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レベル上げ

「よし、そろそろ次いこう」


ヒルデの魔法で回復と言いつつ10分ぐらいその場に座って休憩していた私達は、立ち上がったヒルデの号令に従う。


原っぱを徘徊すると次の魔物らしきものを発見した。

少し離れた場所にその魔物らしきものは空に浮いていた。


「ねぇ、あれ魔物でしょ?まだこっちに気付いてないよね?」


「あれ飛行タイプの魔物?ただ漂ってるだけに見えるけど・・・」


「とりあえず攻撃してみて反撃してきたら魔物って事で良いんじゃない?」


「いやサンドラ、その発想は危ないからね?」


「エリザ、魔法で攻撃してみてよ?今なら遠距離から一方的に攻撃出来るでしょ?」


「ん・・・じゃあ、ウインドボール!!」


しかしウインドボールは魔物に届く前に消滅してしまう。


「何?魔法耐性?魔法無効!?」


「いや、ただ射程距離外。もう少し近付かないと」


「いやいや、近付いたら普通は気付かれるでしょ?」


「今の魔法でも気付いてないみたいだから大丈夫じゃない?しかも弱そうだし」


「ヒルデ、あんた弓あるでしょ?それの射程はどうなの?」


「ちょーっとまってねぇ」


ヒルデが操作パネルを出して何やら操作するとヒルデの装備してた片手剣と小盾が消えて、長弓と矢が入った矢筒が現れる。


「これは和弓?洋弓?」


「さぁ?ゲーム弓?」


「日本の弓と外国の弓では矢の撃ち方が違うってネットで見た事あるよ?ちゃんと使えるの?」


「長弓スキルを装備してるなら大丈夫でしょ?」


「剣や魔法だってリアルの知識無いのに使えてるんだから。いくよ?」


そう言うとヒルデ矢筒から矢を1本取り出し、矢をつがえる。

そして弓を引くと狙いを定める。


「【集中】!!」


長弓スキルを使い、矢を放つ。

放たれた矢は軽く山なりに飛び魔物に突き刺さ魔物は落下する。


「お、当たった!!」


「たまや~!!」


「それ花火じゃね?」


「スキルの補正、結構有能かも」


「長弓は魔法より射程が長いんだね」


「それが無ければ弓なんで誰も使わないでしょ?」


そんな事を話してると魔物が落ちた辺りから複数の魔物が飛び上がりこっちに向かってくる。

1匹は矢が刺さったままだ。


「ちょ!!」


「やったか!?」


「馬鹿な事を言ってないで戦闘準備!!」


「ヒルデ!!エリザ!!こっち来る前に撃ち落として!!」


「ファイアボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウインドボール!!」


とりあえず魔法を乱射する。

横ではヒルデが矢を放つが見事に外れる。


「スキル使わないと当たらない!!」


「数撃てばどれかは当たるよ。たぶん」


軽くパニックになりかけてるヒルデの後でサンドラが落ち着いてちゃちゃを入れてる。


「ファイアボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウインドボール!!」


私が2度目の魔法を乱射し、1匹が地面に落ちて光となって消える。

しかし残りの魔物の接近を許してしまう。


「サンドラ出番だよ!!」


「了解!!【振り下ろし】!!」


サンドラが魔物に走り寄り、斧で斬擊を叩き込み魔物を両断する。


「この魔物、装甲が紙だよー」


サンドラは余裕そうだけど私とヒルデはまとわりつかれて魔物の触手でチクチクと刺されてる。

私は遠距離職の魔法使いだし、ヒルデの今の装備は長弓なので接近戦に向いてない。


「サンドラ!!ヘルプ!!」


完全にヒルデはパニックになってる。

サンドラがヒルデを助けに行き、私は長杖を振り回し応戦する。


「エリザ!!避けて!!」


その声に咄嗟に身を屈めると、近くを何かが魔物を巻き込みながら通り過ぎる。

何かが飛んでった方向を見ると斧が突き刺さった魔物が光となって消えるところだった。


「ふぅー。危機一髪だったねぇ」


どうやらサンドラが手斧を投擲スキルで投げたみたいだ。


「あの・・・サンドラさん。近くに人が居る時に斧を投げちゃ駄目。絶対」


「大丈夫だよ。スキルの命中補正は高いってヒルデも言ってたじゃない?実際に誤爆しなかったしー」 


「私が避けたからでしょ?ぶっつけ本番で試すの止めて」


「そこは臨機応変だよ。エリザ」


「それ、人は行き当たりばったりって言うから」


「エリザは私に魔法当てたよね?」


「えっ、いゃ・・・あ、そんな事よりヒルデの具合を見ないと」


見るとヒルデはその場に座り込んでた。


「ヒルデ、生きてる?」


「ん・・・酷い目にあった」


「ヒルデ、弓のレベルが低くて当たらないなら、魔法を使えば良かったのに」


「・・・それを早く言ってよ」


ヒルデが恨めしそうな目で睨んでくる。


「弓スキルのレベル上げかと思って」


「そんな事を考える余裕は無かったよ。ふぅ・・・ちょっと休憩しよう」


「そうだね。じゃ、休憩しようか?」


その場に座り込み、とりあえずアイテムドロップを確認する。

ゼリーってアイテムが手に入ってた。さっきの魔物はクラゲみたい。

そして休憩がてら作戦会議。

どんな時もサンドラを全面に押し出し盾にする。

ヒルデは弓を撃った後は接近してくる敵には弓を撃たずその時間を使って、剣と盾を装備するって事で話はまとまった。

冷静に考えれば当たり前の作戦である。

その発想が無かった事に自分の事ながら驚いた。


「でも、なんだかんだ言って何とか戦えてるね」


「そうだね。1回毎に休憩を挟んでるからサクサクといかないまでも戦えてるね」


「まだ誰も死んでないものねぇ」


「「・・・」」


それから私達はゲーム内時間でお昼になるまで徘徊、戦闘、休憩を繰り返した。


「あ、あった。多分ここだよ!!」


突然ヒルデが何か言い出した。

そこは背の高い草が生えてなく2センチ程度の草が一面に生えてた。


「えっと・・・芝生?」


「そうそれが目印。ここはログアウトポイントみたいだよ」


「ログアウトポイント?」


「魔物が侵入して来ないエリア。俗に言うセーフティエリアってやつ」


「ここでテントを張って中でログアウトすれば、魔物にも襲われず他人にも悪戯されない・・・って掲示板に書いてあった」


「つまりログアウトポイントじゃないと襲われるの?」


「そうだよ。普通のフィールドでテントってると魔物に襲われる。ログアウトポイントでテントを張らずにログアウトすると・・・人に襲われるかも?」


「人に襲われるって事案って事?乙女の純潔の危機?」


「そんなゲームが一般販売される訳ないじゃん。テントで寝てる女性プレーヤーを襲うゲームとか。エロゲじゃん」


サンドラの本気かボケか分からない発言を、ヒルデが呆れたように否定する。


「そうじゃなくて、PKされる可能性があるの。プレーヤーキル」


「お、暗殺かい。それ何か意味あるの?」


「特にな無いみたい。収納してるお金やアイテムを盗まれるって事は無いみたい。強いて言えば嫌がらせ?」


「何?嫌がらせって?」


「死んだら王都の神殿に強制転移させられるから・・・。想像してみ?1日かけて移動してそこでPKされて王都まで戻される絶望感」


「うわ・・・地味に嫌。でもやる側からするとちょっと楽しそう」


なんだろ?少しやってみたい。

相手はログアウトしてるからこっちがやった事はバレないだろうし、アイテムを奪う訳じゃないからそこまで相手には恨まれないだろうし。

そんな事を考えてるとヒルデに注意される。


「やっちゃ駄目だよ?エリザ?」


「え・・・」


「当たり前じゃない。何処で誰に見られてるか分からないんだから」


「いやそう言う次元の話じゃなくて」


「あ、でもテントに入ってれば大丈夫なの?」


「テントごと叩き斬るとか燃やすとか出来ないの?」


「あんたは何がしたいの(笑)。テントに入ってれば他のプレーヤーからの干渉はされないよ。魔物は別らしいけど」


「なるほど。魔物対策にログアウトポイントで、プレーヤー対策にテントに入ってログアウトする感じなのねぇ」


なるほど。

あれ?と言う事は・・・


「そうすると私達もテントを買わないと駄目?」


「そうだね」


「それでテントって幾らするの?」


「何人寝れるかで値段が違うらしい。一人用で20000マニからだったかな?」


「高っ!!初心者武器より高いじゃん!!」


「頑張らないとねぇ」


「あれ?と言う事は街で宿屋に泊まらずテント買ってログアウトポイントで寝泊まりするのが正解?」


私が聞くとヒルデがニヤニヤしながら答える。


「そう思うでしょう?でもね。街じゃないとスタミナを回復される御飯が手に入らないのよ。野営する時はお弁当持参じゃないとキツいみたい」


う~ん。地味に面倒くさいゲームだなこれ・・・。

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