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第6章-1 異世界より

これまでの主要な登場人物

奏矢そうやジュリ

大型チェーンソーを振り回し、怪異を狩り続ける。一家で怪異狩りの依頼を請け負っているが、休みの日が潰されることを非常に嫌がる。

都内の理系大学に通っており、専攻は応用生物学科。学年は2年で、20歳。髪型はショートで黒髪。碧眼であり、膝下ぐらいの長さのスカートを(怪異狩りのときも)好んで着用する。

最近、ドレスグローブ集めが趣味に加わった。


奏矢そうやジョン

奏矢そうやジュリの兄で、怪異狩りのときには銃火器を好んで使用する。依頼の時には、妹とともに向かうことが多い。身長178センチで体重は89キロ。髪型はツーブロックで、妹とは違い黒目、黒髪である。怪異狩りのときには、軍用の分厚いジャケットを着込む。

現在年齢は25歳で、日々修行と食い扶持を稼ぐために家業に邁進している。

陽気な性格をしていて、妹の文句を笑いながら受け流している。


清水しみず 明夫あきお

警視庁捜査一課第三特殊捜査係、通称”SIT3”(special investigation team 3)に所属。47歳で妻子持ち。

奏矢兄妹に事件の依頼をすることで、協力体制を取っている。個人としては、奏矢兄妹とは、十年来の知人である。

好きな色は黒。趣味は釣り。

鏡の中の幾万ものジュリが同時にチェーンソーを振るい、同様に鏡の中の幾万もの巨大ムカデによく似た異形の首が落とされ、血が噴き出す。

ジュリはいつも通り異形の首を落とすと、さらに手足をバラバラにしていく。鏡の中のジュリも同様に、異形をバラバラにしていく。

血が飛び散った鏡を見ながら、ジュリはため息をつく。


「体を半分にしても、こんなに逃げるなんて思わなかったわ」


今ジュリが居るのは、山の中にうち捨てられた廃遊園地。警察からの依頼によって、人を数人食い殺した異形を退治しに来たのだった。

山の中で、兄のジョンとともに追い詰めて、チェーンソーで成人男性ほどの巨躯を持つムカデの胴体を半分にしたは良い物の、流石のムカデの生命力と言ったところか、胴体が半分になっても逃げ出したのだった。


 そして、ムカデが逃げ込んだ先が、廃遊園地のミラーハウス。

ジュリはムカデが外に逃げ出しても仕留められるように、兄に入り口を固めてもらい、単身でミラーハウスに乗り込んだのであった。


「やっと終わったわ」


誰に言うのでもなく、ジュリはそうつぶやくと足早にミラーハウスの出口を目指して歩き始めた。

鏡の中の幾万ものジュリも同様に外を目指して動く。ただ1人を除いて。

その1人は、ジュリの姿が見えなくなっても消えることはなかった。


 ミラーハウスを出たジュリは出口を固めていたジョンに声を掛ける。


「終わったわよ。帰りましょう」


右手にだけにはめた、蝶の刺繍がされたドレスグローブをひらひらさせながら、ジョンに歩み寄る。


「そうだな。ハラも減ったし、急ぐか」


ジョンは構えていた散弾銃を肩に掛けると、街の方に向かって歩み始めた。





 ミラーハウスの中、遠くに居た鏡の中のジュリがムカデの異形へと近づいてくる。

そして、ムカデのすぐ近くまで歩み寄ると、しゃがみ込んで指先でつつき始める。しばらくつついていたが、それも飽きてしまったようであった。次に、指先についた異形の血を、口紅のように自身の唇に塗ると、鏡を手の平で叩き始めた。

そのうち、平面だった鏡面が、手の平の形に伸び始める。さらには指先、手、腕、頭、と鏡が盛り上がり始めたのであった。

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