。


ご飯の洗い物をして再びログインする。


「ごめん。明日の昼間に予定入っちゃった」


「えっなに?突然」


「もしかしてデート?」


「そう。婆ちゃんとデート。お盆用の餅をつくから手伝えって言われて」


「あぁ、紫蘇餅?あれ美味しいよね」


「私の家でもつくだろうからお互い様だよ」


「突然ゴメンね」


「じゃ、散策は止めて狩りをしよう。散策はエリザが居ない明日ゆっくりやるから」


「えぇ・・・私も見て回りたいのに」


「お盆近くになれば私たちもログイン出来なくなるから、エリザが街を見て回る時間はあるよ。1人でだろうけど(笑)」


「いや、その時は居る方は付き合ってよ。と言うか案内してよ?」


「じゃ案内出来るように明日はしっかり見て回らないと」


「そして今からはその為の資金稼ぎを頑張らないと」


「そうだね。エリザが居ない間に装備更新してても面白いかも」


それから冒険者ギルドでポーションを幾つか買って、街の北側周辺で【収納】とリュックサックがいっぱいになるまで狩りをした。

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