8月1日
あの日から思い返しながら書き留めていく。俺があいつ、白葉なずなと出会ったこの日から。
俺はそいつの事が気になっていた。……初めはただ純粋な興味からだったな。
夏休みも折り返していたが、俺は毎日のように部活の練習で学校に行っていた。8月5日の大会に向けてそれまでハードに練習をせざるを得なかった。
その日は生憎の雨だったのを覚えている。自転車で来ていた俺は誰もいない静かな生徒玄関で一人雨が止むのを待っていた。
ふと外を見ると、スライド式のガラス扉の外で傘も差さずになずなは立っていた。雨よけがありはするがそれでも濡れるものは濡れる。
夏休み期間中、部活帰りにいつも立っていた。最初は誰か待ってるのか? とか考えていたけれど、それが二日、三日……と続けば流石に違うんだと分かった。
その日も普段通りならスルーしていたかも知れない。あるいは心の中で軽く心配はするが、それでも声はかけてなかったはずだ。見ず知らずの他人との接し方なんて大半がそんなものだと今でも思う。
ただ、その日はどうしてか俺の足は玄関の外へと向かっていた。
一言目の言葉は何だったか。ただ、話しかけた時のその表情がとても驚いていたことだけは鮮明に覚えている。今振り返ると、この時点で俺は好きになっていたのかもしれない。……一目惚れなんて本人に言えば笑われるだろうけれど。
軽く自己紹介をしてから理由を尋ねてみると
「家族と大喧嘩しちゃって、あんまり家にいたくないんだ」なんて言わて、面目がなくなった。軽い気持ちで尋ねて、不快な気持ちにさせてしまったと思った。
なずなは「気にしなくていいよ。全然。それよりも話し相手いなくて暇なんだよね」なんて言って軽く笑ってた。
夏の生ぬるい空気の中、変わらず雨がザーザーと降っていた。時間も合ったし、何より申し訳なさから暫くなずなと話していた。
しばらく話し続けていたと思う。気がつけば雨は止んでいた好きな食べ物やら、入ってる部活やら……そんな他愛ないことをただただ。




