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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十四話【親子】

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拾弐



 塁留は再度、戦騎を喚装しながら動いていた。


 其れに合わせて、矢紅も動こうとしていた。


「御主は、駄目だ。今の燈では、未だ勝てぬからな」


 嘲る様に、鉈梛九が矢紅を遮った。


「儂が御主の前に居る意味が、御主になら解ろう?」


 鉈梛九には相手の戦騎を、自分に強制的に喚装する術が在る。矢紅が戦騎を喚装すれば、間違いなく鉈梛九は強制喚装をするだろう。だからと言って、戦騎を用いらずに倒せる相手ではない。が、鉈梛九は動こうとはしない。心算つまりは、自分を足止めするのが目的だろう。


 故に矢紅は動けなかった。


 燈に目を遣ると、見た事も無い戦騎が喚装されていた。恐らくは鉈梛九が新たに造った物なのだろうが、様子がおかしかった。


 戦騎からは、何の気配も感じられなかった。まるで、燈自身が戦騎で在るかの様だった。


「勘の鋭い御主の事だ。彼奴あやつが、どう謂った存在なのか、気付いておろう。新型の戦騎の性能、とくと堪能するが良い」


 愉悦の混じった笑み。鉈梛九は恐らく、燈を戦騎に造り変えている。魔徒に憑かれた人間を戦騎にするなど、在っては為らない事だった。人の魂を冒涜して穢すなど、在って良い筈が無い。肚の底から込み上げる怒りが、矢紅を静かに奮い立たせていた。


「戦騎を欠いていようが、御主は恐い。真面に遣り合う心算は……無いッ!!」


 鉈梛九の周囲を、無数の戦騎獣が出現した。


 あくまでも、足止めに徹する心算の様だ。


 戦騎が使えない上に、相手は自分と同じ【皇渦陸仙】で在る。武器と術だけで対応しなければ為らない。骨の折れる状況で在った。


 少なくとも、束の間は動けないと謂う事だ。嘆息しながら、腰に差した短剣を引き抜いた。戦騎獣の数は十体。極界の炎を召喚して、短剣に纏わり附かせる。炎の出力を最大にすれば、短剣と謂えども戦騎獣に刃が通る。


 一呼吸の間に、間合いを詰めて三体の戦騎獣を焼き斬った。其の動きを他の戦騎獣が認識する頃には、更に三体を斬り終えている。鉈梛九の足元の影が、静かに揺れた。迫り来る戦騎獣を斬りながら、鉈梛九の迎撃に対応する。影から二頭の獣が顕れていた。


 其の動きは思いの外、速かった。其々が左右から襲い掛かっている。其のタイミングに被せる様に、残る戦騎獣が前後から襲い掛かる。其れ等を最小限の動きで往なして斬った。全ての敵を斬り伏せるのに、数秒と掛かってはいない。


 鉈梛九に向き直った直後、矢紅の身体を異様な重圧が伸し掛かった。まるで鉛を全身に纏った様に、身体が重かった。


 再び戦騎獣の群れが、鉈梛九の周囲に出現していた。



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