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墓~ベックリン「死の島」より

挿絵(By みてみん)


Isle of the Dead 1880 Arnold Böcklin

死の島 アルノルト・ベックリン

(著作権フリーの画像を掲載しています)



────────────────────────────




停止して 初めて

動いていたのだと気付く


呼吸は音を生み

心臓は身じろぎを送り込み

目は わずかに何かを訴えて

動いていた


ぴたりと

何もかもがストップして

もう絶対に

永遠に

ぴくりとも動かないのが

死だ


どこにもいない……


凪いだ海原に浮かぶのは

ひとひらの希望も挟めない

(はか)という名の 絶対的な結論


でも

この島に 私は幾度も訪れるだろう

心の海原に潜んだ

思い出だけが住む 時の止まった島に


さあ

自分は どう生きようか



────────────────────────────



挿絵(By みてみん)


君たちはどう生きるか

(宮﨑 駿 原作・脚本・監督/スタジオジブリ作品 2023公開)


注:スタジオジブリHPの作品静止画を掲載しています

 「画像は常識の範囲でご自由にお使いください」と掲載されているものです

https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/


◆    ◆    ◆    ◆


映画館に観に行った娘が、首を捻りながら帰って来た作品。

「なんか……さっぱり分からなかった」


そして、初の地上波放送となった際に、私にオーダーが入りました。

「みて。それで、どう解釈したか私に説明して」


で、見た後、べらべらと喋ったものを文章にしてみました。


ちなみに、作品内で、この「死の島」をモチーフにしたと思わせる光景が出て来るんです。

墓場のとこ。似てますよね。


まず、そもそも「あの世界」は、眞人(まひと)の精神世界である。

その解釈で見ると、一気に単純になります。


死んだ母親への思慕。

義理の母に反感を抱きつつも、匂い立つ「女性」を感じて、内心では惹かれている。

自然と、心の中で偶像を作り上げて。

でも、リアルに触ってしまえば、ずぶずぶに崩れてしまう……。


そして、出産という、男にとっては神秘の領域。

そこに、若さゆえの無遠慮さで踏み込んでしまう。


折しも、日本は戦争に雪崩れ込んでいく時代。

資源の乏しい国内。人々は生活に行き詰まり、ぎゅうぎゅう詰めの土地で、食べる物にすら困窮していく。

その世情が、この不思議な世界の有り様に投影されていると思う。


外に出れば、自分を殺そうと襲ってくるインコ(敵)が大勢。

一緒に戦ってくれる仲間(友達=アオサギ)を得るのが大事なんだ。

そして、少年は「生きる術」を教わらなければならない。


っていうことを、この映画は伝えたいんじゃないのかな。


挿絵(By みてみん)


義理の母、夏子は、眞人にとっての「女性」そのもの。

ヒミ(少女だけど、実は眞人の母親)は、この世界にあって強大な力を持ち、眞人を守ってくれる存在。

そして、キリコさんは、生きる術を教えてくれる、人生の師匠としての女性。


なんというか……ファンの方、怒らないで下さいね。マザコン……?

男性の内面世界を表すと、そうなっちゃうのかもなあ。


ただし、「眞人の内面世界」という解釈だけでは、この映画は割り切れない。


大伯父は、恐らく宇宙の謎の存在から、「この世界」を創造する力を与えられた。

だが、上手く行かない。


当たり前だ。

この世界は、微妙なバランスの上に成り立っているのだ。


挿絵(By みてみん)


形の違う積み木を、どう積み上げれば崩れないか。

積み木は、各国だ。種族。経済。宗教。

それぞれ違う形を持つもの。世界を構成する、幾多のパーツ。


それら全てが、永遠に安定する積み方など、あり得ない。

永遠の平和なんて存在しない。人間の歴史は、戦を繰り返してきた。


大伯父さま。いくら頭で考えたって、無理なんだよ。

だから、自分は、現実の世界で生きていく。

これから戦が始まる、どうしようもないこの国で。

なんとか最善を尽くして生きていくんだ。


というのが眞人の結論だったのではないでしょうか。

だからこそ、タイトルが「君たちはどう生きるか」。


あ、全て私個人の感想です。

しっかし、これを真正面から描いた宮崎駿監督って、やはり凄いなあ。



────────────────────────────


最後までお読み頂き、ありがとうございます。

次回、最終回です! どうぞよろしくお願いします。

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