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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
二章 保元元年(一一五六)六〜七月

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戦の爪痕(六)




 小助を見つめたまま、言葉を発することができぬ私。抱えていた恐れが心の臓を叩く。

 口を開きかけては押し黙る私を、小助は辛抱強く待ってくれた。


「……そなたが、そのように問うということは……」


 意図せず、小助から視線をそらしていた。


「……皆様……術符のことをご存じなのだな……」

「はい」


 小助は頷いた。

 これで合点がいった。今宵の訪問は、報告を兼ねた父上や異母兄上方のお心遣いだと。私が内に秘めるよう努めていた憂いを慮ってくださったのだろう。さらには熱田のお祖父様と同様のことをお考えなのだろう。藍色の夢にて伝えられた憂慮──私が家族に甘えぬこと──ゆえに小助を遣わした。


『いついかなる時も〝次期長の嫡男〟であろうとしなくていい』

『ひとりで、すべてを背負うな』


 という先ほどの言も、私が思いを吐露しやすくするための……


「ですが、どなたも若様を責めてはいらっしゃいません。むしろ『よくぞそこまで』と、お心遣いを褒め称えていらっしゃいました」


 重々しい空気にならぬよう、やわらかな声で語りかけてくれる。


「……『勝手なことを』とお怒りの方はいらっしゃらなかったのか」

「おひとりも」


 小助がまっすぐ見つめてくる。その力強い眼差しは、皆の心を代弁しているかのようだった。


「若様が〝童〟として動かれたのを、皆様はご理解なさっています。『立場により動けぬ大人(われら)の代わりに、手を尽くしてくださった』と」

「だが……お祖父様は落命してしまわれた。私の術が未熟なせいで──」

「若様」


 そして静かだが強い口調で、私の言を止めた。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、8月7日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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