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20秒で読み終わる話あり!  ショートショート集  作者: ameumino


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幸せのゴールテープ

インタビュアーと女性ランナーの二人が、テレビカメラの前に並んで立っている。


「放送席、放送席! たった今、ゴールテープを切りました、山田さちこさんです! おめでとうございます!」


インタビュアーは、手に持ったマイクをランナーに向けた。


「ありがとうございます!」


女性ランナーは、額の汗を手でぬぐった。


「どんなマラソンでしたか?」


インタビュアーは笑顔で問いかける。


「それはもう大変でした。何度も諦めようと思いましたけど、ゴールした後の幸せを想像して、頑張りました」


ランナーも笑顔で答えた。


「お疲れさまでした。ゆっくり休んでくださいね」


「はい!」


「以上、現場から……あれ? どうしましたか?」


インタビュアーはカメラから目を離し、隣のランナーを見た。


ランナーは目を閉じ、何度も小さく首を横に振っていた。


「……あー、もうヤバいです」


ランナーは首を振るのをやめ、深いため息をついた。


「な、何がですか?」


「ゴール鬱です」


「ゴール鬱?」


インタビュアーは不思議そうに首を傾げた。


「前にゴールしたときも、こうなったんですよ」


ランナーは何度もうなずきながら答えた。


「どんな状態なんですか?」


「ゴールという目標を達成した途端、幸せが消えちゃうんです。心にぽっかり穴が開いたような……そんな感じです」


「えっ? ゴールしたら幸せになれるんじゃなかったんですか?」


「走っている最中は、そう思うんですけどね……。でも、達成した瞬間に変わっちゃうんです」


「そんな、バカな……」


インタビュアーは驚き、言葉を失った。


「……あっ、じゃあ私、また走ってきます」


「えっ? 今からですか?」


「はい。次のゴールを目指して走っている間が、一番幸せなのかもしれませんね」


ランナーは苦笑すると、その場をあとにした。


残されたインタビュアーは、しばらくその背中を見つめていた。


人生も、そうなのだろうか。


目標を追いかけている間は幸せなのに、手に入れた途端、その幸せを失ってしまう。


なんとも皮肉な話である。

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