第4話 見えない拉致犯が公安警部補・後藤と対峙した、本当の理由は?
『SDカード、4枚、頂いていいですよね。』
「4枚?」
こいつ、浅田りおんだよな。……なんで枚数わかってる!ボディチェック、されてないよな。
『もう1台ずつ、記録してますよね。』
「知ってたのか?」
『残すとそちらも面倒なことに巻き込まれますよ。』
「確かにな、今回のSDカードは残すと俺たちが面倒なことになる。」
事件より、政府が騒ぎそうだな。世界新、好きだもんな!
「だが、あの決定打は残したかったな。」
「あぁ、決定打があったから、あの2枚は持ち帰りたかったんだよ。」
「残念ですね。」
『やっぱり、撮影できてましたね。』
「気づいてたのか?」
『それの全回収が、声をかけた、いちばんの目的でしたから。』
「娘思いですなぁ」
『姪と甥っ子ですよ。うちの子は、来年に三子が生まれます。』
「「「おめでとうございます。」」」
俺と部下の、高田たちの横を、あの子たち4人は駆け抜けた。
カメラを動かしてる横をである。こいつの性格、きっちり言い聞かせるんだろうな。
「すごい速さだったな、ウサインボルトより早くなかったか?」
「証拠としてじゃなく、天才ランナー4名の記録として、残したいと思ったよ。」
「ありがとうございます。」
「ボディチェックも、魔法で?」
『そんなとこです。』
*****
……『さっき、めっちゃビビってくれたな。』
かわいそうだよ!治療用のスキャン魔法で、チェックしただけなんだから。
……『それ、こっちでしか言ってないぞ。』
少しはサービスしないと、悪いだろ!
*****
『名刺ください。該当データを消去したら、お返しします。』
「いいのか?」
『他のは見ないで返しますから。』
「返却不要だ。今日のは全部サラだ。0フォーマットした後、おろしたところだ。」
『このあと、僕たちのことは忘れます。でも、証言は覚えてます。』
「すごいな。」
事件のこと、犯人たちのことは覚えてるらしいが、こいつらのこと、こいつらとの会話は、全て忘れるらしい。存在すら。……どこ弄られるんだ。と思ったら、恐怖が蘇ってきた。
『魔法と僕らのことは忘れます。お願いしたことは契約として、記憶の片隅に残ります。』
「ほんとうに魔法なのか?」
『忘れてもらうから、言いますね。そうです。』
「面白い体験したのに、もったいないな。」
怖かったけど、なんとなく楽しくなってた。こいつらともまた喋ってみたかった。犯人と刑事として(笑)。
『彼らをけしかけた証拠はないんですよね。』
「けしかけてないからな。」
『まぁ、そう思っておきましょう。』
「信じてもらえないだろうが、奴らが彼らを襲う情報を掴んだから見張ってたんだ。」
『どういうことですか?』
「スタンガンを持ってるガタイのいいのが、ストーカーしてた。」
「ターゲットは琴子って子だ。」
『琴子がターゲット?』
「断り続けられてて、拗らせて、ストーカー紛いに、聞き込みしたらしい。」
「琴子が引っ越すと聞いて、修一と結婚すると思い込んで、今日襲撃することにしたらしいぞ。」
『なんだそりゃ?』
『そいつ、情報収集力、全くないな!』
「そうなのか?」
『逆に、琴子を引っ越させないと、危ないってことだな。』
『教えてくれて、ありがとう!』
「役に立てたなら、警察としては本望だ」
『あいつを捕まえるついでに、反撃した福と修一の事情聴取って腹づもりだったのか?』
「まぁ、想像にまかせとくよ」
『福と修一って、表と裏か?』
『表番ってこと?』
「ははは!そりゃないな。どちらも真面目一辺倒だ。」
『それならなんで。』
「だからだよ。真面目すぎると、裏を見たいだろ。」
『ひねくれてるなぁ〜』
『そんなにしゃべっていいのか?』
「お前らも、素性、見えてきてるぞ」
『まぁ、プロだもんな。……覚えてたら、見つけてくれ。』
「決定打があるのか。悔しいが、お眼鏡にかなったら声かけてくれ。」
*****
……『早速今夜、竹ノ塚署に電話してなかったか?』
いや、一番早い警官のお知り合いがいるんだから、こっちにかけるでしょ!
……『お土産、またあげられるといいな!』
最近、……侵入犯多すぎ!……いい加減にしろよな!
*****
『わかりました。……襲撃犯の彼らの厳正な処罰と、この地域への陰謀はやめてください。』
うなずいておいた。動かなかった。
『襲撃班はトクリュウですよ。これだけ大勢いるのに、考えも無しに突っ込めるのは、あいつらだけでしょ。』
「契約ってのはそれか。まぁ、そうだな。その線で捜査する。出たら警視総監賞ものだな!」
「リーダーは修一を殺すつもりがあったようだな。実証できれば、かなり重いぞ。」
『ずっと出てこれないと、琴子も安心です。』
「……ところで監視はやめなくていいのか?」
『監視しても、なにも出てきませんよ。国家転覆する暇ないですから。』
「どういうことだ?」
『会社経営で忙しいんですよ。ちゃんとした企業でみんな働いてます。』
「ファミプだろ……新しい看板のない事務所が怪しいだろ!」
『そんなことで、監視対象に?』
「それもある。」
『他にも?』
「まあ、里隠れの地域は今も監視対象だ。」
『監視だけにしといてください。』
「ほんとに監視しててもいいのか?」
『今度、お見かけしたら、お茶します?』
「こんな怖い目にあって、お茶はしたくない!」
いろいろ、あったが、ちょっと面白かった。
この記憶消えるのは、ちょっと残念だな。人生最大のスペクタクルだったぞ。
『ごめんね、記憶、消しますね。』
「「「世話になった。意外と楽しかった。」」」
俺たちは解放されたらしい……。
はてさて
しばらくボーっとして、ふと気づいた。事件現場で、犯人たちが気絶して、被害者の一般人が見張ってくれてる。俺たち3人は目撃されてるので、帰るわけにもいかず、一般警官の到着を待って、交代することにした。
パトカー10台ぐらいが到着した。水沼GJ!
早速、犯人たちの保護及び逮捕が始まった。
「ここらに寝てる奴らは全員、凶器準備集合罪及び傷害未遂、逮捕監禁予備罪で緊急逮捕!ついでにそろそろ気づき始めて、寝たふりのやつもいる。寝てるやつは全部保護だ。」
「「「はっ!」」」
立場上は警備課だが、本来の立場を薄々知ってる奴らが、合わせてくれてる。
「さて、主犯の草加は、……居た。水沼、そいつは凶器準備集合罪及び殺人未遂で緊急逮捕!」
「はっ!……係長、青い顔してますよ?大丈夫ですか?」
「あぁ、おれ、お前に電話したよな。」
「拉致されたって言ってましたよ?……だから緊急出動しました。」
そう言って、水沼は草加を拘束しに向かった。気絶してるから、簡単だろ!
「あれ?誰かを事情聴取してたよな。」
なんだか、記憶がぼそぼそ抜けてる気がする。
「俺たち、丘の下にいたよな?」
「はい。ここまで、来た道、覚えてません。」
「森の中で、誰かと喋ったような。」
「はい。僕らもです。」
「高山、録画したよな?」
「うん。録音も……お前、カード、入れ忘れてるぞ!」
「そっちもだ!……全部か?」
「昨日、フォーマットしたから、その時入れ忘れたんだろ!」
「まぁ、大きな事件じゃないから、大丈夫か。」
「いいんですか?」
「高山、修一と福の神がいたら、事情聴取。しょんべん垂れも連れて行け。」
「係長それは……」
「悪い、言ってみたくなった。」
「僕も、言いたいの我慢してたんですよ〜」
「さっさと行け!」
「「はっ!」」
「大丈夫ですか?……濡れてますが、風邪ひかないように、拭いてください。」
今日、足立区中のSNSで噂の、写真で見た女子高生二人が、タオルを持って近づいてきた。
「ありがとう。タオルはどこから?」
「あ、この下のすずめ幼稚園に遊びに来てたら、お姉さんたちが大勢雨で濡れたって聞いて、持ってきたんです。何かあったんですか?……大勢倒れてますね。」
「こわいねぇ〜」
俺は警察手帳の身分証だけ出して、
「警察の後藤です。あいつらは事件を起こそうとして、事故にあったってとこかな?」
「被害者のお姉さんたちに、事情聞きたいんだけど。」
被害者の事情聴取も、大切な仕事だ。制服警官だけに任せておくわけにもいかないな。私服の方が、安心感もある。
「あそこで、おじさんたちにタオル渡してるお姉さんです。」
「紹介してもらえる?」
「いいですよぉ〜」
高山、こっちを睨むな。俺がやりたいって意識出しすぎだ!……だから任せられないんだ!
「あの、こいつらに襲われかけたって聞いたんだけど……。」
???誰かに聞いたよな?
この数分間の記憶がなんか歯抜けだ。
「あれ?誰に聞いたんだ?」
「さぁ、でも聞いたよな。」
高山、タメ口か!……テンパってるなぁ〜
なに戻ってきてんだよ!
「はい。スタンガンは私と隣にいたことりちゃんと別のとこにいた、友香ちゃんや女の子に向けられてました。」
紹介された落ち着いた女性が、応えてくれた。
「福くんたちには、鉄パイプ持った人が襲ってて、怖くて、叫びました。」
「誰も怪我はなかった?」
「あ、はい!……雨が突然降って、バチっ!って音がしてあいつら突然倒れたんです。友香ちゃん怖かったねぇ〜」
「バチって音がして、そばにいた暴漢さんたちが、バタバタ倒れて、驚きました。」
「持ってた奴だけじゃないのかい?」
「鉄の棒で伝わったんですかね?」
「そういうこともあるかもな。……専門家に聞いてみるよ。」
「君たちに怪我がないのが、幸いだが、すぐそばなのに、不思議だね。」
「暴発した時、2メートルぐらい距離あったと思います。」
「ギリギリ大丈夫だったのかね?……怪我がなくてよかった。」
「知った顔はいたかい?」
「知らない人ばかりでした。あんな恐ろしい顔して、私たちが何したっていうんですか?」
「本当、叫び声あげて、迫ってきたんですよ。」
???叫び声あげて?下にいたけど何も聞こえなかったぞ!……録画できてないのは、痛恨のミスだな。
「叫び声あげてたのかい?……丘の下にいたが、聞こえなかったよ。」
「はい、『うぉぉ〜』とか、『俺のだぁ〜』とか、気持ち悪いことも言ってました。」
「えぇ〜、下にいたのに、守ってくれなかったんですか?」
「ああいうのは、去勢してほしいわ!」
んん、さすが琴子。過激発言。……知らない人のフリ知らない人。
「丘の下には音が聞こえなかったんだよ。不思議だ。」
光って、バチっと音はしたが、叫びとかは聞こえなかったな。何故だ?
「実はね、街で嫌な噂を聞いたから、公園を見回ってたんだよ。琴子ちゃんっているかい?」
「はい。私です。」
そばにいた琴子が応えた。話すのは初めてだが、顔はよく知ってる。知らないふりをするのも、結構疲れる。
「嫌なこと聞かせるけど、ご両親か相談できる人いるかい?」
「あ、伯父がそこにいます。兄二人もそこで、襲ってきた人たちの看病?見張り?とりあえず、そばにいるそうです。」
「あの、姪たちが、なにか?」
「いえいえ、琴子ちゃんの伯父さんというのは、あなたですか?」
いよいよ、柳田一族の頭領、里長、柳田の直接事情聴取。理由なくて、今まで、話すことがなかった。
*****
……『公安vs柳田一族 〜漢の戦い〜』
映画化する?
……『俺たちの見てないとこで、意外と仕事してたな。』
後藤さんたち公安さん?……指揮しないわけにもいかないんでしょ。
……『女子への聴取、本編より頑張ってないか?』
減らすだけじゃ申し訳ないだろって。柿野たねが言ってたぞ。
……『外伝読んだ読者だけが知ってる、ってのも、必要だな。』
そういうことだ。
*****
ひとまず、りおんとの舌戦の裏話で、第4話は区切りです。vs柳田はりおんのようなふざけた世界ではなく、『漢の戦い』と言っていい嘗ての映画全盛期の昭和のハードボイルド刑事ものの、スパイものを彷彿させる、漢の渋さが漂うと思う。……まぁ、書くのが柿野だけどねぇ〜
◆本編で事件の展開を楽しみたい方は、こちらへ。
第4話は本編の第149話あたりです。
https://ncode.syosetu.com/n0517mh/149/
◆公安警部補・後藤たちの今後の活躍が気になる方は、
『第5話 公安警部補・後藤 vs 御庭番頭領・柳田 〜漢の戦い〜』
公安警部補・後藤 vs 御庭番頭領・柳田……漢の戦いが始まる!
ブックマークと通知設定ぜひぜひ。次話は現在執筆中!近日公開!
現状全7話を予定!
後藤は事件のたびに登場します。スピンオフも続くかも!




