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帰宅?帰郷?

森に籠もって狩りを始めて数日が経った。

森に出現する魔物の行動パターンもだいたい覚え、更にスキルレベルも上がりステータス補正も上がったので安定して狩りが出来るようになってた。


「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


ヒルデの魔法が上半身だけ地面から生えてる土人形に突き刺さり、土人形を光へと変える。


「そろそろ【収納】のスペースがキツくなってきたよ?」


サンドラがメニュー画面を見ながら報告してくる。


「まだお弁当は数日分残ってるんだけどなぁ・・・」


「【収納】に入れとけばお弁当は腐ったりしないんだから、とりあえず街に戻ってドロップアイテムを売りに行こうよ」


「リュックサックとか【収納】に入れずにアイテムを持ち運べるものを買っておけば良かったねぇ」


「そう言うアイテムを買うお金が無かったからこうして森で野宿生活をしてるんでしょ?」


「それで王都に戻る?帰り道で倒す魔物のドロップアイテムで【収納】が満杯になりそうだし」


「そうしよう。今からなら暗くなるぐらいには王都に帰れるでしょ?」


「なんか出稼ぎから帰るお父さんの気分だね」


「お父さん、お土産は?」


「てんとう虫の落とした羽根とバッタの跳ね脚だよ・・・」


「子供、グレるわ(笑)」


馬鹿話をしながら森から、原っぱに出る。

原っぱを歩いてると既に懐かしい魔物に出会う。


「あ、フェザーボールだっけ?毛玉!!」


私たちがこのゲーム、FEOで初めて倒した魔物。

鳥の羽を集めて丸めたようなボール型の魔物が3匹。

さっそくヒルデが片手剣で斬りかかる。


「ふっふっふ。弱い!!弱いぞ!!毛玉がゴミのようだ!!」


ヒルデ1人で簡単に倒してしまった。

少し・・・いや、かなりテンションがおかしい。

もちろんツッコミは入れずスルーする。


「ほら、馬鹿な事を言ってないで暗くなる前に帰るよ?」


と思ったらサンドラがヒルデに声をかけた。律儀だ。


「強くなった実感が出るねぇ」


「スキルのステータス補正は思ったより大きいのかも」


それから何度か魔物を撃退しながら歩いて原っぱから街道に出る

その頃には日も傾いてきて王都に戻るプレーヤー達もちらほら見える。

ただプレー初日と比べると歩くプレーヤーはまばらだ。

第2の街は王都の四方に1つづつ。全部で4つあるのが確認されてる。

既に第2の街を拠点にプレーしてるプレーヤーも多くはないがいると掲示板に書いてあった。


「おかしい・・・サービス初日から初めてトッププレーヤーの仲間入りをするはずだったのに、何を間違ったか森で出稼ぎしてるとか」


私が1人ボヤくと、それを聞いたヒルデが反応する。


「まだサービス開始して1週間も経ってないのよ?数日で付いた差は数日で挽回できるのよ?」


「無理してトッププレーヤーになるよりはゲームを楽しんだ方が私は良いと思うけど?」


サンドラはトッププレーヤーには興味は無いようだ。

まぁ、確かに辛い思いをしながらやるゲームよりは、楽しんだ方が良いとは思うけど目標が無いとダレるからなぁ・・・。


王都の門をくぐり抜け、冒険者ギルドに入る。

夕方なので夜狩りをしないパーティーや野良の臨時パーティーを組んで狩りをしてたプレーヤー達がカウンターに列んでる。

素材買い取りのカウンターに列んで少し待つと私たちの番が回ってきた。


「素材の買い取りですね。えーと合計で121,530マニになります。よろしいですか?」


おぉ12万マニ超え。1人頭約4万マニ。

森に籠もって昼夜問わず狩りまくったかいがあった。

きっと出稼ぎのお父さんとか遠洋漁業でカニやマグロを捕ってる人達もこんな気持ちなんだろう。


「はい。ありがとうございます」


NPCの受付のお姉さんに御礼を言って冒険者ギルドに併設されてる休憩スペースに座る。


「4万マニよ?いや頑張った」


「鶏肉の買い取り価格が良かったね」


「でもテントやランプ、お弁当とかで4万マニぐらい掛かってるからトントンだよ?」


サンドラが現実に引き戻す。


「いやいや、赤字に成らず財布の中身が現状維持できてるだけで悪くないと思うよ?」


それにヒルデが反論する。

・・・何を言ってるんだ君たちは。


「スキルレベルが大きく上げれて、お金が減ってないんだから十分な成果だよ?初期投資分は回収したんだから次からは確実に儲け出るし?」


「でも、また買い物する必要はあるんでしょ?」


「荷物を多く持てるように大型のリュックサックは欲しいかも。理想は山登りする人が背負ってるようなやつ」


それを聞いてヒルデが途端に嫌な顔をする。


「あれを背負って狩りをするの?重戦士のサンドラや遠距離魔法のエリザは良いかも知れないけど私は蝶のように舞い蜂の様に刺すスタイルだから重りが増えるのはちょっと・・・」


実際はサンドラの影に隠れて影からチクチク刺してるだけだと思うんだが・・・。

いやそうじゃない。


「ヒルデも長弓や遠距離魔法を使ってるじゃん。近接戦を

する時はその場にリュックを抜いて置けば良いんだし」


「あぁ、余分な装備を切り離して、身軽になって戦うのはちょっと格好いいよね」


サンドラの援護が入る。

きっとロボットが武装をパージする絵が浮かんでるんだろう。


「あ・・・うーん。確かに」


ヒルデ、チョロいな・・・。


「あと方位磁石とか、地図は欲しいかも。食器類や調理器具はまだ要らないよね?誰か料理スキル取る?」


返事が無い。

誰も料理スキルを取る気は無いみたい。

まぁ、私も取る気は無いけど。


「なら、王都の南側でやってる青空市を見に行かない?プレーヤーが取ってきた物や生産で作った物が色々と売ってるみたいだから」


ヒルデが提案してきた。


「あ、それならその前に冒険者ギルドの委託販売のラインナップも見てみない?冷やかしだけど」


冒険者ギルドに併設されてる委託販売の場所に移動してみる。

ギルドの受付カウンターとは別棟になっていた。


「ここは・・・なに?」


見た感じは大きなホール。

そこに30㎝四方の四角柱の机のようなものが幾つも等間隔に置いてある。


「これが全部コントロールパネルらしいよ?ここから買うみたい」


とりあえず3人で1つのコントロールパネルを囲んで色々と弄ってみる。


「あ・・・なるほど。武器、防具、消費アイテム、その他から選んで、更にそこから小分類に分かれて検索出来るんだ」


「ねぇ、ちゃんと作った人の名前が分かるよ!!あ、作者名で商品検索が出来るみたい。へぇ」


生産プレーしてるプレーヤーもそこまでスキルが上がってないのか、手に入る素材アイテムが少ないのか

売ってるアイテムの種類は多くはない。

でも同じ武器や防具でも形と言うかデザインや色が作者によって微妙に違うのが面白い。


「次は青空市に行ってみよ?」


「委託販売と青空市と何が違うんだろ?」


「それを確かめに行くんじゃん」


「いやいや、もう夜だから。[馬耳亭]に泊まって夜が明けてから行こうよ?」


[馬耳亭]に行き宿を取る。

夕食朝食付きで5000マニ。

やっぱり王都は金が掛かる。


久しぶりに弁当じゃない食事を食べ、部屋に入る。


「ねぇ、思ったんだけど次は第2の街に移動してみない?」


ヒルデが突然言い出す。


「街って乗合馬車で?」


「もちろん歩きで」


「まだ厳しくない?私たちで行ける?」


「森で余裕で狩りできるなら大丈夫でしょ?」


「街って4つあるけど何処に行くの?」


「何処でも良いよ?」


この計画性の無さ。

どこでもいいから、第2の街に生きたいのか。


「じゃ、ログアウトしてから調べてみる?」


「そういう事で決定!!」


いや強引過ぎるから。

でもちょっと面白そうだなと思いつつベッドに横に成りログアウトした。




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