『冥界総合受付課―四人のババアと、川の向こうの大問題』エピローグ
エピローグ あの世にも、交通整理が必要だった
本作は、森田健氏の『生まれ変わりの村』シリーズを通じて知った、前世の記憶と死後の世界への問い、そしてダンテの『神曲』が描いた地獄・煉獄・天国の世界から着想を得た創作です。
もちろん、本作に登場する冥界総合受付課も、四人の女性職員も、中古モノレールをめぐる騒動も、作者の想像によるものです。
死後の世界が実際にどうなっているのか、私たちには分かりません。
けれども、もしそこにも行き先の違う人々がいて、いくつもの川が流れ、さまざまな仕組みが動いているのなら。
きっと、そこにも困りごとはあるでしょう。
そして、困りごとがあるところには、それを何とかしようとする人たちがいる。
予算を心配する人。
安全を守る人。
契約書に判を押す人。
そして、どういうわけか、いつも片方の靴を探している人。
死んでも仕事はなくならない。
ただし、働く人が倒れるまで働かせてよい理由にもならない。
川が違っても、行き先が違っても、誰かが迷わず進めるように道をつなぐ。
それもまた、立派な仕事なのかもしれません。
さて。
冥界総合受付課の四人は、明日も出勤する予定です。
庶務担当は、退職届を書く時間すら取れないと嘆いています。
奪衣婆は、今度こそ靴を両方そろえて出勤すると宣言しました。
その宣言が守られるかどうかは、まだ分かりません。
――冥界の仕事は、今日も続くのです。




