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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十四話【親子】

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拾壱



 羅刹は苛立っていた。無力な自分が、歯痒かった。


 刹那を護りたいと言う想いが、焦りを生んで、結果的に何も出来ずにいた。惨めに見ている事しか出来ない自分が、酷く情けない。


 ——悔しかった。胸裏を、負の感情が満ちていった。けれど、感傷に浸っている暇は無い。


「此れは驚いたな……。よもや、燈の動きに気付き、反応して来るとは思わなんだぞ?」


 聞き覚えの在る声が、鼓膜を振るわせる。


 刹那を魔徒を討った帰路の道中、闇夜に闇よりも濃い影が浮かぶ。突如として現れた燈に、反射的に身体が動いていた。


 身体が無意識の内に、動いていた。刹那に忍び寄る影が、敏速な動きで拐おうとしていた。気付けば短剣を放ち、阻んでいた。今の自分はすこぶる機嫌が悪い。《金獅子》に敗れ、刹那の危機に何も出来ずに居た。日に二度も醜態を晒している。此れ以上は、無様な姿を晒せ無かった。


 眼前の男は己の刃を、籠手で受けていた。其の顔に、表情は無かった。以前にまみえた時の面影は、一切として無かった。憤怒に染まってはいたが、己の正義に燃えていた瞳は、今は何も感じられなかった。光を喪った眼が、全てを物語っている。


 男の名は、爪倉燈かくらあかり。魔徒に憑かれた男だった。確かに燈からは、魔徒の気配がした。


 だが、其の様子に違和感が在った。


 身を捻ると燈は滑る様に、懐へと入り込んでいた。撃ち衝ける肘の衝撃。今ので、肋が折れていた。


「羅刹ッ!!」


 刹那の悲鳴が上がる。


 倒れる羅刹を見下ろしながら、燈は短剣を引き抜いていた。其の佇まいからは、怪しい暉を感じた。奇妙な感覚で在った。燈とは友でも何でも無かった。以前に一度、見えた敵で在る。今も眼前で敵意を向けている。鉈梛九の術か何かで、操られている。


 ——奇妙な事に、肚の底から怒りが込み上げていた。


 燈に対してでは無い。死者を冒涜して、己の道具として弄ぶ鉈梛九。其の所業が赦せなかった。今の燈に同情こそは無いが、自分は憤怒の感情を抱いている。


「悪は斬る……」


 其の言葉と共に、燈に戦騎が喚装されていた。



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