本編
「君を愛することはない」
新婚初夜、夫のスタンリーに言われた一言に、リリザは目をパチクリさせる。
正直スタンリーの一言は、リリザにとってはあまりにも想定内すぎる言葉だった。
リリザのファウラー家の爵位が伯爵であるのに対し、スタンリーのセルバード家の爵位は公爵。
爵位が離れているにもかかわらずリリザがスタンリーと結婚することができたのは、領地運営を盛大にしくじったセルバード公爵家が、鉱山を抱えるファウラー伯爵家に多額の借金をしていたからに他ならない。
片や自分よりも爵位の高い家との繋がりを得るために、片や借金を帳消しにするために組まれた、絵に描いたような政略結婚。
そこに「愛」などという浮ついた感情が介在する余地があるはずもなく。
リリザにしても「君を愛することはない」と言われたら「はいそうですか。でしたらわたくしもあなたのことは愛しません」って返したいところだったが、
(……駄目ですわ。そう返すにはこの男、面が良すぎる!)
実のところ、スタンリーは国随一の美形として知られていた。
黄金を溶かしたような髪に、鋭さと美しさを併せ持った、国一番の職人の手で研磨された宝石にも似た輝きを宿した碧い双眸。
鼻筋は綺麗に通っており、眉目秀麗という言葉は彼のために存在するのではないかと思えるほどに美しい容貌をしていた。
それほどまでにスタンリーの面が良すぎるからこそ、リリザは決心する。
そしてその決心を、そのままスタンリーに返した。
「そうですか。ならばわたくしは、あなたが前言を撤回してわたくしのことを愛したくなるくらいに、あなたの面を愛しましょう」
予想外の返答だったのか、スタンリーは思わずと言った風情で目を見開く。
驚いた表情すらも一幅の絵画のように美しいスタンリーの面に、リリザが表情一つ変えることなく内心で惚れ惚れしている内に、スタンリーは素気なく告げる。
「勝手にしろ」
それに対して、リリザは柔和な笑顔でこう返した。
「ええ。勝手にさせていただきますわ」
翌日――
「……なんだこれは?」
自室で帳簿の確認をしていたスタンリーは、リリザから供された紅茶を見つめながら、険のある物言いで訊ねる。
「見てのとおり、お紅茶ですわ」
リリザはティーポットを手にしたまま、柔和な笑みで当たり前すぎる言葉を返す。
スタンリーはこれ見よがしにため息をつくと、紅茶の香りを確認してから、いっそ蔑むような視線をリリザに向ける。
「私が好んで嗜む茶葉を調べてくるとはな。私に愛されるために、早速行動に出たというわけか」
面が良すぎるせいで、蔑みの視線すらも(これ、ある意味ご褒美では?)と思いながらも、リリザは柔和な笑みを崩すことなく応じる。
「わたくしはあなたの妻ですもの。愛する夫の好きな茶葉くらい知っていて当然ですわ」
その返答に、スタンリーはつまらなさげに鼻を鳴らす。
「ふん。そもそも、使用人に訊けばすぐにでもわかる話か」
独りごちるように言ってから、仕方なくと言わんばかりの表情で紅茶に口をつけ……スタンリーは思わずといった風情で目を見開いた。
その反応を見て、リリザは(よしきた!)と内心勝ち誇りながら、やはり柔和な笑みを崩すことなく訊ねる。
「お口に合いましたか?」
スタンリーは言葉による返事はかえさなかったものの、どこか気まずそうにこちらから目を逸らした時点で「遺憾ながらも口にあった」と思っているのがバレバレだった。
その代わりとばかりに、スタンリーはこんなことを訊ねてくる。
「……隠し味でも入れているのか?」
「いいえ。余計なものは何も入れてません。強いて言えば、わたくしのお紅茶の淹れ方は少々我流が入ってますので、そのせいで他の方が淹れるお紅茶とは味わいが違っているのかもしれませんわ」
我流というか、紅茶が趣味で色んな淹れ方を研究していたから、ぶっちゃけ今回は長所で攻めただけなんですけどね――という内心をおくびにも出さない、堂々とした答えっぷりだった。
それに対して何を思ったのか。
スタンリーはただ一言「そうか」と返すと、机に山積みにされた帳簿に向き直り、一口、また一口と紅茶に口をつけていく。
やがてティーカップが空になり、
「…………」
少しだけ頬に羞恥の赤を滲ませながら、無言でおかわりを要求してくるスタンリーに、リリザは内心(照れ面、ごちそうさまですわ!)と狂喜乱舞しながらも、終始崩れることがなかった柔和な笑みをそのままに、ティーカップに紅茶を注いだ。
「……本当について来るつもりか?」
今まさに馬車に乗り込もうとしていたスタンリーが、心底嫌そうな顔をしながら言う。
それに対してリリザは、相も変わらぬ柔和な笑みで答えた。
「ええ。勿論ですわ」
そうして馬車に乗り込み、二人が向かった場所は王都の劇場だった。
「これも、そういうことか?」
「『これも』とは?」
わざとらしくなりすぎない程度にわざと小首を傾げるリリザに、スタンリーはため息をつく。
「私に愛されるために、演劇に興味があるフリをしていることの話だ」
「そういうお話でしたか。それについては否定しませんし、確かにわたくしは演劇そのものに対する興味は薄いですが……今回の演目は、個人的にはどうしても見てみたいと思っていたものでしたので、これ幸いとお供させていただいた次第ですわ」
後半の言葉を聞いて、スタンリーはソワッとした表情を見せる。
だがそれも一瞬で、スタンリーはすぐに表情を平坦に戻すと、「君のことなんか興味はないけど仕方がないから訊いてやる」という態度を取り繕いながら、リリザに訊ねた。
「君は今回の演目について――『スタントリとルゾイデ』について知っているのか?」
「はい。わたくしの大好きな小説の一つですから」
またしても、スタンリーは一瞬だけソワッとした表情を見せる。
(普段は美しさが際立っている面ですが、ソワッとした時は可愛らしさが垣間見えますわね。……何なんですの、この男? どれだけその面でわたくしを魅了すれば気が済みますの?)
この期に及んでまだ「この男」呼ばわりしているのは、まあまあ失礼であることはさておき。
『スタントリとルゾイデ』なる小説が大好きだと言ったのは、ぶっちゃけ真っ赤な嘘だった。
当のスタンリーは上手く隠しているつもりかもしれないが、彼がロマンス小説に傾倒していることは、セルバード家の使用人の間では周知の事実になっていた。
そして、その中でも『スタントリとルゾイデ』を最も気に入っていることも、興味を持った切っ掛けが微妙に自分の名前に似ていたからだということも、使用人の間では周知の事実となっており、リリザもたいして苦労せずにそれらの情報を得ることができた。
そんな矢先に、件の『スタントリとルゾイデ』の演劇が公開されるという情報が舞い込んできたのだ。
リリザは暇さえあればスタンリーに隠れて『スタントリとルゾイデ』を読み込み、今では内容を空で言えるほどにまで内容を完璧に記憶していた。
(おそらくスタンリーは今、わたくしと『スタントリとルゾイデ』について語り合いたくて仕方がないはず。でなければ、あんなにもソワッとするはずがありませんもの)
だが、ソワッとした表情をすぐに元に戻していることからもわかるとおり、スタンリーが、「愛することはない」と宣言した相手に心を開くような真似をすることに抵抗を覚えているのは明白。
(ここは、演劇を見終わった後の興奮に付け込むのがベストですわね)
スタンリーが知ったら間違いなくドン引きするほどの計算を張り巡らせていたリリザだったが。
肝心の演劇で、良い意味で想定外の事態が起こることとなる。
数時間後――
演劇が終わり、劇場を後にしたリリザとスタンリーの表情は、お通夜も斯くやの有り様になっていた。
演劇の内容自体には何の問題もなかった。
問題があったのは、主役のスタントリを務める役者の、全てを台無しにしてしまうほどの大根っぷりだった。
馬車に乗り込み、座席に腰を下ろしたリリザは、この時ばかりは何の計算もなしに本心をポツリと呟く。
「あれは、ないですわね」
『スタントリとルゾイデ』自体、スタンリーの心を射止めるために読み込んだものであり、思い入れはない等しいが、それでも物語自体は何度も読み込んでも苦にならない程度には楽しめたことを認めていた。
だからこそ、全てを台無しにしたスタントリ役の役者には、憤りを覚えずにはいられなかった。
そして、
「ああ。あれはない」
スタンリーも、この時ばかりは本心でリリザに応じていた。
「どうして劇団は、よりにもよって、世界観すら台無しにするようなヘッッッッタクソに主演を任せましたの?」
「演者の顔には見覚えがある。主演は、ハルラント公爵の次男と見て間違いないだろう」
「そういえばハルラント家に、演劇好きの令息がいるという話を聞いたことがありますわね……」
と、独りごちたところで、リリザは気づく。
「まさかその次男坊が、演劇好きを拗らせて役者をやりたいとか言い出して、あんな惨憺たる有り様になってしまったんですの!?」
「あり得る話だな。同じ貴族である我々の言うことではないが、貴族が権力に物を言わせて平民に無茶な要求することは、そう珍しい話ではないからな。大方、父親のハルラント公爵に頼んで、無理矢理自分を主演に据えさせたのだろう」
「確かに珍しい話ではありませんが……わたくしとしましては、そのような人間と同じ貴族だと思われたくはありませんわね」
「その点に関しては同感だな」
と、憤然としていたスタンリーだったが。
今さらながら、今回の演劇についてリリザと熱弁し合っていたことに気づき、バツが悪そうにリリザから顔を逸らす。
想定外の事態のおかげで、結果的には距離を縮めることができたわけだが。
(今日は、スタンリーの色んな表情が見られて最高でしたわね)
そのことよりも、スタンリーの色々な面を見られたことに至上の幸せを感じているリリザだった。
◇ ◇ ◇
リリザと結婚してから一ヶ月後が過ぎた頃。
(このままではまずい……)
スタンリーは危機感を募らせていた。
この結婚は、言ってしまえば自分が借金の形に売られたようなもの。
ゆえに結婚相手であるリリザのことなど愛せるわけがないと思っていたが。
(どんどん、あの女に惹かれていく自分がいる……)
リリザはリリザで、内心スタンリーのことを「あの男」呼ばわりしていたため、ある意味ではお似合いであることはさておき。
スタンリーから見て、リリザは、それはもう恐ろしさすら覚えるほどに自分と趣味嗜好が似ていた。
ただ似ていただけならば、自分に取り入るためにこちらのことを徹底的に調べただけだろうという結論に落ち着き、逆に気持ちが冷めていたところだが。
似ていると思った趣味趣向の悉くが、スタンリーが周囲には秘密にしていたものばかりだったため、自分とリリザが奇跡的に趣味嗜好が似ていることを認めざるを得なかった。
もっとも秘密にしている趣味嗜好に関しては、スタンリーが完璧に隠し切れていると思い込んでいるだけで、周囲には割りとダダ漏れになっていた。が、当のスタンリーはそのことには気づいてないため……最近では、たまにリリザのことを運命の女性だと錯覚しそうになる有り様になっていた。
(……何を馬鹿なことを)
その一言で錯覚を振り払ったスタンリーは、その夜、リリザとともに社交パーティーに出席した。
この一ヶ月間、社交パーティーの場でリリザのことを幾度となく紹介してきたが、その際における彼女の立ち居振る舞いは、スタンリーをして舌を巻くほどに完璧だった。
そして、今夜においても完璧な立ち居振る舞いを見せるリリザに、錯覚として振り払った「運命の女性」という一語が鎌首をもたげ始める。
(少し、疲れているのかもしれないな)
そう自分に言い聞かせることで、今一度錯覚を振り払っていると、
「スタンリーくん、これはいったいどういう了見だ!」
恰幅の良い中年貴族が、こめかみに青筋を浮かべながら荒れた物言いで話しかけてくる。
(この男、誰だったか……)
思い出せそうで思い出せないスタンリーの心中を見抜いたのか。
半歩後ろに控えていたリリザが、絶妙なタイミングで中年貴族の名を口にする。
「どうなされたのですか、ラグダーレ卿。侯爵家の当主ともあろう御方が、そのように取り乱して」
「やかましい! 儂の可愛いマリアからスタンリーくんを奪った泥棒猫め!」
「頭に『泥棒』が付きますが、あんな可愛らしい生き物と同じだと思われるのは、なかなか悪い気はしませんわね」
柔和な笑みで罵倒を受け流すリリザに、ラグダーレは「ふん」と鼻を鳴らしてから、矛先をスタンリーに戻す。
「スタンリーくん! 君はマリアと将来を誓い合っていたはずだ! なのにどうして、違う女と結婚している!? 答えろ!!」
そこまで言われて、スタンリーはようやく思い出す。
ラグダーレの愛娘であるマリアは、思い込みの激しさで知られる女性だった。
一年前だったか二年前だったか……とにかく、社交パーティーで一度だけ軽く挨拶をかわしただけなのに、マリアは、スタンリーが自分に気があると宣い始め、近い内に婚約を結ぶだの結婚するだのと吹聴し始めた。
マリアの思い込みの激しさは社交界においては広く知れ渡っていたため、マリアの妄言を真に受ける人間はほとんどいなかったが……娘を溺愛しているラグダーレは違っていた。
「何も言えないか! そうであろうな! 何せ君はこの一ヶ月間、儂から逃げるように、儂が出席していない社交パーティーにばかり顔を出していたのだからな! その時点でもう、君自身がやましいことをしている自覚がある何よりの証拠というものだ!」
ラグダーレの名前がすぐには出てこなかった時点で言うまでもない話だが、スタンリーは別にラグダーレを避けて社交パーティーに出席していたわけではない。
ただ、偶然そうなってしまっていただけだった。
ゆえに、スタンリーにとってラグダーレとマリアは取るに足りない存在でしかないわけだが。
(このままこの男に好き放題言わせておいては、周囲の心証が悪くなるかもしれないな)
そう判断したスタンリーは、いつもどおりに――リリザに「君を愛することはない」と告げた時と同じような物言いで、ラグダーレに言った。
「妻の言葉を借りるわけではないが、侯爵家の当主ともあろう者が、娘の妄言に振り回されるのはよしてもらえたい。振り回されるこちらとしては、たまったものではないからな」
途端、ラグダーレの顔が怒りで紅潮する。
次の瞬間にはもう、ラグダーレはスタンリーに殴りかかろうとしていた。
まさか殴りかかってくるとは思わなかったスタンリーは目を見開くも、よくよく考えたら、ここで一発殴られておけば、以降はそれを理由に簡単にラグダーレを黙らせることができる。
だから、あえてこのまま殴られようと思ったスタンリーだったが。
「いけません!」
ラグダーレの拳が届くよりも先に、リリザが間に割って入ってきたことに、さらに目を見開いてしまう。
直後――
ラグダーレの拳は、あろうことかリリザの鼻っ柱に直撃し、彼女の華奢な体が殴られた方へと倒れていく。
スタンリーは咄嗟にリリザの体を抱き止め……彼女の鼻からボタボタと流れ落ちるのを見て、目の前が真っ赤になってしまう。
「ラグダーレ卿ッ!! これが紳士のやることかかッ!!」
ラグダーレ自身、リリザがスタンリーを庇ったことは予想外だったのだろう。
スタンリーの怒声に対し、怯んだ表情でオロオロした挙句、謝罪もせずにこの場から逃げ去っていった。
ますます激怒したスタンリーだったが、ラグダーレの後を追うことは、殴られたリリザをこの場に置いていくことになる。
ゆえに、どうにか怒りを鎮めて、いまだ鼻血が止まらないリリザに、スタンリー自身が驚いてしまうほどの優しい声音で言った。
「今すぐ医者のもとに連れて行く。もう少しだけ我慢してくれ」
その後――
主催者の厚意でリリザが休める部屋と医者の手配をしてもらい、殴られた鼻の容態を診てもらうことになった。
幸い骨に異常はなく、出血量ほど怪我の程度は重くなかった。
医者の見立てでは、リリザが割って入った時点でラグダーレは拳を止めようとしたが止め切れず、結果としてやむなく殴ってしまったため、怪我の程度が重くならずに済んだのかもしれない――とのことだった。
拳を止めようとしていたことは評価できるが、リリザを殴ったことはもとより、謝罪もせずに逃げ去ったことは到底許されることではない。
ゆえにスタンリーは、セルバード公爵家の権力を総動員してでも、ラグダーレに罰を与えることを決意するも、
「ラグダーレ卿のことなら、気にする必要はございませんわよ」
鼻に綿紗を充てた上に包帯を巻かれた、痛々しくなってしまった見た目などの物ともしない普段どおりの柔和な笑みを浮かべながら、リリザは言う。
「ラグダーレ侯爵も、わたくしのお父様に借金がございますもの」
皆まで言わずともリリザの言葉の意味を理解できたスタンリーは、思わず頬を引きつらせてしまう。
実は、リリザの父親であるファウラー伯爵こそが、この国を裏で牛耳っている影の国王なのではないかという馬鹿げた妄想が思い浮かんでしまう。
ラグダーレ侯爵の娘の妄想とは違って一笑に付すことができなかったスタンリーは、何度もかぶりを振ることで馬鹿げた妄想を振り払ってから、どうしても確かめたかったことをリリザに訊ねた。
「リリザ……君はどうして私を庇った?」
その問いは彼女にとって、相当意外なものだったようだ。
しばし目を丸くしてから、いつも以上に柔らかい笑みを浮かべてこう言った。
「それは勿論、あなたのことが大切だからに決まってるじゃありませんか」
その答えは、スタンリーにとっては意外なものであり、その実、心の奥底ではそうじゃないかとも思っていたものだった。
「顔を殴られたのだぞ」
「わたくしの顔が傷つくことなんて、あなたが傷つけられることに比べたらどうということはありませんわ」
「顔は、女の命ではないのか?」
「わたくしの命程度であなたのことを守れるのではあれば、むしろ本望というものですわ」
一点の曇りもない目でこちらを見つめながら、リリザは答える。
そんな彼女を前にして、スタンリーは確信する。
(最早錯覚ではないな……リリザは、私の運命の女性だ)
だからこそ、撤回しなければならない言葉がある――そう思ったスタンリーは、
「君に対して『愛することはない』と言ったが……今、ここで撤回する。……どうやら私は……君のことを……愛して……しまったようだ……」
間違いなく真っ赤になっていると断言できるほどに頬が熱くなってしまったせいか、気恥ずかしくなったスタンリーは言い切ると同時に顔を逸らしてしまう。
一方で、リリザの反応が気になって気になって仕方なかったので、横目で彼女の様子を確かめてみると……感極まった表情をしているのが見えて、やはり彼女こそが、自分の運命の女性だったのだとあらためて確信する。
そして――
その日以降、スタンリーはリリザのことを心の底から愛し、リリザもまたスタンリーのことを心の底から愛した。
本当の意味での初夜を迎え、子宝にも恵まれたところで、スタンリーは今さらすぎる疑問をリリザに投げかける。
「以前から気になっていたのだが、君は私のどういうところが好きになったんだ?」
その問いに対して、リリザはやはり柔和な笑みを浮かべながら、微塵の迷いもないこう答えた。
「勿論、あなたのすべてですわ」
後半はスタンリー視点により、「リリザ……君はどうして私を庇った?」という台詞以降の一部表現がおかしなことになってしまったので、次話の『おまけ』に正しい表現に直したものを用意しておきマーシタ。そちらの方もご一読いただけたら幸いデース。




