21-13
怪異の殲滅を終えた後の昼頃、ジュリ、ジョン、巌、結衣は駅のホームに居た。
電光掲示板に表示された東京までの新幹線には、まだ間がある。ベンチに並んで座るジュリとジョン、そしてぴちぴちの黒革のボンテージスーツに身を包んだ巌がその前に立っていた。ジュリは自販機で購入した甘ったるいお汁粉を飲みながら、新幹線がくる先を見つめていた。
「そう言えば、”あそこ”の後始末は、やっぱりそっちの警察絡みが片付けてくれるのか?」
駅のベンチで並んで座るジョンは、腕組みをして自身の前に威圧的に立つ巌へと話しかける。
「えぇ、そうねぇん。アタシの伝手で色々お願いできるのよぉん。 ……まあ、あっちだって”逮捕”出来ない化け物がうろちょろしてる、なんて公表できないだろうしねぇ」
「……いっそのこと、公表してくれれば私たちの仕事も減るんだけどね」
ジュリはぽつりと呟く。
沈黙が3人を包むが、そこに駅弁を買いにいっていた結衣が戻ってくる。
「はい、これ。買ってきましたわ!」
「ありがとね」
「あれ、アタシの分はぁん?」
「巌さんの分、買ってくるわけないでしょう……」
先ほどの沈黙が過ぎ去り、雑談が始まる。
やれ、ジュリの最初の怪異に出会ったときのこと。やれ、偶然怪異に遭遇したと思ったら異常に身体能力が高かったおじさんがいただの。下らない話に華を咲かせる。そして時間を忘れて話が盛り上がってきた頃、駅のホームにアナウンスが入る。そsれはジュリとジョンが乗る予定の新幹線が間もなく駅に入ってくる、と言うものだった。
「……そろそろ時間みたいね。色々楽しかったわ」
「じゃあ、また何か手伝って欲しいときがあったら電話をくれれば来るんで」
「あらぁん、なにもなくても連絡しちゃ駄目かしらぁん?」
「止めてくれ……」
うんざりとした表情を見せるジョンの横でくすくすと笑うジュリと結衣。
そしてひときしり笑うと、荷物を持って立ち上がり、ちょうど入ってきた新幹線へとジュリとジョンは乗り込む。そして乗車口でお互いに小さく手を振りながらこの地を後にするのであった。




