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22-9

耳をつんざく爆発音の後、辺りは静けさを取り戻す。

ジュリは胸に抱いたチェーンソーを背に戻すと、服に付いたホコリを払う。そして玄関に音を殺して近づくとドアスコープから外を確認する。見えたのは焦げた廊下、霧散していく黒い霧、手榴弾が爆発したなら廊下どころか今ジュリが接している玄関扉すら損傷をしそうなものだが、廊下には傷や抉れなどはなく、さらには見たところ玄関扉自体にも歪みなどはなさそうであった。



「……取りあえず、今のガスみたいのは撃退できたみたい」



「そうだな。 ……問題はこれからどうするか、だが」



 ジョンは仰向けに床へと寝転んだ状態で顎へと手を当てて考え込む。

ジュリはそんな兄の思考を先読みするかのように声を掛ける。



「”このままそこの警官を連れて撤退”か”あるいはここに警官を置いてこの怪異自体を解決する”でしょ?」



「んー、まあ。そうなんだがな、エレベーター、動くと思う?」



「”動かない”に来週分の夕ご飯当番を賭けるわ」



「……それじゃあ、賭けにならねぇじゃねぇか。一応、見てくるだけ見てくるから、ジュリはあそこで失神してるあの警官を見てやってくれ」



「……あー、はいはい。気をつけてね」



 ジョンは飛び起きると、玄関を開けて左右を確認する。何も気配がないのを見るや、すぐさまエレベーターの方へと消える。

一方でジュリは失神している須藤へと近寄ると、頬にビンタをする。須藤が意識を取りも戻すまで何度も、何度も。そして須藤の両頬が真っ赤に腫れて眼を覚ますと同じくらいに、エレベーターを見に行ったジョンが部屋へと戻ってくる。



「あら、お帰りなさい。どうだった?」



「んんん、やっぱり動かないわ。取りあえず、撤退はなし、だ」



「そうね。流石に情報はなし、じゃきついわね。取りあえず、この件で最初に関係性がある心中があった部屋に行ってみる? ……この世界から抜け出すのに関係はないかもだけど」



 2人して顔を捻り、これからどうするべきかを悩む。

何度も怪異退治をしてきたものの、このような空間に捕らわれることは初めてのことであった。ある程度の食料と水はあるとはいえ、このままではじり貧であることは目に見えていた。半目を開けた状態で呆けている須藤に向かってジョンはしゃがむと、頬を引っ張りながら問いただす。



「おい、死にたくなけりゃあ答えろ。お前、エレベーターでここに来たんだよな? 何があった?」



「ひっ、ひっ……」



 最初は目の焦点が合わなかった須藤であったが、頬を引っ張れる内に意識が戻ってきたのか段々と目が据わってくる。

そしてぽつり、ぽつりと自身に何が起こったのか語り始めるのであった。

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