約束
「音子〜今日は怖〜いおじさん達にた〜くさん怒鳴り散らされて大変だった〜」
赤鬼が泣き言を言いながら俺の肉球をクンカクンカしている。
因みにさっき散歩から帰ってきて櫻子が雑巾で手足の裏を拭いていたが喋れないから伝えられない。
「でも俺は怖〜いおじさん達を怒鳴り返してやってな〜牢屋にぶち込んでやったんだぞ〜」
そう言いながら響鬼は俺の両手の肉球を目に当てていた。
「音子の手はチメタクテ気持ちいいなあ…癒される〜」
因みに昼間俺のウンチをその手でツンツンしたが喋れないから伝えられない。
「さあ、音子〜ブラッシングよお〜もう少し抜け毛が必要なんだからね〜」
櫻子のセクハラタイムが始まるか…
この世界は俺の居た世界と交わっているんだろうか…
あのナナシが話した事が本当なら、俺の転生のサイクルを考えると過去の世界なんだろう。
もし生き返ったらこいつらは歳を取っていて亘なんかも大人になっていて…
ちょっと見てみたい気もするが、人間に戻ったらこの世界で過ごした記憶は残るんだろうか?
人間に戻った奴に会えればその辺りも聞けそうだが、やはり転生してる奴らの所業を考えたら難しいだろう。
目覚めても刑務所だろう。
しかし…自分はどんな人間だったんだろうか。
やはり気になる。
全く殺意が起こらない殺人犯っているんだろうか?
あのサイコパス悪魔の子みたいなんだろうか?
あれでも多分殺してるって実感位はありそうだが…
やはり何かの間違いで殺しちゃったな気がする。
俺が運転出来るのか知らんが車で轢いちゃったとか、何人か乗せて運転してて事故にあったとか…
多分それっぽい気がして来た。
何故最後の記憶がはねられてるかは分からないが…
やはり人間に戻って謎を知ろう!と意思を固めていた。
○○○○○○○○○
「いた!犬のお兄さん!」
満月集会へ向かう途中、声をかけられた。
振り返ると、この間鍵を拾ってあげた女の子がいた。
「今晩は、この間は大丈夫だった?」
「はい!有難うございました!お礼が言いたくてあれから毎晩ここで会えないか待ってたんです!」
「えっ!?夜は危ないよ!」
「はい…でも…もう一度会いたくて…」
うわー!こんな可愛い女の子にこんな事言われてキュンとしない男は居ないだろー!
まさに尻尾をぶんぶん振っていた。
「わあ!嬉しいな。でも…俺こんな見た目だし怖くない?」
そう、俺には耳と尻尾が付いているのだ…
色んな意味で怖いしヤバい。
耳が垂れていた。
「いえ…とっても…カッコいいし可愛いです!その尻尾もふもふしたいです!」
何かちょっとオタ気質っぽくて良かった〜
怖がられたり通報は無さそう〜
俺も君をもふもふした〜い!なんつって。
「お名前なんて言うんですか?私は恵美って言います!」
「俺は音子っての。エミちゃん、可愛い名前だね!」
「犬なのにネコって…可愛い名前ですね!あはは」
櫻子…初めてお前の命名に感謝したぞ…
「いつもこの日に居るんですか?」
「俺ね、満月の日じゃないとこの姿になれないし、喋れないの。普段は犬だから。後雨の日とか建物に入ったりとか、光が隠れたり遮られると元の姿になっちゃうの。」
「へぇー!そうだったんですね!だったら晴れた満月の日の夜に音子さんに会えるんですね!」
なんかすんなり受け入れてる…
悪い大人に騙されないか心配になってきた…
「そうなんだー。」
「じゃあ…次の満月の日にまたここで会ってくれませんか?お礼もしたいです!」
「うん、いいよ!それじゃ俺は用事あるから行くね!気をつけて帰ってね!エミちゃん」
「はい、また次に!音子さん …」
わあ!なんか凄い可愛い子と約束しちゃった!ラッキー!
あの感じだと通報とかないよな。多分…
まあ最悪捕まっても建物入ったら犬になるし逃げ出せば良いか。
ウキウキしながら公園に向かった。




