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廃国のアスタリスク  作者: 坂巻真斗
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布告

「「盛大」」この2文字がもっとも相応しいであろう就任式典翌日の就任演説。東京にある雪平一族の豪邸でその演説は行われる。「「白き城」」と呼ばれる雪平一族の豪邸はその莫大な権力と金で建てられた。元皇居を取り払い5年もの歳月を得て完成に至ったそれは他を凌駕する圧倒的な権力と誇りの証。


いつもなら緑の生い茂る広大な庭園だが、今日だけは無数の記者団と報道陣と演説を見に来た人々でごった返していた。新しく幼い総理大臣の演説がどんなものか人々は期待と不安を持っていた。


「幾島さん!カメラ、マイク、ドローンOKです!」

「特大スクープだ、なにがなんでも全国に放送するんだ!」

幾島と呼ばれた40代前半程の男は部下に支持を出す。

幾島の周囲には生放送用のLIVEバスと10人以上の部下達。彼らはそれぞれに大型カメラなどや、撮影ドローン操作用のリモコンを持っているものもいた。

「スペアの6番と7番も繋げろ!」

「はい!」

目まぐるしく動く報道陣の中で幾島は考え事を1つ。

(たった17歳の総理大臣、いったいなにをしでかしてくれるのか。これから国民をひっぱるリーダーはただの青二才か否か・・・)


「出てきたぞ!」

群集の中の誰かが叫ぶと一斉に白き城のバルコニーを見る。

まるでおとぎ話のような白いバルコニーには記者達の用意したマイクの束。

バルコニーの奥から姿を現した翔は白いスーツに全身を包んでいた。翔の銀髪と白い肌を考えればそれはどこかの王子様を連想させた。


マイクに口を近づけた翔は口を開いてこう言った。

「あ、あー、んじゃー早速だけど、総理大臣になった雪平翔でぇーす。わかるかなー?僕のこと?キヒッ!」

群集はその言葉に動揺を隠せなかった。ふざけているとしか見えない口調。いつ暴動が起こってもおかしくはないはずだ。

だがそんなことは気にせず翔は続けた。

「総理大臣になったんだけど、辞めるよー。その代わりに、これからは皇帝かな!」

不気味な笑みを浮かべながら両手を広げて高らかに宣言した。

会場のどよめきは更に増し、カメラのフラッシュは一斉に瞬く。

「僕がまずするのは総理大臣制の廃止と皇帝制の制定と、この日本を日本帝国に!!!」

「そして!弱体化した諸外国の殲滅と統合を!!!」



「バカな!」

幾島は押さえきれない感情を#顕__あらわ__#にした。

「そんなことをして、他国が黙っているとでも?ふざけている!茶番だ!」

生放送を見ていたどこかの親子は・・・

「なに、戦争するの・・・?」

工事現場で演説をラジオで聞いていた作業員達は・・・

「なんだこいつは!」

「有り得ねぇ!」

ラーメン屋で働くアルバイトの女性は店内にあるテレビを見て唖然とした。

田舎町の長老は・・・

「大変なことになるぞ、こりゃぁ・・・」

雪平倫太郎元総理の外交と経済力によって大国としての力を削がれ弱体化したアメリカのホワイトハウスでは・・・

「これは・・・臨時会議だ!いますぐに!」



群集はヤジを飛ばし、リポーターは驚愕の発言を全国に伝える。

1部の人々は城の入口に押し寄せ警備員がそれを抑えていた。


「もし、反論があるなら、きこーかな??」

翔は目線をバルコニーの奥に待機していたSPの男に視線を投げる。

SPは腕に付けた通信機器を口に近づけるとなにか指示を出した。

その直後、城の入口に押し寄せる人々を抑えていた警備員達が一斉に拳銃を取り出し人々に真っ黒な銃口を向けた。

人々は黒いそれを見ると一瞬で黙り込んだ。まるで蛇に睨まれた蛙のように。


「それ以上僕の庭で暴れたら、殺しちゃおうかなぁあ!!」

マイクの束に向けて発せられたその悪魔の声はその場にいた人々だけでなく、生放送を見ていたものすらを凍りつかせた。



「何言ってんだあいつは!!!」

絶叫は春樹の家の大きな部屋に響き渡った。

春樹の家は雪平の一族を支えてきたということもあり、金も権力も影響力もあった。その風見に相応しい豪邸は雪平の家には及ばすともかなりのものだった。

「落ち着いてくだされ、春樹様。」

風見の家に仕える60代程の長身で体格のいい執事、#直井__なおい__#は春樹に声をかける。

「これが落ち着いていられるわけないだろ!」

春樹は120インチはあるであろうテレビに映る親友の姿を睨めつけて座っていた椅子から勢いよく立つと部屋を出た。

春樹は高級ホテルのような廊下を早足で歩きながら爪を噛んだ。

「本人に聞くしかない!」

春樹の目はまるで修羅が宿ったかのように鋭利だった。

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