【2】 byA.S
転校2日目。
私は、席に座り、ボーっとしていた。
外は雨がしとしとと降り注ぎ、妙にじめじめとしている。嫌な天気だ。
「――な、瑠璃ちゃん!」
「……え?」
話し掛けて来たのは、肩まである黒髪にカチューシャをした女の子だった。
ニコニコと人好きのするような笑顔を浮かべ、机に頬杖をついている。
「えと…」
戸惑ったような声を出す私に何が言いたいのか察したのだろうか、女の子は「ごめんなー」と誤ってくる。
「アタシは橘 明里!宜しくなー」
関西方面の言葉だろうか、大阪弁に似た言葉で話しかけてくる。
無邪気な笑顔を浮かべ、何故か顔を近づけてきて、その迫力に思わず椅子ごとぐいっと下げてしまう。
それにまた誤られ、とっさに「いいよ」と言い返した。
「な、な。瑠璃ちゃんって、何処の小学校からきたん?」
「えと…私は某県の某小学校から……」
「そうなんや〜。アタシもホントは其処に入学する予定やったんやけどな。能力が理由でこっちにきたんや」
「へ〜」と頷いてみる。
もし自分達に特殊能力がなければ、其処の学校の同級生になっていたかもしれないという事だ。
偶然が重なった事実に、私は素直に驚いた。
「橘さんも某小学校に入学する予定だったんだ…」
「橘さんやのーて、明里でええで」
「え?でも……」
「ええて。本人がそう言っとるんやから、遠慮すんなや」
「じゃ、じゃあ…………明里ちゃん?」
ちゃん付けで呼べば、「ま、ええわ、それで」という言葉が返ってきた。
…呼び捨ての方が良かったのかな?
顔を更に近づけてくる明里ちゃんに、同じように更に椅子を引く。
「――おい、明里。星菱さんが困ってんだろ」
「え?ああ、ゴメンなー。気付かへんかったわ」
そう言い、声に従って顔を引く明里ちゃん。
それに伴い、私も椅子を元に戻した。
「あ、紹介するわ。コイツは成瀬 彰人。ウチの幼馴染や」
「むっちゃツンツンしてんやで」と、明里ちゃんはジト目で彰人君を睨む。
それをさらりと受け流すのは、流石幼馴染といったところか。
「ケッ、たこ焼きの食べすぎで体重が増えたのは何処のどいつだよ」
「なんやてぇ!?」
「え?え、ちょ、ちょっと、2人とも――」
私は2人の言い合いを止めようと割り込もうとするが、呆気なくそれを止められてしまう。
そんな時助けてくれたのが、隣の綺羅さんだった。
「アンタ達さ、コイツん事忘れてない?」
綺羅さんは、私に指を差し、更には「コイツ」と呼んでくる。
…やっぱ私の予想は間違っていないらしい。
「「………は?」」
パチパチと瞬きをし、2人は私の方に視線を向けてくる。
そして、2人して誤ってきた。
「すまんなァ、瑠璃ちゃん。コイツが何言っても聞かんでな……」
「何言ってんだよ、心の狭い頑固者が」
「言い合いは辞めてくんない?うるさいンだけど」
「「…ゴメン」」
2人は素直に綺羅さんに誤った。
…綺羅さんって、一体何者……?
私は、それを見ながら、パチパチの瞬きをした。




