表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第六話【食堂】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/111



「……あいよ」


 店内に残された大将と健吾。薄暮はくぼの日に染まり始める店内に、哀しいひかりが満ちている。自分は何もしてれなかった。二人で描いた遠い過去が、急激に健吾の心を絞め付けている。堪える涙。先程まで華が座っていた席を見詰めながら、惨めな自分がゆるせなかった。


 呆然と佇む健吾に、大将はカツ丼を差し出してきた。


「俺……カツ丼なんて、頼んでないよ?」


「儂のおごりだ。こんな事しかしてやれんが、食ってくれ」


 優しく穏和おんわな笑みを向ける大将。何時いつだって、大将は優しい。そんな大将が、健吾は大好きだった。


 湯気を立てるカツ丼を、強引に掻き込んだ。白米に染み入る甘辛い汁に、カツの肉汁が閉じられた卵が絡みいている。口内に溢れるこうばばしい薫り。


「旨い……。旨いよ、ちくしょう……やっぱり、大将のカツ丼は最高だ……」


 涙と共に、カツ丼を平らげる健吾。自分は変わらなければらない。華の分も性根を入れて、しっかりと生きなければ顔向け出来ない気がした。


 次第に傾く日が、店内を朱に染め上げてく。静かにたたえた覚悟を抱いて、健吾は立ち上がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ