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【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
【改稿中】三章 保元元年(一一五六)八月~九月
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逢瀬の前夜は(三)




「そう申してもらうと、少し気が楽になる。日頃、そなたに無理をさせている自覚はあるのだ。ゆえに、明日のために早く下がったほうが良いのではと思ってな。逢瀬の前は、せねばならぬことも多いと耳にしたぞ」

「せねばならぬこと、でございますか?」

「うむ。装束と(べに)の色合いを考えたり……あぁ、そうだ。肌や体の調子を整えて──」

「若様……? いずれのところで、そのようなことを覚えていらしたのですか?」


 私の言葉にかぶせてきた近江の顔が少々怖い。何かまずかったのか?


「先日、朝長異母兄上が仰っていたのだ。『女性は綺麗でありたいと思うもの。ましてや恋しい相手がいればなおさら』とな。ならばそなたも、そうではないかと思ってな。仲綱殿はそなたの『恋しい相手』ゆえ」

「お心遣いには感謝申し上げますが、若様は朝長様のようになられなくともよろしいのですよ」

「私も異母兄上のようになれるとは思っておらぬぞ。ただ異母兄上の目端の利きように感服しているのだ。そなたにもな」


 少しぷりぷりしていた近江が目を瞬かせた。


「わたくし、でございますか?」

「うむ。前にも言ったと思うが、いつも感謝している。私もそなたを見習い精進せねば、と背筋の伸びる思いがするのだ」

「あ……ありがとう、ございます」


 いつものことだが、近江の照れる様子は愛らしい。日頃はあまり考えぬが、まだ十八歳なのだとかような時にふと思う。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、9月25日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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