顔出し中は好きにやらせていただく 14
私は郷田宏人システムエンジニアの仕事をしている。
以前、私はあるシステム開発のプロジェクトを指揮をしていた。
それが、アーケードゲーム『戦場の友情』だ。
ロボットアクションのVRゲームは前代未聞で、開発にはかなりの労力と資金を有した。
もちろん、戦場の友情稼働後はそれに見合うような富と名声を得た。
本物を操縦しているようなリアリティ追求し、実際の戦場に降り立ったような感覚が多くの男性の支持を受ける結果となり、数々のゲーム賞を総ナメにしたのだ。
私は嬉しかった…
喜びで満ち溢れていた。
戦場の友情というタイトルにあるように多くの人々にこのゲームを通して、新しい情報化社会での友情の育み方を知ってほしいと願い、その一心でこのゲームの開発に取り組んだからだ。
汗を流し、共に勝利を分かち合う仲間たち、涙を流し、次こそはと励まし合う仲間たち。
私はこの光景が見たかったのだ!
しかし、ある男が全てを台無しにしたのだ。
第1回戦場の友情全国大会本戦。
私は特別ゲストととして大会に呼ばれていた。
大会のルールを細かく決めたのも私が率いるチームだった。
公平を期すために、機体のコスト制限を掛け、禁止パーツも設定した。第1回大会は個人エントリーでのみ参加を受け付けチームエントリーでの参加は受け付けなかった。
なぜなら、チームエントリーだと力量差が顕著に出てしまうと思われたからだ。
しかし、それが裏目に出てしまった。
圧倒的な強さで相手を薙ぎ倒し、対戦相手に強烈なトラウマを植え付けるプレイヤーがいたのだ。
死神を模した武器と機体を駆り、相手の反撃という選択肢を全て潰し、一方的に蹂躙する。 植え付けるトラウマは『絶望』
違う… 違う!!
私はこんなものが見たかったんじゃない!!
共に競い合い、切磋琢磨していく熱い友情が見たかったのだ!! こんな無慈悲な殺戮をするこの男をプレイヤーの頂点に立たして良いわけがない!!
私はトーナメント方式で行われていた大会を、急遽全員同時対決のバトルロイヤル形式にルールを変えた。
これならばあの男の暴挙に憤りを覚えている他のプレイヤーたちが協力して奴を倒してくれると考えたからだ。
しかし、蓋を開けてみれば、積み上げられた、まるで死体のような機体の残骸の上にあの男だけが無傷で立っていたのだ、まるで全てを嘲笑うかのように…
あの男は神聖なる戦場を汚しただけでなく、全てのプレイヤーの憧れの存在、全国大会優勝の栄冠まで汚したのだ。
私はそれから開発室に閉じこもり、新しいプログラムの開発に昼夜問わず取り組んだ。
あの男に復讐するのだ、全てを台無しにしたあの男に!!
あの男に教えてやるのだ、真の絶望を!!
それから数年が経ち、遂にその時がやって来たのだ。
戦場の友情全国大会の会場のカフェブースで呑気にコーヒーを飲んでいるあの男をついに見つけたのだ。
ここ数年行われていた公式大会では何の音沙汰もなく、私の復讐の機会は永遠に失われたかに思われたが、やっと見つけた。
絶世の美女2人に囲まれ、呑気に雑談をしているあの男に真の恐怖を植え付けてやるのだ!!
「その時が楽しみだよ、入月勇志くん」




