7:00
昨日の夜、沙樹たちが送ってくれた天の川を見て俺はその夜空をJAPAN ORIZINN CONCOURSの題材にすることにした。
«JAPAN ORIZINN CONCOURS»
略称 J ORICONNは日本最大級のアートコンクールで例年3万点近く入選されたものが展示される。
毎回テーマはフリーで年齢制限もない。
その代わり選考はあるけれど、それでも出す権限は1人何点でもありだという。
入選して賞が1つでも貰えれば、自分の作品を世界に知ってもらうチャンスがある場だ。
このJ ORICONNを俺が知ったのは去年の冬、沙樹と愛海に連れていってもらった時にこのコンクールを教えてもらった。
沙樹は就職して安定してきたらやってみたい、愛海はレベルが高くて手が出ないと言っていたけど、出すのは自由なんだから俺は次の年出すよと言ったら2人もその場でやると言ってくれた。
今、2人のテーマはまだ聞けてないけれどもう制作し始めてるらしい。
俺はなかなかテーマ決まらなかったからだいぶ遅いスタート。
しかも個人だから誰の手も借りられないのがだいぶ痛い。
削れる時間を削っていくと必然的に睡眠時間がなくなってしまうからこの所体調が良くないけれど、明日は仕事が休みだから少し無理をしても大丈夫だろう。
今日もそんなに寝れてないけどノートに下書きや思ったことを書きまとめてやっと眠れた。
けれどベッドで眠ってしまったら学校に間に合わないと思って椅子に座って30分寝たけど、やっぱり頭の疲れは取れないな。
俺は寝不足で目がかすみながらも登校ギリギリまでテーマで使う化粧品を吟味し、新しく欲しい色をネットで調べながら学校に向かうと校門前で愛海と会った。
夏「おはよう。」
愛海「おはおは。また女とやりとり?」
夏「違うよ。画材調べてた。」
愛海は前に俺のメッセージ画面をたまたま見てしまったけれど、誰にも言わず黙っててくれている。
仕事のことはあまり他人に話さない方がいいと瑠愛くんに言われてるし、偏見があることは知っているから話せてないけど、愛海はそんなに気にしてない様子。
愛海「お?J ORICONNのテーマ決まったのか?」
夏「うん。」
愛海「おおっ!これで無事3人で通せるな。」
2人で一緒に教室に行き、まだ来ていない沙樹を待ちながら愛海は携帯に写った画像を俺に見せてくる。
愛海「俺、これに描くつもり。」
愛海が見せてくれた画像にはたくさんの流木が無造作に置かれてあった。
それもガレージ1つ分にすっぽり収まる流木が大量に重ねられて、隅に置いてあるタイヤの高さとほぼ一緒になっている事に気付く。
夏「これ全部?」
愛海「必要な分だけな。もしかしたら足りないかも。」
こんなにたくさんの不揃いな流木でなにを作るんだろうと心躍らせていると沙樹がやって来た。
愛海「夏がやっとJ ORICONNのテーマ決めたって。」
沙樹「そうなんだ!良かったー。夏、忙しいから出せないかと思ってた。」
夏「言い出しっぺがやらないなんてカッコつかないからね。だいぶ遅いスタートだけど全力で頑張るよ。」
3人でJ ORICONNについて話しているとあっという間にHRの時間になり、授業が始まる。
そんな中、ふと俺は気づく。
こんなに教室って賑やかで明るかっただろうか。
少し向こうでクラスメイトと喋っている永海のホワイトゴールドはあんなに透き通っていただろうか。
外の青空に浮かぶ白い月はあんなにはっきりと見えていただろうか。
何故か俺は、周りにあるもの全てが新鮮に見えていつもより心拍数が高くなっている気がした。
→ 青い




