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20秒で読み終わる話あり!  ショートショート集  作者: ameumino


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実況・夢の崖 (注)小説家を目指す方は見ないほうが良いです 

実況:


現場は「小説家」の崖を映しております。ヘリからの実況中継です。




実況は私、佐藤。解説は夢追い人マスターの高柳さんです。よろしくお願いします。




高柳:


はい、よろしくお願いします。




実況:


ご覧ください! 数多くのクライマー、つまり夢追い人たちが崖を登っています! すごい人数ですね!




高柳:


多いですねぇ。小説家という夢は、他の夢より追いかけ始めるのは比較的簡単ですからね。もっとも、叶えるのは別の話ですが。




実況:


なるほど……。




あっと! 5人が一気に崖から落ちた! 5人とも奈落の底へ……!




……あっ、違います! 1人だけセーフティーネットの上に引っかかっています! これはどういうことでしょう!




えー、情報が入りました。彼は定職についているとのことです!




高柳:


小説一本に絞らなくて正解でしたね。




実況:


ということは、夢が破れても生活は続けられると。




高柳:




はい。




残りの4人は……まあ、知りません。




実況:


その間にも、また1人、また1人と崖から落ちていきます! あっけない! 儚い! 夢とは、こんなものなのでしょうか!




高柳:


そうです。夢というのは、美しくて残酷なものなんです。




実況:


おっと、落ちることを恐れて途中で休憩している人もいますね。




高柳:


休憩は大切です。でも人生は短い。長すぎる休憩は禁物ですよ。




実況:


そんな中、先に登り始めた人たちをごぼう抜きにして、どんどん登っていく人がいます!




高柳:


ああ、彼はいわゆる才能のある人なんでしょうね。これは本当に頂上まで行くかもしれません。




実況:


その「かもしれない」が、今、現実になりました!




男は、なんと崖を登り切りました!




なんというスピードでしょう! これが才能というものでしょうか!




高柳:


それに彼は一度も休憩せず登り切りました。努力もできる人なんですよ。




才能と努力。その両方を持つ人が頂上に立つんです。




実況:


男は右手でガッツポーズを決め、喜びに浸っています!




おめでとうございます! 新たな小説家が今、ここに誕生しました!




……ん?




仮面をかぶった女性でしょうか。頂上に立った男へ近づいていきます。




高柳:


大会スタッフですね。




実況:


……何か箱のようなものを持っています。




パイロット、もう少し寄れますか?




高柳:


……あっ、そうか。




そうだった……。




実況:


高柳さん?




高柳:


いえ、何でもありません。




実況:


えーっと、仮面の女性が持っている箱ですが、上部に穴が開いていますね。




……くじ箱でしょうか?




あっ! 男が箱に手を入れ、くじを引きました!




高柳:


ハズレですね。




実況:


あっとーーー!!




その瞬間!




仮面の女が男の顔面へ回し蹴り!




かかとが直撃!




男は後ろへ吹き飛び、そのまま崖の下へ落ちていったーー!!




高柳:


私は忘れていました。




夢を叶えるには、努力と才能だけでは足りない。




最後に必要なのは――運なんです。




(おわり)

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