表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異に乙女とチェーンソー  作者: 重弘 茉莉
ガンプと呼ばれた怪物
16/229

第3章-7 ガンプと呼ばれた怪物

瀕死の剛を篤と雅司の二人がかりで、恐怖で動けなくなった奈緒はジュリが、それぞれ肩を貸しながら外に向けて歩く。ジュリと奈緒が先に外に出て、次に雅司たち3人が続こうとした。

扉を押して外に出ようとしたとき、剛だけが見えない壁にぶつかった。


「はっ?」


次の瞬間、剛以外の4人は病院内からの突然の強風により、外へとはじき飛ばされる。

「な、なんだ!?」


雅司は突然のことに混乱する。


 そのとき。



           \ドッワハハハ/

大きな、とても大きな笑い声が病院内に響いた。


 「た、たす、助けてくれぇ!」


剛は見えない壁に拳を叩きつける。そのすぐ後ろに、首のない影。


「ガ、ガンプ……」


ガンプは剛の襟を掴むと、そのまま(きびす)を返した。

ガンプと剛は暗闇へと消える。


「た、助けなきゃ……」


雅司が、ガンプを追って病院内に入ろうとするのを、ジュリが肩を掴んで止める。


「無理よ」


「で、でも……」


「首を落とされても生きているのを、どうやって殺すの?それに……」


「それに?」


「彼は今までのツケを払っただけだわ」


そう言うとジュリは奈緒に肩を貸して、街へと歩き始めた。


後ろからは、笑い声と剛の悲鳴が聞こえていたが、すぐに聞こえなくなった。

雅司は少し先を歩くジュリを見て気がつく。車のキーは剛が持っていたことに。


 雅司は一度病院へと振り返ると、ジュリと同じく、街へと歩き始めた。

ジュリの隣を歩く雅司は、疑問をぶつける。


「なんで……そんなに冷静なの?」


「厄介ごとには、慣れているからよ」


そう言うと、ジュリは歩みを早めた。

雅司も歩みを早めた。そのとき病院から、風に乗って笑い声が聞こえた気がした。


 街に着いた4人は、すぐに警察に通報した。

通報を受けて廃病院の探索に向かった警察は、何も見つけることは出来なかった。

ガンプも、紫苑も、剛も、彼らが置いてきた車さえも。

結局、彼らの通報は悪質な通報として、警察から絞られることになった。


 ジュリは考える。剛は今までのツケの精算をしたのを見て、怪異を狩っている自分にもいつかツケが来るのだろうかと。

そのときが、早く訪れないことをただただ思うのであった。







           \ドッワハハハ/

後日、その病院には頭と腕が欠損した化け物が出るという噂が、まことしやかに流れるようになった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ