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第1話 公安警部補・後藤は襲撃事件を掌握していたのか!

 竹ノ塚署の一室。公安警部補・後藤と部下たちは情報を収集し、今晩の監視行動を相談中。舎人公園へ向かうのか!?


 同じ時、“異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』”では、修一たちの御庭番バレが発覚!……里長の柳田の怒りを買って、目撃者の若者たちの“8時だよ全員集合”が決定!……幼稚園バスに女子高生アイドル?という足立区を揺るがすSNS大騒動に!

 【警視局 極秘通達 第七号】明治18年(1885年)、日本国初代総理大臣・伊藤博文が就任とともに発令した極秘指令。……現代の首相がこれをしたら、マスコミから担当部局、担当大臣までが反意をふるう大問題だろう。


 当時の警視局に下されたその命令は、141年経った今も警視庁公安警察に引き継がれている。元御庭番の里の担当が、警視庁竹ノ塚警察署警備部のこの一室。後藤と十数名の部下たちである。



 …………


「係長。……。係長。……後藤さん。」


「水沼か、呼んでおいて悪い。……例のインカムの録音、聞いてた。」

「舎人公園のマコドのバイトの音声ですか?……ハンバーガー食べたくなりますね。」


 もうすぐ週末。勤務終了間近。時間潰しの仕事をしていた後藤に、部下の水沼が声をかけた。……嫌な予感がするから、早めに帰るつもりだった。


「あそこの子たちも噂話好きですから、暇な時間はインカムで情報くれますね。」

「休憩中も切るの忘れてるからな。」

「もう直ぐ新しいタイプに切り替えるって話ですよ。」


「今回の“柳田修一襲撃情報”も、彼女たちのおかげだな。」


 後藤はイヤフォンを充電器に戻し、覚めたコーヒーを口にした。


「インカム傍受は、始まって25年ぐらいなんですよね? 盗聴(通信傍受)法ができて、インカムなどの業務用無線の傍受に切り替えたと……。」


「あの里のこういう観察、そろそろ終わりにしたいよ。約140年だぜ。……過去の報告書を見ると、柳田一族が気の毒に思えてくる。」



 140年前の命令を忠実に実行し、他の監視対象と共に監視を続けているのが、後藤が率いる、警視庁竹ノ塚警察署警備部のこのチームである(署内ではうすうす知られており、警視庁の島流しとも……。だが実態は……)。

 公安が偽装するときは警備部。刑事課ではない。


 監視というには、長閑(のどか)すぎるので、いつの間にか観察というようになって、100年ぐらいは経つ。



「明治維新からずっと国家の敵ってことですよね。」

「そんな様子、ずっとないぞ!……なのに戦争では最前線に……酷い扱いだ。」


「係長、そんなこと話してて、上に傍受されると、左遷ですよ。」

「ここより酷い島流しは……ないよ(笑)。」


「奥多摩とか?」

「あっちの方が、のんびりできて、いいよ。森の中の交番とか、いいよな!」

「ないですよ。そんな交番」



「ファミプは早かったなぁ〜デジタル化。傍受無理になったな。」

「あそこの社長、先進機器(ガジェット)マニアって噂ですよ。」

「先代から、ずっとだ……。」


「そういえば、あの観察対処の事業所、一切音声も電波も漏れないですね。」

「あぁ、看板のない。ファミプの配送車が毎日入って、すぐシャッター閉めるビルな。」

「『怪しいですよ』って、自己申告してくれてますよね。」


「セキュリティを厳しくしてるとも言えるから、微妙だな。」

「魔道研究所とかなんですかね?」

「怪しいとは言え、足立区だぞ。それはないな〜」


「1週間前から、定期的に荷物を運んで来るのが福の神で、同じ日に弟と女性二人も入っていきましたよ。」

「他にはないか?」

「あ、二日後、さらに5人増えて、そいつらも寮住まいらしいです。廊下を歩く人数が増えました。」


「あいつら、この1週間、家に帰ってないですよ。」

「3階から上、寮のような設計だな。」

「寮なんでしょうね。……3階の廊下で福たち、それと未確認の男子二人。」

「5階は女の子みたいですが、角度が悪くて、確認できませんでした。」

「4階は?……予備か?」


「昨日は、身なりのいい外人がワゴンで入ってっただろ? ……あれ誰だった?」

「外国人の親子ってだけですね。」


「尾行(つけ)たのか?」

「青ナンバー(外交官ナンバー)の車、つけていいですか?」

「あぁ、後ろに護衛の白ナンバーがついているかもしれないな。」


「やめといて正解だな!」


「でも、どこかの国の大使館だと、幕府御庭番として動き出したとか、ないですか?」

「あぁ、だが、もう少し証拠を掴まないと、英国とかだったら、動けないだろ。」



 彼ら竹ノ塚警察署にずっと仮住まいの公安チーム。第一の任務は、明治維新とともに、野に降った御庭番、柳田一族の監視。時の政府が恐れたその柳生一族の分家というその実力は、目撃した彼らが、恐れるほどの、剣と柔術の技を極めている。


 その彼らがここ数日、頻繁に出入りしているのが、かの看板のない事業所。怪しい建物である。



「話し戻していいですか?」

「あぁ、修一を襲撃しそうって話だったな。」

「マコドのバイトが言ってた、柳田修一襲撃の噂、かなりの信ぴょう性ありですよ。」


「本当か?」

「はい。他の店で、主犯と見られる草加(くさか)の周りを探ってみたら、「俺の琴子を奪りやがった!」とか「修一をボコボコにしてやる!」とか、「集められるだけ、人集めて襲ってやる!」とか叫んでたと、色々聞いた奴らの証言が出て来ました。……全部酒の席ですがね……。」


「酔っ払いの戯言って可能性もあるんだな。」

「そうですね。でも準備の証拠が見つかると、逮捕できるレベルですよ。」


「で、いつなんだ?」


「『金曜の夜、修一と琴子はポルシェで、毎週早く帰ってくる。』と話してたらしいです。」


「詳しいな。」

「福の神と修一に、ボコられた奴らが、情報を売ってるみたいです。……完全に逆恨みですね。」


「草加、プーのくせに、金持ってるよな。」

「何かやってるんでしょうね。」


「お隣の県警が捜査してるだろ?」


「口が軽い奴らは、助かるな。」

「あの二人、恐怖を与えるだけで、怪我させないですね。」

「加えて口が重い。」


「やつらは自分の恥だから、訴えて来ませんからね。」


「さすがに、修一が木刀を構えただけで、盛大に漏らしたなんて……」

「言えないよな!」


「福の神に、顔の前で投げ技を見せられて、あまりの速さに、腰抜かした奴とか?」

「一度見たことあるが、ありゃ、人間業じゃないよ!」


……『教えてやったら、福の神のプロポーズ事案』

 福の神が『ミナに引かれて、飛ばされて、躱(かわ)して、ミナお姫様抱っこのスゴ技……』で彼女を守り、いきなりプロポーズしたとかなんとか……。S級冒険者にも認められた技だよな。



「修一の剣の振りも、剣道じゃないですね。居合もやってますね。」



「金曜日って、今日じゃないのか?」

「今日ですね。」


「今日とは限らないだろ。」

「金曜日と話してただけですからね。」


「じゃ、あのあたり、見張ってるだけにしとこうか。」

「ですね。」


 後藤と水沼は、そう結論を出した。だが、今日の帰宅は諦めるしかなさそうである。



 トントン……。ガチャ

 応えなくても扉を開いて、当たり前のように制服警官が入って来る。


「先輩!」

「高山、お前、その格好で、入ってくるなよ!」


「警備部に、警察官入って来たら、ダメですか?」

「ダメじゃないけど、せっかくパトカーで警邏(けいら)してるふりしてんだろ。そっちの顔がバレるの、まずいだろ。着替えてこいよ!」


「そんなことより、急ぎなんですよ!」

「あんだよ!……事件なのか?」


「これ見てくださいよ。」


「すずめ幼稚園の送迎バスなんて、毎日見てるだろ〜」

「中に乗ってる娘たちの方ですよ。」


 高山がスマホを上司の後藤と先輩の水沼の前に差し出した。


「あっ!なんで女子高生が乗ってるんだ?」

「かわいいな!アイドル並みですね!」

「SNSでこの写真が飛び交ってるんですよ。」

「なんでだ?」


「さっき、手を振りながら、この娘たちを乗せた、すずめ幼稚園のバスが、足立区を横断して行ったんです。……どこのアイドルだ!なんのキャンペーンなんだ!って、足立区中で大騒ぎですよ!」


「噂は隣の草加(そうか)市あたりまで、広がりそうですよ。」

「で、こいつら、どこに向かったんだ?」


「あ、舎人公園北側のすずめ幼稚園に到着しました。福の神が運転してたようです。」

「なんだ、女子高生たちをどこかから、連れて来たってわけだな。」


「多分、あの、新事業所からです。」


「その後、すずめ幼稚園で、しばらく何かしていた様子です。」

「今、二人、私服で張り付けてます。」


「やめとけ、あそこは神経質だ。柳田の奥さんが来てたら、バレる!……絶対やめろ!」

「幼稚園の理事長してる柳田の奥さん、来てて、帰りました!」

「その理事長から鋭い目で見られた気がするって報告が……。いま来ました。」


「柳田夫人は、公安からも恐れられてる。日本一を軽く凌駕する剣の達人だ。」

「そうでしたね。」


「即刻帰らせろ、俺たちが行く。……高山、お前も私服に着替えてこい!誰か適当にもう一人連れて、舎人公園朝日の広場下で監視だ。3人で行くぞ!」


「水沼、お前はここを任せる。指揮を取れ。」

「はっ!」



“異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です”の第7章135話から始まるサスペンス編に登場の公安警部補・後藤が主人公のスピンオフがスタートしました。


 本編はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n0517mh/1/


後藤が登場する話だけのスピンオフ不定期投稿です。

[投稿は日曜日12:10と水曜日19:10の目安です]


今回は全7話を予定。……増えるかも。

通知が行きます。ブックマークと通知設定をお願いします。



◆本編で事件の展開を楽しみたい方は、こちらへ。

 https://ncode.syosetu.com/n0517mh/135/

 “異世界コンビニ『戦場のファミリーストップ』開店です。”(本編)

 第7章・第135話からは、『舎人公園攻防〜サスペンス編』連載中!


◆公安警部補・後藤たちの今後の活躍が気になる方は、

 『第2話 舎人公園朝日の広場で、何かが起こりそうです』(仮)

 後藤は高山と新人係員の3人で現場へ。いよいよ襲撃か!


 その時、拘束されたのは……。


 ブックマークと通知設定ぜひぜひ。次話は現在執筆中!近日公開!

 現状全7話を予定!

 後藤は事件のたびに登場します。スピンオフも続くかも!


 面白かったら★★★★★くださ〜い。

 感想もお待ちしてま〜す。


※福の神のお姫様抱っこは本編第72話です。

※この物語は完全なフィクションです。足立区の実在の地名がたくさん出ますが、実在するいかなる人物、団体、宗教、事件とも一切関係ありません。

※登場地域に同姓同名の方がおられても、無関係、たまたまです。ご理解くださいね。


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