台湾・寧夏夜市
西島秀俊さん主演のドラマ「人間標本」で台湾の夜市で、パイナップルのお酒を飲むシーンがあって、そのパイナップルのカクテルがドラマでは重要なアイテムであった。
そんなこともあり、私は台湾を訪れることにした。
寧夏夜市。ここでパイナップルのカクテルを飲んでみたい。ただそれだけの目的のための台湾旅行だ。
さて、台湾は日本から近いこともあり、治安も良く、日本人には人気の観光地だ。
台湾へは飛行機で行く事にした。フェリーという手もあったが、時間を考慮してのことだ。今回は2泊3日であるので、必然的に飛行機一択である。
羽田空港からの直行便が就航しており、台北松山空港で降り、タクシーか電車があるが、飛行機の疲れもあるので、タクシーで行く事とした。
まずは、宿泊するホテルにチェックインして、陽が落ちるのを待って、タクシーに乗り込み寧夏夜市を目指した。
タクシーに乗ると、30代くらいだろうか。若者といっていい運転手が話し掛けて来た。
「お客さん、日本人ですね?」
流暢な日本語である。
私は翻訳アプリを準備していたのだが、それは不要となりそうだ。
「そう、日本人です」
「どちらまで行きましょうか?」
「寧夏夜市までお願いします」
「かしこまりました」
それにしても、本当にネイチャーな日本語に感心するばかりだ。
「運転手さん、日本語はどちらで覚えたのですか?」
運転手は、ニッコリしながら、
「鬼滅の刃、ナルト、ドラゴンボール、チェンソーマン、私、日本のアニメ大好きです。だから、日本語猛勉強しました」
「そうだったのですね。私も鬼滅の刃もチェンソーマンも好きですよ」
「アニメだけでなく、日本の文化も大好きです。日本には観光で二回行った事もあります」
「なるほど。日本と台湾は友好国ですからね。私も台湾の文化も人も好きですよ」
見ると、運転手が目をキラキラ輝かせている。
その間も車は進んでいて、やがて、目的地である、寧夏夜市に到着した。
「着きましたよ」
「ありがとう」私はそう言い、少し多めにチップを渡した。
「ありがとうございます。楽しんで下さいね」
「楽しみです」
そう言って、タクシーを降りた。
いよいよだ。夜のネオンが鮮やかで眩しい。
念願の寧夏夜市のパイナップルカクテル。その前に腹ごなしだな。空港から何も食べていないので、腹ペコだ。しかも、どれもが美味そうに見える。何を食うか…迷うまでもない。
美味そうなものは手当たり次第に食べる。物価が日本より安いから、財布にも優しいからな。
それにしても何と多くの屋台があるものか。しかも、同じ屋台は一つとしてない。
いや、今はそんなことはどうでもいい。食うんだ。感じろ。美味そうな屋台の食べ物を。
っと、迷っていると屋台のおじさんに声を掛けられた。
「いらっしゃい。安いよ。美味いよ。お一ついかがかね?」
ここでも日本語だった。
「じゃあ、その饅頭みたいなのを一つ下さい」
「あいよ」
金を払って饅頭を受け取る。
饅頭の中は…肉だ。ミンチにした何かの肉と野菜を練り込んだものだ。
「おお、美味い!」
気が付くと、私は自然とそんな叫びに近い言葉を発してしまったが、美味いものは美味いのだから仕方あるまい。
次だ。次の食い物だ。
餅みたいな食べ物、麵、ある程度食べて落ち着いたので、今回の旅の目的を果たすことにした。
ちょうど、目の前にパイナップルジュースの屋台がある。
「一つ下さい」と言うと、店員は「あいよ」と言い、生のパイナップルを切ってミキサーでジュースにした。
「お待たせしました」
「ありがとう」と言い受け取り、私にはまだやるべきことがあった。
コンビニを探さねば。そう考えていると、50m先のところに某コンビニの看板が見えた。
そして、コンビニに入るやお酒コーナーでココナッツリキュールを購入した。
店を出て、パイナップルジュースを半分飲み、そこにココナッツリキュールを入れて、持っていた割りばしで混ぜた。
いよいよだ。今回の旅の目的。
飲むぞ。飲むぞ。飲むぞ…。
一口「ゴク」もう一口「ゴクゴク」ええい、飲めるだけ飲んでしまえ。
ゴクゴクゴクゴク…ぷはぁ~
「うまっ」感嘆の声が出た。
美味い! 美味かった! 何て美味いんだ!
食べて喉が渇いていたのもあるが、パイナップルが新鮮で甘くて最高に美味い。
こんな美味いパイナップルジュース、いや、パイナップルカクテルは初めてだ。
本当に美味かった。これだけのために台湾に来たのだ。
ミッションコンプリート、目的達成である。
お酒の効果もあり、気分も良い。ほろ酔いといったところか。
この日の夜は、それで満足して滞在先のホテルに戻った。
日程が短く多くは見て回れなかったが、今度来るときは時間を掛けて見て回ろうと思う。
台湾の人達も親切で優しかった。
また来るよ、台湾。またね。
そうして飛行機で帰路についた。




