弐
自室のベッドの中に身体を預けて、刹那は想いを馳せていた。
萌が姿を眩ませてから既に、三日が経っている。
自分の中で未だ、気持ちの整理が附いていない。戸惑う心を、抑えるので精一杯で在った。
在れ以来、萌は学校に来ていなかった。
光の騎士が言った事が本当だったとして、萌の目的は何だったのだろうか。
考えても、答えが出る筈は無かった。
だけど——其れでも、今まで萌と過ごして来た時間が、全て嘘で在る筈は無いと言う事だけは理解っている。
彼の時に萌が流した涙は、決して偽りの物では無い筈だ。自分を騙していたとは言え、きっと相応の事情が在ったに違いない。
尤も今の自分には、真実を知り得る術は無かった。
だからこそ、自分は萌を信じ続けよう。
自分自身が萌を裏切ってしまったら、其処から先には憎しみしか残らない。
譬えもし本当に、萌が自分の敵に廻ったとしても、萌を信じ抜こう。
友達を信じる。
——萌を信じる。
今の自分に出来る事は、其れだけだ。
其れに、自分は強く成らなければ為らない。自分は彼の時、何も出来なかった。弱い自分が歯痒くて、情けない気持ちに成る。もしも本当に、自分に特別な力が在るのなら、其の力を使える様に成りたかった。其の為ならば、何だってする。
タリムを喚装した時の感覚が、今も余韻として残っている。もっと、強い力が必要だ。《正者の剣》を握り締めて、祷りを籠めた。
護る力が欲しい。大切な者を、邪悪な者から護る力が欲しい。
刹那は一心に、祷りを籠め続けた。




