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【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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愛しの異母弟(一)




 それから少しの間。

 周防のすすめにより、義母上の気晴らしになればと話をしていた。話題は、先ほど見てきた景色や今若丸のことなど。

 今若丸は、今朝がた臥せっていらした義母上に『いたいのいたいのとんでいけ』をしたそうだ。幼い口調ながらも、よく通る声だったとのこと。その後、義母上が、


『……少し、楽になったような……』


 と呟かれたことから、占者に見てもらったところ。今若丸も、わずかながら霊力が使えるようになったらしい。霊力の覚醒が母を思う心からとは……心にしみ入る話だ。

 私の関心事は他にもあった。今若丸が用いた手段ならば、言霊を施しても禁忌とみなされぬということだ。目から鱗が落ちるような心地がした。

 義母上が少しでも楽になられるのなら、私は嫡男としていかなることもすべきだ。なるべくこちらへ伺いたく思うゆえ、後ほど父上に相談致そう。

 義母上との静かな会話の中に、幼い足音が聞こえてきた。


「……あーぅえー……」


 後ろから今若丸の声がした。振り返ると、小さな手をこちらに伸ばしながら歩いてくるところだった。昼寝から覚めたばかりの、おぼつかぬ足取り。私は安座のまま腕を伸ばして受けとめ、膝の上に乗せた。


「起きたのだな」

「ん」


 こくりと頷く三歳の今若丸。


「今朝は大活躍だったそうだな」

「かつ……?」


 今若丸は、難しい言葉ゆえに首を傾げた。まだ少し眠たげだ。

 我が家の方針は『繰り返し聞けばそのうち覚える』というものだ。よって説明はするが幼児語を使わぬ。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、5月27日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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