第4章-1 水にストーカーされる女
これまでの主要な登場人物
・奏矢ジュリ
大型チェーンソーを振り回し、怪異を狩り続ける。一家で怪異狩りの依頼を請け負っているが、休みの日が潰されることを非常に嫌がる。
都内の理系大学に通っており、専攻は応用生物学科。学年は2年で、20歳。髪型はショートで黒髪。碧眼であり、膝上ぐらいの長さのスカートを(怪異狩りのときも)好んで着用する。体型は本人曰くスレンダー。
趣味はチェーンソーのデコ及び改造、甘味巡り。
・横溝 雅司
『第3章 ガンプと呼ばれた怪物』にて、事件に巻き込まれてジュリに救われる。大学2年生で、20歳。ジュリとは別の大学に通っており、オカルトは好きだが、無縁の生活を送っていた。
髪型はソフトモヒカンで、身長は172センチ、58キロ。臆病ではあるが、咄嗟の勇気と判断力はそれなりにある。
趣味は切手集めと読書、ゲーム(主にガンシューティングゲーム)。
ジュリは自身が通う大学の最寄りの駅に併設された、ここサンマール・カフェでチョコパフェをつついていた。
「それで、相談って?」
目の前に座る雅司に、視線を向けると口火を切る。注文されたパフェが来てから5分ほどで、パフェの半分がジュリの口の中に消えていた。
「ええ、先週に僕が所属しているサークルで、先輩の女の子がストーカーされていると相談されたんです」
「それなら、警察にでも行けば良いじゃない。まさか、そのストーカーを切れとでも言うの?」
ジュリはパフェをつつきながら、興味をなくしたように答えた。
「いえ、どうもストーカーしているヤツがとても奇妙なんで、ジュリさんなら何か対処法を知っているかなって」
「遠回しに、普通の男は寄りつかないって言われているのが、癪だわ」
ジュリは不機嫌になりながらふて腐れる。その様子を見て、マズいと思ったのか、雅司はジュリのご機嫌を取り始める。
「そういう意味じゃないですよ~。今日はおごりますんで、機嫌直してくださいよ~」
その瞬間、ジュリの目がぎらりと光る。
「あら、そう? じゃあ、ショートケーキとミルクティーのセットも追加でお願いね」
「あ~、分かりました。じゃあきちんと相談に乗ってくださいね?」
雅司は今月の小遣いの残高を頭の中で計算する。そろそろ財布の中身が寂しくなっていくのを感じていた。
「まあ、いいけど。それで、そのストーカーってどんなやつなの?」
雅司は改まって、話を切り出す。
「その先輩曰く、『水』に追われていると」
「みず? みずって飲む水のこと?」
「ええ」
雅司はじっとジュリの目を見ると、その先輩に起きた話を語り出した ――




