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第2の街

「ねぇ、思うんだけど魔物とも戦わず延々と街道を歩くのって収入的には赤字だよね?」


私は思った事をヒルデに聞いてみた。

お弁当を3食食べてるのでその分だけ赤字になってる。


「ここからは街道にも魔物が出てくるから好きなだけ追い剥ぎ出来るよ(笑)」


「追い剥ぎって・・・」


「エリザには魔物がお金に見えてるんてしょ?」


酷い言われようだ。

私はただ内緒で棍を買ってしまったのでサイフが寂しいだけなのに・・・。


「2人とも話してないでそろそろ出発しようよ」


私はログアウトポイントで1泊した(リアルで昼食を食べた)後、街道に戻り第2の街へ歩き出した。

数時間歩くと初めて街道で魔物に遭遇した。


「いた!!いたよ!!魔物!!1匹だけど」


見付けた私が2人に声をかける。


「本当に魔物がお金に見えてるのかも」


「ただ歩くのって飽きるよねぇ。景色も綺麗だけど代わり映えしないし」


「あれは大きなネズミ?豚ぐらい大きいんだけど?」


「エリザ、せーので魔法を撃つよ」


「ファイヤーボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ウインドボール!!」

「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


私とヒルデが魔法を乱射する。

魔法が全弾命中するが倒しきれない。


「硬い!?」


「HPが多いんでしょ!!サンドラ来るよ!!」


豚の様に大きなネズミ・・・豚ネズミの突進をサンドラが盾を構えて受ける。

しかし受け止めきれないのか、巧く盾を傾けて豚ネズミの突進を逸らす。


「駄目!!受け止めるにはステータスが足りないかも!!」


いやいや魔物の的になってくれるだけでありがたいよサンドラ。

ソロ狩りやったから実感する。

魔物から狙われないって快適。余裕が出来るもの。


「ファイヤーボール!!」

「ソイルボール!!」


魔法を数発撃っては走って移動し魔物から狙われないようにする。

ヒルデも同じように魔物に魔法を撃っては逃げる。


「ちょっとヒルデ!!回復もお願い!!」


1人、豚ネズミの攻撃を受けながら片手斧で攻撃するサンドラはそれなりにダメージを受けてる。

盾で受ける事に専念すればもう少しダメージを防げると思うんだけど、そこはサンドラの美学があるらしい。

ストロングスタイルとか訳の分からない事を言っていた。


「トドメ!!」


豚ネズミの後方から片手剣を振り上げ飛び掛かるヒルデ。

しかし、豚ネズミの後ろ脚での蹴り上げを受けて吹っ飛ばされる。


「よいっしょ!!」


サンドラが豚ネズミの頭に片手斧を打ち下ろし豚ネズミは光となって消えた。


「ヒルデ~生きてる?」


死んでは居ないのは分かるけどとりあえず声をかける。


「危なかった・・・ギリギリ盾で受けれなかったら死んでたかも」


「不意打ちなのに、大声を出したら気付かれるよねぇ」


サンドラがヒルデに駄目だしをする。


「うぅ、魔物がだいぶ強くなってるね。今の数匹出てこられた全滅するかも?」


「1匹だったから、何とかなったよね。HP多過ぎ」


「逆に1匹でしか出ないからHP多めなのかも」


「あぁ、そのパターンありそう」


「この会話が複数の豚ネズミに襲われるフラグなんだよね?」


「サンドラ、それフラグ折ってるの?強化してるの?(笑)」


「ドロップアイテムは肉が2つか」


「えっ?エリザは肉なの?私は皮が2つだけど?」


「私は肉と皮が1つづつだよ?」


どうやらドロップアイテムが2種類あるらしい。

どちらかがレアドロップ?

いやレアドロップならそんなに多く出ないか。


その後も今まで戦った事が無い魔物と遭遇した。

多足のカエル、羽の生えたウサギ、カボチャ頭の幽霊などなど。

どれも楽勝とは言わないまでも何とか討伐する事が出来た。


「魔物も個性が出て来たねぇ。色々とあって飽きないかも」


サンドラが楽しそうに話してる。

HPの多い単体魔物、死角から突然奇襲してくる魔物、数で押し潰そうとしてくる魔物、空から降りてこず遠距離から魔法を撃ってくる魔物など個性豊かだった。


ゲーム内で3日間、野宿をしながら街道を歩き通し今は4日目の午後。


「あー!!あれが第2の街じゃない!!」


先頭を歩きいち早く丘の上に辿り着いたヒルデが街道の先を指差し叫ぶ。

私もサンドラも駆け出しヒルデの場所へ急いだ。


「あぁ、王都に比べると小さいけど結構大きいねぇ」


「小さいのか大きいのかどっちよ(笑)」


「大きいと思うよ?多分1日2日じゃ見て回れないなと思う。けど王都はもっと大きかったなぁ・・・と思って」


「まぁねぇ。お金が無いから王都も満足に見て回れて無いけど、第2の街は見て回れるようにしっかりお金を稼がないとね」


「エリザ、なんか守銭奴みたいになってるよ?自覚してる?」


「守銭奴って・・・私はそろそろ安定が欲しいのよ。このゲーム始めてからずっとお金に追われてるんだもの」


「やってる事はその日暮らしだよねぇ。私たち」


「まぁ確かにお金を貯めて初心者装備はそろそろ卒業したい。魔物と戦闘時間が長引いてるし」


「と言う訳で第2の街にゴー!!」


第2の街にはあっさりと入れた。

街の手前でボス戦とかイベントとか何もなく軽く拍子抜けだった。

冷静に考えれは乗り合い馬車で行ける街の入口に魔物が居る訳が無いんだけど。


「とりあえず何処から見て回る?定番は酒場よね?店に入ると中で飲んでる人に一斉に見られるの」


「えっ?冒険者ギルドじゃない?そして定番の地元の冒険者に絡まれるパターン♪」


「そんなイベントが有るかどうかは分からないけど、冒険者ギルドに行くよ?まずは魔物のドロップアイテムを換金しないとお金がないから」


冒険者ギルドは直ぐに見付かった。

街の門をくぐって直ぐの大通りにあるのがパターンなのかな?

冒険者ギルドに入って人のあまり列んでない列に並ぶ。


「お待たせしました。御用をどうぞ」


「魔物のドロップアイテムを売りたいんですけど」


「買い取りカウンターは1番から3番窓口です。あちらの列にお列び下さい」


あ、この冒険者ギルドでもそれかい。

いや、忘れてた私たちが悪いけどさ・・・。

買い取りカウンターで無事魔物の素材を売る。

今回はドロップしたアイテムがそれぞれ違ったので3人とも別々に売った。


「ふっふ、61200マニにもなった!!」


「私もそれぐらいになったよ。街道を歩いて襲ってくる魔物だけ倒して4日分と考えるとかなり良いかも」


「そうだね。この街を拠点に本格的に魔物を探して狩りをすれば良い収入になると思う」


「じゃそろそろ暗くなってきたから宿を探して、一旦ログアウトする?」


「あ、今回は宿じゃなく食堂を探して食べようよ?収入もあったし、第2の街へ到着のお祝いしないと」


「それいいね。街の特産とか分かるかも」


「情報収集もしないとね。街の中のお店とか狩り場や出る魔物とか」


「それより先に美味しい食堂のリサーチをしないと(笑)」


「そこは適当に良さそうな店に入れば良いんじゃ?」


大通りのそこそこ混んでる店を選んで入るとメニューからそれぞれ適当に注文する。


「ここはヌルいエールで乾杯するのが定番なのに・・・」


「果物のミックスジュースを飲みながらヒルデがボヤく」


「定番ってヒルデ、そんな事をした事があるの?」


「いや、ないけど・・・異世界ものでは定番じゃない?把手の付いた木のコップで乾杯って」


「あ、サイコロステーキ美味しい。何のお肉か分からないけど柔らかくてジューシーで」


「謎肉ねぇ。豚ネズミの肉だったりして?」


「うっ、止めて。想像したら美味しくなくなるから」


「えっ、エリザはネズミの肉を食べた事ないの?」


「有る訳ないでしょ!!」


「アフリカの方では食べる部族が居るらしいよ?」


「私、日本人だから!!」


「ハツカネズミとか有名でしょ?あれ食用に直ぐに育つように品種改良されたネズミでね・・・」


「サンドラ、サラッと嘘を吐くの止めて」


「えっ?嘘なの?どこから?」


「ヒルデ・・・サンドラの言う事の半分は嘘で、もう半分はデマだから」


「ちょっ、酷い。場を明るくする為の冗談でしょ?」


ちょっと豪華でお高い食事をし、宿を取りログアウトした。


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