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第41話 選択肢(どうしよう……)


ふっと気が付いた――

どれくらい寝ていたんだろうか?

ここは、どこなんだろう?


「クーは?」

「まだ寝てるよ。疲れてたんだろ。無理もないけどな」

「そうだよね」


兄ちゃんとミールさんだ。

どうやら、地面に降ろされたときに起きてしまったみたいだ。

でも、まだ眠い。すぐに寝れそうだ。


「そいつ、どうするつもりだ?」


トバクさんの声だ。


「そりゃ、連れて行くしかないだろ」


次は、兄ちゃんの声だ。


「俺たちは冒険者だ。分かってるのか?」

「分かってるよ」

「本当か? 生きるか死ぬかっていうときもある。そいつは足手まといだ」

「俺がなんとかするよ」

「なんとかならねえよ。ベスケが崩れれば、みんな崩れる。全滅もある。

まさか、安全な安い仕事ばかり受けるって、言わねえよな。

金にならないし、つまんねえし、俺は嫌だぜ。そんなのは」

「トバク、そんな言い方はないだろ」

「怒るなよ。事実だろ。お荷物なんだよ。そいつは」

「いい加減にしろよ」

「やめてよね…… こんな所で、クーが起きちゃう」


兄ちゃんとトバクさんの言い争いをミールさんが宥(なだ)めようとしている。

完全に目が覚めてしまった。

でも、寝ているふりをするしかない。


「すまない。ならどうするよ。気乗りはしないけど、どこかに預けるのか? 教会とか?」


兄ちゃんが言った。


「何で教会なの!」


リプスさんが少し驚いたような声を上げた。


「クーの母親は腕のいい医者だったんだよ。

優しい人でな、俺もだいぶ世話になったんだよな。

まあ、だからクーも医者になりたいんじゃないかと思ってだな。

医療といえば、教会だろ。だからだよ」

「そうなのね。でも、教会といっても、場所によって全然違うでしょ。

問題のある教会に預けて、ひどい目にあってしまったらどうするつもり。

私たちに良い教会と悪い教会を判断できるの?」

「そうなんだよな。教会に知り合いなんかいねえし、教会の事になるとギルドも詳しい事を教えてくれないだろうしな。

本当に分かりにくいんだよな、教会は。

おかしな所に預けて、変な所に売られでもしたら大変だしな……

そうなるとギルドか。

医療系は弱いかもしれないけど、クーならいい職場を紹介してもらえるだろう。

クーなら、きっといい職人になるぜ。

今はどのくらい使えるかは知らないが、魔法が使えるからな」

「ミーがこのパーティーに入ったときみたいに、荷物持ち兼雑用係でパーティーに入ってもらうってのは、どうかな? アルコはどう思う?」


ミールさんは自信なさそうにアルコさんに聞いている。


「…そ、そうだな。

まずは、アンクの気持ちが大切だろ。

自分がどうしたいのかだ。

医者になりたいのか、職人になりたいのか、冒険者になりたいのかだな。

別に今すぐに決める必要はない。

期限としては治安の良いギルド系の大きな町に着くまでだ。

それまでに決めてくれればいい。

アルコが世話になった人の息子だ、邪険にはできないだろ。

しばらくは行動を共にするわけだが、危険もあるかもしれない。

そこでだ、毎日、五人順番に冒険者にとって必要な事を教えていくというので、どうだろうか?」

「さすがはアルコだ! いいんじゃないか」

「ええ、それでいいわ」

「アルコがそう言うなら、それでいい」

「ミー、明日教えたい」


兄ちゃん、リプスさん、トバクさん、ミールさんが順番に答えた。

アルコさんがみんなの意見をあっけなくまとめてしまった。

やっぱり、アルコさんがこのパーティーのリーダーみたいだ。


「…そ、それじゃあ、休むか。

前半の見張りは俺とトバクで、後半はリプスとミーでいいな。

ベスケは、見張りはいいから休んでくれ。

今日は大活躍だったからな」


寝られなくなってしまった。

村がなくなってしまったばかりなのに、いきなり、そんな事を言われても、どうすればいいのか分からない。

医者か、職人か、冒険者か……

教会か、ギルドか、兄ちゃんたちか……

グルグル頭の中で回っているけど、答えは出ない。

もうダメだと思って、考えるのをやめて寝ようとするけど、寝られない。


兄ちゃんは昔からの知り合いで、僕を守ってくれようとしている。

すごく心強い存在だ。


ミールさんは、とても明るくて楽しい人だ。

そして、なぜだか僕に優しくしてくれる。


リプスさんは、大男に殴り掛かったのには本当にびっくりした。

正義感が強くて、優しい人みたいだけど、まだよく分からない。


トバクさんは、僕を邪魔に思っている。たぶん嫌われている。

さっきの話も分かる話だ。たしかに僕は足手まといだ。


アルコさんはこの冒険者のパーティーのリーダーで一番偉い人だ。

いつも冷静で決断力がある。本当は僕のことをどう思っているんだろうか。


ずっと頭の中でグルグルグルグルと回り続けている。

どうしたらいいのか分からない…… 決められない……

自分が嫌になってくる。



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