おまけ
「リリザ……君はどうして私を庇った?」
その問いは彼女にとって、相当意外なものだったようだ。
しばし目を丸くしてから、いつも以上に柔らかい笑みを浮かべてこう言った。
「それは勿論、あなたの面が大切だからに決まってるじゃありませんか」
その答えは、スタンリーにとっては意外なものであり、その実、心の奥底ではそうじゃないかとも思っていたものだった。
「顔を殴られたのだぞ」
「(言うほど見る機会がない)わたくしの顔が傷つくことなんて、(毎日見ているっていうか、なんだったら拝んでいる)あなた(の面)が傷つけられることに比べたらどうということはありませんわ」
「顔は、女の命ではないのか?」
「わたくしの命程度であなたの面を守れるのではあれば、むしろ本望というものですわ」
一点の曇りもない目でこちらを見つめながら、リリザは答える。
そんな彼女を前にして、スタンリーは確信する。
(最早錯覚ではないな……リリザは、私の運命の女性だ)
だからこそ、撤回しなければならない言葉がある――そう思ったスタンリーは、
「君に対して『愛することはない』と言ったが……今、ここで撤回する。……どうやら私は……君のことを……愛して……しまったようだ……」
間違いなく真っ赤になっていると断言できるほどに頬が熱くなってしまったせいか、気恥ずかしくなったスタンリーは言い切ると同時に顔を逸らしてしまう。
一方で、リリザの反応が気になって気になって仕方なかったので、横目で彼女の様子を確かめてみると……感極まった表情をしているのが見えて、やはり彼女こそが、自分の運命の女性だったのだとあらためて確信する。
そして――
その日以降、スタンリーはリリザのことを心の底から愛し、リリザもまたスタンリーの面を心の底から愛した。
本当の意味での初夜を迎え、子宝にも恵まれたところで、スタンリーは今さらすぎる疑問をリリザに投げかける。
「以前から気になっていたのだが、君は私のどういうところが好きになったんだ?」
その問いに対して、リリザはやはり柔和な笑みを浮かべながら、微塵の迷いもないこう答えた。
「勿論、あなたの面ですわ」




