表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
【改稿中】三章 保元元年(一一五六)八月~九月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/126

初昇殿(一)




 初昇殿の日。

 私を含む十数名の童は、まず謁見の間に通された。

 礼法に則り家格に従って下座で待機するよう、役人の方から申しつけられた。

 この童殿上は、保元の乱における恩賞という名目だった。その真意は、後白河方に属した者の子息を引き立てることで恩を売り、改めて忠誠を誓わせることにあるのだろう。さらに朝廷へ奉仕する能力があるのかを、童の内に見極める目的もあるとみた。


 定刻になり、官職をお持ちの方々がお出ましになった。左大臣となられた実能卿を始めとする、後白河方の主な方々だ。当然、臣下に身をやつした真の首謀者──信西殿の姿もあるはず。父上から伺った『執念深さを教養人という面の皮で覆い隠した者』を発見しても、眉一つ動かさぬよう努めねば。

 役人の方のご説明によれば、名簿に添って名を呼ばれるとのこと。顔見せも兼ねるゆえ、父君の名に各々の名が付随される。


「官位、誰それの何番目、何某(なにがし)


 という具合だ。


「従一位・関白、藤原忠通が六男、鶴千代」

「──はっ」


 最初に返答したのは、利発そうな張りのある声の童だった。

 忠通卿のご子息──鶴千代殿は、八歳にして昔の儀式・作法などに造詣が深いそうだ。初昇殿の話を伺った時、父上がそう仰っていた。

 姿勢を正す時の衣擦れの音が澄みやかなのは、きちんとした所作を身につけているゆえだろう。私との間にいる幾人もの童によって、実際の所作が見えぬのを残念に思う。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、10月8日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ