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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十四話【親子】

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拾参



 大太刀を構える其の様に、一部の隙も無かった。並の修練では到達、出来得ぬ境地で在った。


 其れ依りも何故、燈は戦騎を喚装しているのかが解らなかった。解らなかったが、並々為らぬ力を有している事だけは、理解わかった。間合いをじりじりと詰めながら、機先を窺う。既に大太刀の間合いだった。


 何故、仕掛けて来ない。焦りが、羅刹の心を撫でている。


 戦騎を再度、喚装した塁留が突進していた。レイピアの突きよりも速く、腰を回転させて大太刀を振るっていた。まるで、身体に巻き付けられているかの様に、大太刀はしなやかに旋回をしていた。


 ——塁留の首が、両断される。


 タイミングは完璧だった。間合いも速度も、申し分が無かった。塁留の首を、大太刀は完全に捉えていた。併し、大太刀は塁留を擦り抜けていった。戦騎の能力に依る物だろうか。塁留は、不可思議な術を使う。


 突進エネルギーを殺さずに、レイピアは燈の喉を狙っていた。


 だが、燈の弐の太刀は既に塁留を捉えていた。


 初撃の際に既に、弐の太刀へと繋がる様に燈は動いていたのだ。旋回させていた左腕には、大太刀の鞘が握られていた。


 塁留の額を撃ち衝ける鞘。激しく後方に飛ばされる塁留。僅かに生まれた一分の隙を衝いて、羅刹は動いていた。


 滑る様にして、燈の懐に潜り込んでいた。此の距離ならば、大太刀の間合いは死んでしまう。戦騎に覆われた燈の身体を、羅刹は短剣で斬り上げていた。


「タリム、喚装だッ!!」


 獣の様な雄叫びと共に、羅刹は大剣を振り降ろしていた。


 両断される燈の右腕。地に落ちる大太刀は、着地と共に短剣へと姿を変えていた。羅刹は更なる追撃の為に、大剣の形態を太刀へと変えていた。


「お前の悪は、俺が斬ってやるッ!!」


 羅刹の叫びに呼応する様にして、僅かに燈の表情が揺らいだ。未だ僅かに、自我が残っている。人としての心が、残っている内に葬ってやりたかった。


 羅刹の追撃よりも速く、燈は飛んでいた。放たれた前蹴りを、状態を逸らして躱した。燈は大きく横に旋回させて二撃目の足刀を放った。


「苦し紛れの【蓮華】では、此の俺は止められないッ!!」


 左腕で受けて、斬り払おうとした刹那。蛇の様に燈の足が巻き付いてきた。両の足が左腕を軸に、頭部に絡み付いた。


 旋回しながら、燈に引っ張られる様にして倒されていた。燈は追撃して来ない。見遣ると、斬られた右腕を拾い上げていた。


 右腕を接合させながら、燈は此方を見ていた。


 其の瞳には、強い意志が宿っていた。揺らめく炎の様に、憎悪の光りを感じた。


「俺は悪を、赦さん」


 其の言葉と共に、燈は変貌した。



《つづく》



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