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怪異に乙女とチェーンソー  作者: 重弘 茉莉
オルハ評議会
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第11章-1 オルハ評議会

これまでの主要な登場人物

奏矢そうやジュリ

大型チェーンソーを振り回し、怪異を狩り続ける。一家で怪異狩りの依頼を請け負っているが、休みの日が潰されることを非常に嫌がる。

都内の理系大学に通っており、専攻は応用生物学科。学年は2年で、20歳。髪型はショートで黒髪。碧眼であり、膝下ぐらいの長さのスカートを(怪異狩りのときも)好んで着用する。


奏矢そうやジョン

奏矢そうやジュリの兄で、怪異狩りのときには銃火器を好んで使用する。依頼の時には、妹とともに向かうことが多い。身長178センチで体重は89キロ。髪型はツーブロックで、妹とは違い黒目、黒髪である。怪異狩りのときには、軍用の分厚いジャケットを着込む。

現在年齢は25歳で、日々修行と食い扶持を稼ぐために家業に邁進している。


・祝福されし仔ら

怪異集団。ジュリとジョンの両親を殺した因縁がある。祝福されし仔らの証として、手を逆さにした形の紋章、そして紋章の下に読めない字が書かれている印章を持っている。


そこは山奥のうち捨てられた廃ビル。床には埃が積もり、歩けば靴後が残る。人の気配などがあろうはずもないこの廃ビルの一室で、手を縛られて吊られる中年の男と、その前に立つ男。

その男の顔には大きな手を逆さにした形の紋章、そして紋章の下に読めない字の傷がある、ガリガリに痩せて顔色は土塊のように悪い。


「う~……う~……」


 中年男は一糸を纏わぬ姿で吊り上げられ、意識が無いようだった。そして手と足の爪は全て剥がされて、血が床へと滴り落ちる。さらには体中に青アザが浮かび、皮膚の一部がはぎ取られていた。

ガリガリの男は、わざとなまくらにしたナイフを取り出すと、中年の頬を叩く。

 中年男はナイフの冷たさからか、意識が覚める。


「お目覚めかね、ミスター?」


「あ……あ……」


 中年男の口から、白いものが血とともに流れ落ちる。

中年男の口が開かれると、口には1本も歯は残っていなかった。


「ミスター、早く言うんだ」


「わ、私は……知らない……。 信じて……くれ……パーカー……修道士……」


 パーカー修道士と呼ばれたガリガリの男は、無言で中年男の右耳をそのなまくらナイフで切り落としに掛かる。

切れ味の悪いそのナイフは、切ると言うよりも引きちぎるような形で、中年男の右耳を切り離した。


「私の言葉が分からないようなら、その耳は不要だ。そうだな、ミスター?」


 パーカー修道士は中年男の右耳を床に落とすと、革靴の底で踏みつぶす。そして中年男からの側頭部からはとりとめのない血が流れて、彼の頬を濡らす。


「さて、残った耳もいらないだろう?」


 パーカー修道士は、その血濡れのナイフを左耳に近づけると、右耳と同じ要領で切り落とす。

中年男の両側頭部から血は流れ、床に小さな赤茶けた水たまりを作り出した。


「次はどこが不要かね? 目か鼻か? それとも……」


「は、話すから……もう……やめ……」


 中年男の精神がとうとう限界を迎えたのか、命乞いをし始める。

そしてその言葉を聞いたパーカー修道士はニコリと笑うと、手に持っていた左耳を後ろへと投げ捨てる。


「ミスター、君たち”オルハ評議会”に渡した、私のものはどこにある?」


「だから、もう……拷問は……やめて……」


「ミスター、本当のことを言うと私も拷問は嫌いなんだ。約束しよう、拷問はもうしない」


中年男は一瞬だけホッとした表情になる。


「それで、どこにある?」


「ち、近いうちに……岩手の支部から、日本のどこかに移送される。 ……それしか、知らない……」


「そうか。礼を言うよ」


 パーカー修道士は、ニコリと笑うとその漆黒の目を中年男に向ける。そしてなまくらナイフで中年男の頬を突き刺し、えぐる。

中年男は震えながら、驚愕した表情を見せる。


「な……拷問は……しないって……」


「ああ、拷問は嫌いだよ、ミスター。死なないようにするなんて、面白くない」


 全てを察した中年男は、顔を思いっきり振り、体を捩る。だが彼の拘束が外れることは無かった。


「ここからは私の趣味の時間だ、ミスター」


 廃ビルの一室から、中年男の泣け叫ぶ声がいつまでも続いていたのだった。


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