援助なし
うむ。お題が生きてない。
「困るんです。援助なしってどういう意味ですか?」
「だからその通りなんだよ。うちの会社にはもうおたくに援助する余裕なんてないんだ。わかってくれ」
「わ、わかりません。だって、今まで」
そう言いかけたところで、電話が切られた。
受話器の向こう側からツーツーツーと音が聞こえる。
「……はあ、援助って、援助じゃないんだよ。この野郎!実際は、うちがイラストや何やら提供して、その代金として振り込んでいたんじゃねーか!何が援助だ。このくそ野郎!こんだけの注文どうするんだよおお」
満の目の前には、様々なイラストが置かれていて、それはすべて先ほどの会社が満に「注文」したものだ。
それを援助と言い切り、金を払わないと言い始めた。
満は今どき珍しいアナログのイラストレーターだ。
ツイッターでイラストを載せていると、その会社から「注文」を受けるようになった。
「……仕方ない。誰かにあげよう」
折角心を込めて描いたのだ。
満は捨てるよりも誰かにあげたほうがいいと、ツイッターに写真を撮って載せ始めた。すると反響は大きく、満のフォロワーはどんどん増えていき、正規の注文も増えていった。
そんなある日、あの会社が再び連絡を入れてくる。
「あの、ミツルさん。実はこういうコンセプトで描いていただきたいイラストが……」
「すみません。僕、援助はしないんですよね。プロですから。それでは」
満は男の言葉を最後まで聞かず電話を切った。
それから、その会社はほかのイラストレーターに連絡したらしいのだが、誰も仕事を引き受けなかったそうだ。
因果応報とはまさにこういうこと。




