2-2話:俺んちに車が刺さってる
日本における交通事故に合う確率は1年間だと0.3%。生涯だと4人に1人である。また、火災に合う確率は1年間では0.02%で、生涯だと4%だ。
では、交通事故と火災がその日のうちに一緒に合う確率は果たしていくつだろうか。きっと天文学的数字に違いない。
スマホの着信が鳴り、出てみると掛けてきた相手はまさかの消防局。俺の部屋に車が突っ込み全焼したらしい。急いで現場に駆けつけてみると、俺の住んでいるアパート2階に車が突き刺さっていた。過剰表現や比喩表現ではなく、本当に突き刺さっていた。
午後7時。俺と一緒に付いて来てくれた2人と一緒に現場を見に行き、火事が収まった後に火災調査を一緒に行い、ファミレスで一息つくことにした。
アパート2階に車が突っ込む衝撃的な事故ではあったが、死者やけが人がいなかったのは不幸中の幸い。俺の損害についてはアパートの管理人の火災保険から保険金が下りるとのことだ。俺の私服全てと家電とその他諸々、つまり私物のほぼ全てが燃えただけで他に被害はなし。強いて言うならアパートの不動産価値が下がった程度。
この世界は素晴らしいことに魔術でどうにでもなる世界。きっとアパートも二週間ぐらいすれば元通りなのだろう。俺の私物以外は。
……神は俺のことが嫌いなのかもしれない。
「とりあえず一段落って感じなのかな?それでどうするの?服とか、その他もろもろ。」
「保険金が下りるまでは野宿かネカフェですかね。所持金5万しかないですし。」
「親御さんからお金貰えない?」
「はい、なんだかそれどころではないらしくて。」
「子が火事にあったと言うのに。酷い親であるな。まぁソナタだからというのもあるであろうが。」
俺の育ての親であるジングさんは今、法皇の座を狙う幹部を粛清するのに手一杯。もし俺に送金をすれば、その幹部に目をつけられてしまうらしい。普通なら火事に巻き込まれた自分の子供を放置だなんてひどい親だと思うのだが、相手は俺を勇者だと知っているのでその前提を元に見るとそうは思えない。家がないなんて勇者の旅で慣れっこなのだ。そう入ってもこの時代だと安全性以外の問題が出てしまうのだが。
「ネカフェの連泊プラン使うしかないな。」
「ネカフェ使うよりアタシんち使った方が良いよ。アタシんち広いから来な?服も用意してあげるからさ。」
「そんな事をしては3日で孕んでしまわれますぞ。優希よ、妾の屋敷に来い。丁重にもてなしてやろうぞ。」
「酷いよジェヘラちゃん!アタシジェヘラちゃんに何か悪いことした?」
「妾にはしてはおらんのだが、悪い行いなら生徒会室で見ましてねぇ。」
コーヒーを啜り、ショートケーキを食べる。ショートケーキの横には何枚もお皿が積まれている。ジェヘラが食べたものだ。食べ放題ではないのに何枚もケーキを食べられるほどお金に余裕があるとは、羨ましい。
「アリサ先輩ってジェヘラと仲良かったんですね。ジェヘラって仲良い人間以外は下の名前呼びさせないんで、びっくりしました。」
「前に高松屋で会って、沢山話したら仲良くなったんだよ。ねー、ジェヘラちゃん。」
「あの時は一方的に話しかけてきたと言った方が正しかった気がするのであるが・・・。」
タッチパネルを弄り、またケーキを注文するジェヘラ。そんなに頼める財力があるなら俺にもひと皿奢ってくれないだろうか。
「じゃあ、アタシんちって事で良いね?服注文しておくから、ファミレス出たら直ぐに帰ろうねぇー。」
「何がじゃあでありますかアリサ先輩よ。ソナタが優希を泊めては3日で妊娠、5ヶ月でバレてそのまま二人揃って退学ハネムーン。とんだ喜劇であるよ。」
「ハネムーン!ハネムーン良いね!どこに行こっか?優希くん。」
「ジェヘラの話、聞いてました?」
「聞いてたよ?でも実際学歴なんてどうでもいいじゃん。それでハネムーン、何処にしよっか?」
「大和国でイチ、ニを争う我が高等学校を何だと思ってるんですか。」
「やはり、妾の屋敷の方が良いじゃろう?」
注文したケーキを食べながらフォークを俺の方に向けドヤ顔をする。行儀が悪い。
「ジェヘラちゃん家に住んだら成績が一気に下がっちゃうよ!どうせ毎晩オールでゲームするんだから!」
「そっ、そんなことはない!妾らはちゃんと授業の予習復習をするとも。それに妾は筆記試験なら学年1位であるぞ?成績を落とすにしてもそう低い点は取らん。」
「ジェヘラちゃんの心配はしてないよ。心配してるのは優希くん。中間テストの社会の点数知ってる?45点だよ?もし復習サボったら赤点取っちゃうって。」
先週にあった中間テストで俺は随分と酷い点数を取った。特に社会は45点と低く、クラス最低点。良い訳なのだが、これは前の世界での知識のせいだと思う。似たような名前の人間や出来事がテストとして出るとついその知識に連られて書いてしまうのだ。
また同じく言い訳なのだが、テロ襲撃に対する調査や精神病に備えたカウンセリングが保健室登校などで勉強する暇がなかったから仕方なかった。そう、仕方なかったのだ。
「大丈夫です、次は良い点数取ります。」
「じゃあ問題。モンゴウル帝国の初代皇帝の名前は?」
「チンギス・ハーン」
「ぶっぶー。正解は、チンラス・ハマンでした。ほらやっぱダメじゃん。」
理不尽だ。モンゴウルは元いた世界なら絶対モンゴルだしチンギスハンなのに。そんな親戚みたいなやつが答えだなんて、理不尽だ。
「君が歴史出来なくても、ちゃんとアタシが教えてあげるからね?もちろん、勉強以外のことも。」
「お色気キャラは負けヒロインと相場が決まっておる。そこら辺にしとくのが得策ですぞ。それに、優希に性的アプローチはやめておいた方が良い。妾が言うのだから間違いない。」
「ジェヘラちゃんは優希くんの何を知ってるのさー。」
「優希の性格、戦略、実力と底力、それら全てを知っているとも、アリサ先輩や。」
ジェヘラ、つまりは魔王とは10年少しの長い時間睨み合っていた。戦略や謀略、ありとあらゆる工作活動をされてきた。その中で、俺の様々な点が自分なりに理解したのだろう。
その中のひとつが色仕掛けだ。俺は恋愛に対しては初心者であり雑魚なのだが、色仕掛けにはハマったことが無い。正確に言うなら、色仕掛けにハマっても心を許したりなんかはしない。またどんな毒であろうと効かないため、色仕掛けの意味がないのだ。
つまり、ジェヘラ視点では俺はまったく色仕掛けが効かない人間なのだ。
だが、ジェヘラのその結論は間違いだ。
敵意のない色仕掛けであるなら、俺はバリバリに効く。
「やっぱネカフェに泊まりますね。日銭稼ぐくらいならダンジョンで何とかなりそうですし。」
もちろん今すぐダンジョンの最深部まで行き、じゃんじゃんモンスターを狩っていけばお金持ちにはなれるが、モンスターを狩っても売り場がない。学生は通常低階層のダンジョンエリアしか許可されていない為、高ランクモンスターの素材を売ろうとしても出どろこを探られるのだ。
例外として二条先輩やマギー、ジェヘラと言った貴族様を連れていけば売れはするが、そもそもダンジョンは邪神の影響を受けるとわかった今では迂闊に動けない。
それに今の俺は目立ちすぎている。そのため、迂闊で力技な手は打てないのだ。
「その必要はないわ。私が村田くんを預かるもの。」
3人の輪の中に入ってきた見知った声の正体は二条先輩。制服姿で俺等のいるファミレスに現れた。そうやって俺らのいる場所がわかったのだろうか。あと、俺をペットみたいに預かると言わないで欲しい。
「俺に選ぶ権利は無いんですかね?」
「ないわ。だって貴方の親御さんから許可を得たもの。貴方、凄い親御さんをお持ちなのね。」
「え!なんで優希くんの親の連絡先お持ちなんです?ずるいですよアタシだってまだご挨拶まだなのに!」
「そうだそうだ、ずるいですぞ二条先輩!」
「ずるいも何も親御さんの方から頼まれたのよ?仕方ないじゃない。」
肩をすくめて二条先輩は困り顔をする。ジングさんと二条家に繋がりがあるなんて話は聞いたことがないが、二条家は大和国三大貴族のひとつであるため不思議ではない。だがそもそも、送金すら出来ない状況であるジングさんが二条家にお願いなんてするのだろうか?疑問が残るが今は考えないことにする。
「じゃ、行くわよ。」
襟を掴まれて僕はファミレスを去る午後七時であった。
[とても大切なお願いです]
ほんの少しでも、
「面白い!」
「続きを書いてほしい!」
「連載しろ!!」
とそう思って頂けましたら、
広告の下部分↓にある【☆☆☆☆☆】を
【★★★★★】になるよう押していただき
ポイントを入れてくださると大変嬉しいです!
作者大歓喜します!!
★5をつけてもらえるとモチベがすごぉぉおく
上がって、「また書くぞぉ!」となり、
最高の応援になります!
なにとぞ、どうかご協力
よろしくお願いします
感想もめっちゃ嬉しいです!!!




