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【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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厨の者たち(二)




 主厨長は温石を布で包み、こちらへ参った。


「若様ようこそ」


 三十代半ばの野性味のある大男が、忙しいことなど苦にしていないような笑顔で目の前に立った。


「うむ。忙しい時分に、すまなかった」

「いつものことですから、お気になさらず」


 主厨長から手渡された温石を、落とさぬよう胸に抱く。厚く巻かれた布越しに、じんわりとぬくもりが伝わってきた。

 義母上に早く届けてさし上げよう。


「皆の仕事を増やしてしまったな。『ご苦労であった』と伝えてくれ」


 常盤の義母上を見舞う旨を言づけておいたところ、この時間に間に合うよう手筈を整えてくれた。何と機転が利くことか。さすが我が家の主厨長を担う者だ。


「連中は耳が良いですから、もう聞こえていると思いますがね」


 苦笑する主厨長越しに、厨人(くりやびと)たちが頷いている。

 こちらは抑えた声で話していた上に、最も遠い者で三間(約五.五メートル)ほど離れているのだが。そういえば先ほど、精神の訓練がどうとか申していたな。

 以前、父上も仰っていたような……たしか……


「そなたらは、影の者なのか?」

「お小さい方々には、内緒ですよ」


 おどけて片目を瞑ってみせる主厨長。

 私は頷いて了承の意を示した。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、5月23日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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