表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第七話【魔窟】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/110



此処ここか……」


 五十匹以上の魔獣をほふった頃、ようやく目的の社が見えて来た。次第に霞む視界は、霧の所為せいだけでは無い。体力の限界が近付いていたが、休む訳にはかない。


「貴様、此処ここに何の用だ?」


 今度は人の姿をした魔徒まとが、行く手をふさいでいた。先程までの雑魚ざことは様子が違う。


 身形みなりからして《禍人まがびとの血族》だと解った。恐らく自分と同じ様に、数珠じゅずを求めて此処ここに来たのだろう。そして魔徒に討たれて、魔徒に成り下がった。恐らく、そんなところだ。


 鬼神化こそはしていないが、自分と同じく《禍人の血族》ならば、術を使う筈だ。


 ——もう、使っているよ。


 何処どこからか、声がこえた。若い女の声だ。


 光の輪が、身体を拘束している。身動きが取れずにいると、目の前の男が槍を構えていた。逃げるいとまは無さそうだった。真面まともに受ければ、命は無い。


「赤丸!」


 香流羅の声に呼応して、炎の鎧が身を包んだ。


 放たれた槍が、先端から炎の熱で溶けていく。此方こちらも術を使って、拘束を解いた。術の様式からして、御法院みほういんの物でる事が解った。同門とう訳だ。死者とはえ、身内に手を掛ける事にる。


香流羅かるら、後ろ!」


 敵が二人以上、居るのは解っていた。己が祖先が相手だとしても、邪魔立てするらば斬るだけだ。


 背後から閃光に包まれた弓が飛来していたが、飛んで躱した。空中で、青丸の羽根をまとう。の形態で居れば、短時間だったが飛行が可能に成る。の矢、さんの矢と追撃をしてくる女。躱しながら、女を目掛けて滑空する。動きが単調だ。


 背後で雷鳴が、鳴り響いていた。どうやら男は、雷を操る様だ。前後から閃光が襲い掛かっていたが、つばめの様に素早い動きでかわす。二人の動きには、共通して隙がる。溜めが長い為に、連続して術を放つ事が出来ないのだろう。未熟な故に、補い合う様にして二人で連携しているのだ。だがいくら連携していようが、所詮は未熟なコンビネーション。崩す事は容易かった。


「貰った!」


 光の羽根と共に、起爆札を女に飛ばした。


 爆発と共に、女の気配は容易たやすく消滅した。


 香流羅は空中で旋回して、男に目掛けて飛来した。


 雷を放つ男の顔は、修羅の形相で在った。余程、此の世に憎しみをのこしていたのだろう。もっとも憎しみを持たない《禍人の血族》は、かなりまれな存在だ。自分のり得る中では、一人しか居ない。


 紙一重で雷を避けて、男の胸に小太刀を突き刺していた。


 此方こちらにも、譲れぬ事情が在る。こんな処で、つまずいている時間は一寸も無い。


「大人しく、消えるが良い!」


 小太刀を斬り上げながら、香流羅は叫んでいた。


 体力的にも精神的にも、随分と疲弊していた。だが、休む訳には往かない。香流羅は懐から、御法院家に伝わる丸薬と栄養ドリンクを取り出した。


 近年の栄養ドリンクには、砂糖やカフェイン等が大量に含まれている。丸薬と合わせて飲めば、かなり体は楽に成る。


 こんな処で、立ち止まってなど要られない。


 自分は必ず戦騎騎士を斬る。


 一族を護り、怨みを晴らすのだ。


 亡き父と母の為にも、愛する者達の為にもだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ