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月曜に初めて月曜に始まる  作者: 荻戸 凌丞
第三章
25/25

第25話 東宅

今日は日曜日。俺は初めて昼の2時に起きるという、時間の有り余る者にしか許されない怠惰を味わってしまった。

ふむ、今までどっちかという朝方だったから昼まで寝るっていうのはなかったけど、悪くない。まあ朝方といってもあのバカ女神が無理やり起こしてくるからだが。今日はアイツは谷浦の監視。久しぶりにアイツが一日中いない休日だ。

よし二度寝でも  グゥゥ~

おっと、夕飯から12時間以上もたっているのか。そりゃ腹の虫も騒ぎまくるか。ええいうるさい。もうすぐ、フミヤ、じゃなかった京一特製玉ねぎ丼をつくってやるから。

一回に降り、キッチン部屋のドアを開ける。


ガチャ

バタン!!


…説明しよう。俺の目が狂っていなければ、キッチンに二葉ちゃんともう一人女の子がいた。ここは確認するべきだが本当に女の子がいたら今の俺の格好はやばい。ランニングにパンツ。人様に見せられるものではなく、何なら見せて捕まるものである。とりあえず部屋に戻


「おにいさんっすか?!こんにちは!!」


「きゃぁぁぁあぁぁぁぁ!!」


着替えてからキッチンに降り立つ俺。先ほどはこの少女たちに見苦しいものを見せてしまった。まさか悲鳴を上げさせてしまうとは。もうしわけ


「お兄さん意外とくぁわいい声出すんすね」ニカッ


…悲鳴を上げたのはこの子でも二葉ちゃんでもなく俺でした。はい。だってしょうがないじゃん。閉めたドアが急に開いて女の子が出てきてしかも俺はがっちがっちの下着。そりゃ俺の中の潜在的に秘められた羞恥心のポテンシャルが発揮されるのも無理はない…二葉ちゃんに聞かれたのが死ぬほど恥ずかしい。


「だ、だろ?最近練習しててな。ミックスボイスて言ってな?カラオケでみんなの度肝を抜くために頑張ってるんだよ。その練習中に君が急にドアを開けたんだよ」


「そーなんすか!すごいっすね!あ、私、小茨 こいばらきりって言うっす。よろしくっす!」


「あ、はじめまして、二葉ちゃんの兄の京一です。よろしく」


溌溂としてとても気持ちのいい子だ。女子の~っす!というのも新鮮で悪くない。顔立ちはまだ幼いがそれがこの子のエネルギッシュな印象を押しているのだろう。



「あ、はじめましてじゃないっすよ。会ってるじゃないですか昨日!」


はい?昨日?昨日会ってる?俺がこの子と?妹の友達に言っちゃぁなんだがこの子レベルの可愛さなら忘れないと思うけど…

というか俺の周りの顔面偏差値高くない?なんか元の俺が不憫なんだけど。そんで東の顔でありながら周りにイケメン認定されない俺も同じくらい不憫だぞ。


「あ、覚えてないっすね?というか気づいてないっすよね?」


「え、なんかすまん」


「えっと…こうしたらわかるっすか?!」


ごそごそと何をしだしたのか思うと帽子をかぶりニパッと振り向く。いやわか、待てよ。この帽子は昨日…


「えっ、もしかして昨日二葉ちゃんと一緒にいたやつか?!」


「そうっす!!やつって言い方はちょっときつくないすか!?」


そんなことはどうでもいい。それよりもこいつは男なのか、女の子なのか。それとも男の娘なのか。それ次第で呼び方も変わってくる。こいつかこの子か。


「えーと…男、なのか?」


「女子っすよ!!昨日は男装メイクしてたから男っぽかったんすよ!

何なら見ますか?証拠でも


「桐ちゃん何言ってるの!?」


「冗談だよ冗談。もう、二葉はかわいいなぁ」


え、この子ってもしかしてそっち?いや別にいいんだけどさ。中学女子らが戯れる姿は日々の疲れ、というか昨日の疲れを癒してくれる。だがあんまり踏み込まないほうがよさそうだな…


「あ、もちろん二葉をそういう目で見てたりはしてないっすよ?自分好きなのは男ですし」


「あ、そう。にしても二葉ちゃんとの距離近いね」


「そりゃそうっすよ。二葉の可愛さは性を超越してるっすからね」


「わかる」


「おにいちゃん!?」


東の体に入ってるからか、こう、妹としての二葉ちゃんの可愛さは日に日に増している。可愛さが増すとともに異性という感覚も薄くなっているが。いうなれば部活で自分を慕う後輩的な感覚。そんな後輩いなかったけど。くそう、世の中のいい思いをしてたのか。 こちとら弟に対して趣味の合う友達感覚だったぞ…弟を友達って…


まあそんなわけで以前は二葉ちゃんに対してかわいい一つ言うのにも恥ずかしがってたシャイな俺だが、今ではいくらでも甘いセリフを放つことができる。


「二葉ちゃん学校ではどんな感じなの?」

「そりゃあモテまくってますね。なんせこの顔に純真無垢。男のツボドンピシャっすよ」


「なんで君が男のツボを知っているかは気になるがまあいい。もし二葉ちゃんに告白するような奴がいたら連絡を。まず目をつぶしに飛んでいく」


「安心してくださいっす。その前に自分が鳩尾に蹴り入れたっす」


ほお、この子いい心がけ…いややったの?二葉ちゃんガチ勢だなおい。


「ふたりとも、やめてね?二葉は暴力は嫌いだよ?」


にこりと笑いながらも目の温度をゴリゴリに下げる二葉ちゃん。


「「ご、ごめんなさい」」


冷ややかな目で見られるのは好みではない。というか妹にそんな目で見られるのは思ったよりハートに来るな。世の兄はこれを毎日食らってたのか。兄すげーな。

俺は二人の作ったパエリアをほおばる。それを見た二葉ちゃんは問う。


「おいしい?」


「ああ、今まで食べたものの中で最もおいしいものの一つだよ」


「なんか和訳した文見たいっすね!この前習った気が…」


「比較法だな。英語はちゃんとしとけよ。高校で地獄を見るぞ」


「て、体験談ぽくいうっすね。京一さんまだ高校入ったばっかっすよね。それでそこまでいうなんて」


俺は何なら大学の二次試験まで受けてるからな。英語に関しては苦手克服のために死ぬほど時間をかけた。といっても丸覚えしただけだが。で、受験が終わってなにもしなかったから高1レベルの英語ですらちょこちょこ危うい。

いやホント、二か月くらい触らなかったくらいでこんなことになるとは。言語おそるべし。


「ま、注意しとけや。話は変わるんだが小茨はなんで男装してたんだ昨日。」


「ああ、自分の場合は趣味っす。たまにしたくなるんすよ。あと二葉と出かける時は必ずするっすね。虫よけになるんで」


なるほど。確かにあの男装なら男女がデートしているようにしか見えない。デート中に見える二葉ちゃんをナンパする馬鹿野郎なんてさすがにいないだろう。

にしても


「こういっちゃあれだが男装が趣味って珍しいよな。なんかきっかけでもあんの?」


「ああ、自分の兄が女装してて。それがきっかけっすね。ほら、兄弟の趣味は似るじゃないすか」


「いやそんなオタクの弟はオタクみたいに言われても。そもそも女装してる兄って時点でかなりぶっ飛んでるぞ」


「自分ほどじゃないっすけど。かなりイけてますよ。写真は…今はないっすけど、今度見せるっす!」


「いやいい。もしもときめいたら俺の中の大切な何かを失う気がする」


「ぷっ、何すかそれ」


二次元ならまだしも三次元でおとこの娘、なんてのは実際はきつい。そう、きついはずだ。

だがその逆である、いわば女の息子おんなのこ、をこの子はやってのけている。

であるならばその兄もかなりのポテンシャルを秘めているに違いない。…ついてるやつにときめいてみろ。もう俺はそっちの世界に染まる気しかしない。


「まあまた今度な」


「お兄ちゃん。桐ちゃんのお兄ちゃんすごいよ。二葉なんかよりかわいいよ」


え、二葉ちゃんがこんな言うってどんだけなの?それと二葉ちゃんは自分の可愛さ自覚してない系なの?


「大丈夫、二葉は二葉である限り誰よりかわいいよ」


「き、桐ちゃん!!」


何でだろう。なんで俺の周りには百合百合しい空間しか作られないのだろう。

もっとこう、ラブコメ的なの起きないのか?これでも俺は転生者だぞ。もっとこう、主人公的なさぁ…


「ちょっ、桐ちゃん。どこ触ってるの!!」


…まあ世界のモブ的な立ち位置でも意外とおいしいのかもしれない…

次の日。

世界で最も陰鬱な気が放出される月曜。その月曜の放課後、俺と秋田先輩、そして春城のみが部室にいた。


「昨日さぁ。すごかったぜ。谷浦とその相手。かなり距離近かったんだぜ!」


「そうか。お前らは昨日谷浦の尾行だったのか。で、なんだって?」


「だからさ、相手のアイス一口食べたり…なんかもうすごかったぜ!間接キスだぜ」


「っは、だからお前は童貞なんだよ。間接キスぐらい楽勝だわ。というか関節キスって単語を使ってる時点でお子様だぞ」


「何だよ。お前も童貞だろ」


「…昨日読んだ本が面白くてさー」


「いや露骨に話しそらすなよ!」


「うるせー!なんで俺が童貞ってわかるんですかー!証拠あんのか証拠は!証拠もなしに人を童貞呼ばわりなんて下手すりゃ名誉棄損だぞ!」


「その言葉まんまブーメランだからな!?あとお前の初対面の女子への接し方は間違いなく童貞のそれだぞ!」


こ、こいつ!未来の自分になんてこと言いやがる。俺はお前より三歳年くってんだぞ!

…恋愛経験は足されてないけど…何なら一回多く失恋してるけど…


「お、お前だってど


「あんたらここに女子がいるって忘れてない?」


お、おう。完全に忘れてました。はい。だがたった一人の先輩を忘れてた、なんて言えない。

そんなこと言ったら傷ついちゃう。ここは…


「「先輩も入りません?俺らの青春トー


べベチン!!


本来二人に対してビンタをするという行為はなかなか難しいものだがそこはさすが元陸上部のエース。持ち前の運動神経で見事俺と春城をビンタでさばいた。おかしいな。なんで春城は笑っていられるんだ。かなり痛いのに…

しかし同時に同じセリフが出るとは。思った以上に俺は三年で成長していないらしい。


「そ、そういえば先輩、面白い話あるんすよ」


「へぇ、言ってみなさいよ」


「一昨日俺の妹と一緒にいたやついるじゃないですか。実はあの子、女の子だったんですよ!!」


「…知ってるけど…むしろ気づかなかったの?全くバカねぇ」


「え、いや、嘘」


「はぁ、あんたはダメね。そんなんだからモテないのよ?」


ぐ、普段は女子に対し温厚(自己評価)な俺だが、言ってはならんことをいったな?

モテない男子の復讐を甘く見るなよ?


「いや先輩。今のは間違えました。実は俺の妹って言ってた子が弟なんすよ。

なんかさっきのビンタで一瞬脳が揺れて変な間違いをしてしまいましたぁ」


「そ、そんなわけないでしょ。あの子は完全に女の子だったじゃない」


「そうですよね。ぱっともそう見えますよね。だけどうちの弟あの日化粧失敗してたらしくね。普通の女子なら気づくようなミスをしたらしいんですよ。あれぇ。先輩気づかなかったんですかぁ」


「は、そんなウソに騙され


「いやいやいいんですよ。女装男子より化粧に詳しくない女の子なんていっぱいいますよ。男子より化粧に詳しくない女子なんて」


「…あ、あの子男のこだったのね。なんとなく違和感はあったけどそう。弟ね。道理であんたに似てると思ったわ」


顔を真っ赤にし汗をかきながら先輩はのたまう。その顔には真実がわからずそうすれば正解なのかという迷いが見える。

ああ、女子の赤面顔っていいなぁ。心なしか目がぐるぐるしてるようにも見えてきた。

まあこれで終わりではない。此処で真実を言うことで俺の復讐は完成する。

非モテ男子に喧嘩を売ったことを後悔してもらいますよ先輩


「先輩、いまのは


「お、にぎやかだな!私も混ぜろ!!」


「何の話してるんですか!?言いふらすので教えてください!!」


…やかましいのが入ってきた。というかこの部活動うるさいやつ、ひいてはやばいやつ率高くないか?


「あなたが一番ですよ」


…なんだって?


か、感想がなさすぎる…感想ひとつあったら続きも書けるのに…お願いします…

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