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怪異に乙女とチェーンソー  作者: 重弘 茉莉
オルハ評議会
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第11章-5 オルハ評議会

ジュリ、ジョン、鈴が岩手の花巻空港の上空を旋回し、鈴は管制塔に無線を入れる。

ジュリの耳には「……over」だとか、「……OK」などと鈴が話しているのが、途切れ途切れに聞こえていた。

少しして、鈴は管制塔との連絡を終えたのか、無線を元の位置へと戻す。


「さあ、着陸しますわよ?」


 鈴は振り替えずにジュリにそう話しかけると、セスナ機は着陸態勢に入る。

セスナ機はゆっくりと高度を落とし、指定された滑走路へと着陸態勢を取った。


 そしてセスナ機のタイヤが滑走路に接し、機体は速度を落とすとともに横にやや揺れるのであった。だが、それも少しの間、セスナ機は完全に止まり、鈴はヘルメットを脱ぎ捨てると、運転席から飛び降りる。


「岩手へようこそ、と言いたいところですが、時間がないので早く行きましょう」


 その声に反応するより早く、ジュリとジョンもまた座席から飛び降りると、自分たちの荷物を下ろす。

そして2人は荷物を背負うと、先を歩き始めていた鈴の背を追ったのであった。





 

 空港に着いてから、1時間が経った頃、3人は盛岡市内の古い五階だでの商業ビルの前に立っていた。

そのビルは駅からやや離れた、人気があまりないようなところに建てられていた。


「ここがアナタたちの支部なの?」


「ええ、ワタクシたちの支部の1つです」


 一見すると、そのビルは何の変哲も無いただ商業ビル。鈴の案内が無ければ、ジュリはこのビルに気がつかなかったであろう。

 そして、鈴を先頭にしてジュリとジョンはそのビルへと足を踏み入れた。

中も外観と同じく、年月が経っているためかコンクリートは風化し始め、足下に敷かれたタイルにはヒビが入り、埃が隅に積もっていた。

あるフロアを除いては。


「ここが”オルハ岩手支部”です!」


 鈴は手を広げて、自慢をするように2人を振り返る。

このビルの3階だけは、まるで高級ホテルのようにきらびやかな装飾が施され、足下には赤い絨毯が敷かれていた。


「他のフロアとは大違いだな。他のフロアには、誰も居ないのか?」


「ええ、このビルはワタクシたちがビルごと買い上げてありますのよ? このフロア以外はダミーですが」


 ジョンと鈴が話しているときに、突然黒いスーツの男がフロアの奥から顔を出す。

どうやら、鈴の声を聞きつけて現れた様であった。


「鈴お嬢様、お話ししたいことが……」


黒スーツの男はジュリとジョンの2人をちらりと見てから、鈴に目配せをする。


「鈴お嬢様、こちらへ」


「”アレ”の話なら、ここで話しても大丈夫です。こちらの2人も関係者ですから」


 その言葉を聞いた黒スーツの男は少し間を置くと、ゆっくりと口を開いた。


「菊、芍薬、サザンカの組の準備が出来ましたので、すぐに行動を移せます。残る組みもあと少しで出発できます」


「分かりました。ワタクシとこの2人は”椿”組で出発します」


「他の組にはそう伝えておきます。 ……失礼ですが、そちらのおふたりは信用できるので?」


「それはワタクシが保証します。早くこのことを伝えてください」


 黒スーツの男は無言でうなずくと、鈴にある小包を手渡してフロアの奥へと姿を消す。

その小包は、長方形で30センチほどの大きさで、真っ白な包装紙に包まれていた。

鈴は大事そうにその小包を抱きしめると、2人に目配せをする。

そして、鈴は無言でフロアの奥を指さして、ある一室へとジュリとジョンを案内するのであった。



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