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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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穏やかな光満つ(二)




 朝長異母兄上と波多野の義母上も、


「もう少しで産み月となりますが……」

「ええ。常盤の方とお会いしたら、いたわってさし上げるのですよ、朝長」

「はい。元服している異母兄上と私は、北対へ気軽に赴くわけには参りませんが」


 といったご様子で、ご自身のことのように心を痛め、案じていらっしゃる。

 この広間に控えている女房たちも皆、気がかりであるようだ。

 朝長異母兄上の言葉をお借りするなら、この中で、どの対へも気軽に赴けるのは童である私のみ。


「母上」

「何でしょう?」

「常盤の義母上のお見舞いに伺ってもよろしいでしょうか? 南庭の花をさし上げたいのです」

「それは良い考えですね。常盤の方のお心が少しは晴れるやもしれません」


 母上は、やさしく微笑んでくださった。

 父上の様子を伺うと、了承の頷きを返してくださった。次いで近江に目配せすると、北対に伺って参ります、というお辞儀が返って参った。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、5月4日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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